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不死鳥の剣  作者: TE☆TSU☆JI
112/206

ベルゼブ復活

 大広間の中央に居るイビルニア人は、紛れもなくベルゼブだった。呆然としていたレン達は、我に返り身構えた。

 「おい、サリンとソーマンはどこに消えた?」

 と、マルスが言うとベルゼブは、自分を指差し言った。

 「グルゥゥゥ余の中に居るぞ、もう一人アルシンと言う者が居たはずなのだが…」

 「そいつは俺が殺してやったよ」

 と、ベルゼブがしゃべり切る前にラーズが言い真空突きを放った。ベルゼブの身体に当たり貫通したが、直ぐに元に戻った。ベルゼブは、意外な顔をした。

 「お前がったと言うのか?信じられんな、グルゥワハハハハ」

 「この野郎っ!連撃!!」

 と、ラーズは、真空突きを乱れ撃った。ボボボボボッと鋭く尖った真空波がベルゼブの身体を貫いた。しかし、穴だらけになっても直ぐに元に戻った。レン達も真空斬を放ったが、まるで効果が無かった。

 「野郎、どうなってるんだ?」

 と、マルスがレンの傍に寄りつつ言った。ベルゼブは、中央から動こうとせずレン達の様子を見ている。攻撃して来ないのが不気味に思えた。数分間、睨み合いが続いた。レン達は、ベルゼブを囲み込んだ。真空斬や真空突きが通用しないのなら直接斬り付けるしかなかった。

 「そろそろ余も攻撃しようか、裂空間陰れっくうまいん!」

 と、ベルゼブは言うと大広間の空間が歪み出しレン達は、宙に浮いている様な感覚に陥った。

 「またこれか!ちくしょう」

 と、イビルニア城内でベルゼブと戦った時に受けた事を思い出した。レン達は、何とか真っすぐ立とうとするがなかなか上手く行かなかったが、ヨーゼフだけは、どういう訳か真っすぐ立っている。

 「皆、力に逆らってはいかん、自然に任せるのじゃ」

 ヨーゼフの言う通り力を抜くと立つ事が出来て剣を構える事が出来た。

 「おりゃあ、喰らえぇい」

 と、マルスが先に斬りかかった。ベルゼブは、サリンとソーマンが持っていた剣を両手に持っている。マルスを片方の剣で攻撃を受け止め、もう一方の剣でマルスを串刺しにしようとした時、レンの真空突きがその剣に当たり破壊した。

 「邪魔をするなぁ!」

 と、ベルゼブは、破壊された剣を捨てレンに襲い掛かった。レンは、斬鉄剣で攻撃を弾き返したが、その勢いでレンは、ふわっと壁際まで飛んで行った。今度は、ヨーゼフ、テランジン、ラーズが果敢に斬り込んだ。首をどうにか落とそうとするがベルゼブは、巧みに首を守り全身から衝撃波を出しヨーゼフ達を吹っ飛ばした。

 「小うるさい蠅共め」

 裂空間陰で空間を歪められていて不利な状況が続くレン達は、それでも何とかベルゼブを倒そうとした。

 「兄貴っ!」

 と、城内に残っているかも知れないイビルニア人を捜索していたルーク達元海賊士官が大広間にやってきた。

 「うっ?!何だこれは?」

 と、レン達が宙に浮いてベルゼブと戦っているのを見て驚いた。

 「ルーク!この部屋に入るな」

 「ルークよ、城内に居る全ての人を避難させろ」

 と、テランジンとヨーゼフが叫んだ。ルーク達は、全てを察し言われた通りに動いた。ベルゼブは、嘲笑いながら言った。

 「行かせて良かったのか?仲間は少しでも多い方が良いではないのか?グルゥフフフフ」

 「やかましいっ!」

 と、大広間の入り口側に居たラーズが後ろから斬り付けた。背中を斬られたベルゼブは、全く動じる事も無くラーズに振り向き魔掌撃ましょうげきを放った。ラーズは、咄嗟とっさに防御の体勢を取ったが、魔掌撃をまともに喰らったラーズは、吹っ飛ばされ廊下の壁が破壊され中庭まで飛んで行き動かなくなった。

 「ラーズ!貴様ぁ!」

 と、レンが攻撃しようとした時、龍の姿に変身したシーナが現れベルゼブの横っ面を思いっ切りぶん殴った。ベルゼブは、吹っ飛び激しく壁に激突した。

 「シーナッ!」

 「ルーク兄ぃ達が来て城が危ないから避難しろって言って来たから何でだろうと思って来たら、何であいつがいるの?」

 レンが手短に説明した。シーナは、気持ち悪いと大げさに身震いして見せた。壁際で倒れていたベルゼブが起き上がりシーナを見た。

 「むぅぅぅドラクーン人が居ったとは、ならば裂空間陰は意味が無いな」

 裂空間陰は、人間や獣人には効果はあるが、空を飛べるドラクーン人やエンジェリア人には、効果は無かった。ベルゼブは、裂空間陰を解いた。レン達は、やっとまともに立てる事が出来た。

 「シーナ、中庭でラーズが倒れてるんだ先に治療してあげて」

 と、レンは、言いシーナを中庭に行かせようとした時、急に身体が重くなった。ベルゼブが重地縛を放っていた。

 「グルゥフフフ、そうはせんぞ、ここで皆殺しにしてくれるわ」

 身体の自由を奪われたレン達にベルゼブは、魔掌撃を放った。レン達は、吹っ飛ばされ大広間の壁に激突した。

 「どうだこれから死んで行く気分は?余を暗黒の世界に封印したと思い込みイビルニア半島を海に沈めても無駄だという事が分かったであろう、余は何度でも復活して見せるわ、そしてこの地を第二のイビルニア国にしてくれる」

 「そ、そんな事は絶対にさせない…この国は僕が守る!」

 と、レンは、力を振り絞り立ち上がった。マルス、ヨーゼフ、シーナ、テランジンも立ち上がった。ベルゼブは、やれやれといった表情を見せ言った。

 「逆らわねば楽に死ねたものを人間とはおかしな生き物よのう、グルゥワハハハでは望み通り苦しみながら死ぬが良い」

 そう言ってベルゼブがまた魔掌撃を放った。レン達は、必死で攻撃を防いだが重地縛で身体が思う様に動かず魔掌撃を喰らった。そしてまた壁に叩き付けられた。

 「ぐわぁぁぁぁ」

 「ぐぅぅぅ…い、いてぇ」

 壁に叩き付けられたレン達を満足気にベルゼブは、見ている。

 「イビルニア城でお前達と戦った時はリヴァーヤの力が強過ぎたのか負けてしまったが、今度は余の力とサリンとソーマンの力だけだ、やはりイビルニア人同士の方が相性が良いのだろうなグルゥワハハハ」

 と、ベルゼブは言うと重地縛の力を更に強めた。レン達は、床にへばり付く様な形となった。

 「ち、ちくしょう立てねぇ」

 「ううぅぅぅ」

 レン達は、どうする事も出来ないでいた。

 「ふぅむ、全員一度に殺してしまうのは余りにも芸がない、一匹ずつ殺すか…最初に誰を殺ろうか」

 と、ベルゼブは、レン達を一人一人見た。

 その頃、城内に居た大臣や役人、そしてエレナ達を城外まで逃がしたルークは、言い知れぬ不安を感じていた。

 「兄貴達の事だから万が一って事は無いと思うがどうも気になって仕方がねぇ、俺ぁ行って来るぜ」

 と、カツとシンに言った。

 「待てよ兄弟、エレナ様達は誰が守るんだよ」

 「そうだぜ、この辺りにもしかしたらイビルニア野郎が居るかも知んねぇぜ」

 と、カツとシンが言うとルークは、深いため息をいた。本当は、カツもシンも大広間の状況が気になっていた。

 「ルークさん、テランジンさん達が心配なんでしょう?どうぞ行って下さい、ここには近衛兵の方たちやサイモン大将も居ます、レン達を助けてあげて下さい」

 と、エレナがルーク達に言った。

 「ありがてぇ、ありがてぇエレナ様、おい野郎共!エレナ様のお許しが出た、今すぐ大広間に行くぞ!」

 「おっー!!」

 と、ルーク達元海賊士官が大広間へと走って行った。そして、ルーク達が城内の中庭に到着し最初に目に入ったのはラーズだった。ベルゼブの放った魔掌撃を喰らって気を失っていた。

 「ラーズ兄ぃ!しっかりして下せぇ、ラーズ兄ぃ」

 と、ルークは、ラーズの半身を起こしながら言った。

 「う…うう、レ、レン達は…」

 「ベルゼブと戦っていると思います」

 「そ、そうか…俺は見ての通りだ、身体が動かない、レン達を頼む」

 と、ラーズは、苦しそうに言った。ルークは、ラーズを比較的安全と思われる中庭の端っこに移動させ寝かせた。そして、壊れた壁から大広間に向かうと、重地縛で動けないレン達を見た。

 「殿様ぁ!!」

 と、大広間に入ろうとした時、テランジンが止めた。

 「止せ来るな!」

 「駄目だルーク部屋に入ってはいけない」

 と、レンも叫ぶように言った。ベルゼブは、ゆっくりとルーク達を見て笑った。

 「グルフフフフ、どうした?そんなとこで見ていてもこやつらを助ける事は出来ぬぞ」

 「クソったれめ、どうすりゃいいんだ」

 ルーク達は、歯噛みした。重地縛の話しは、以前テランジンから聞いていた。大広間に入れば自分達もベルゼブの術に掛かってしまう。ルークは、必死で考えた。ベルゼブの気を引き術を解くにはどうするべきか。その時、カツが何やら取り出しルークにそっと見せた。

 「兄弟、こいつで吹っ飛ばしてやろうぜ」

 と、カツは、デ・ムーロ兄弟から送られて来た新型の手榴弾を見せて言った。

 「馬鹿、そんなもん投げ込んだら殿様達も危ねぇじゃねぇか…でも上手くいけば術を解けるかも知れねぇ」

 「ああ、このまま指咥えて兄貴達が殺されるのを見てるわけにもいかねぇし、一か八かやってみる価値はあると思うぜ」

 「そうだな、何発ある?」

 と、ルークが言うとカツが二発、シンが三発持っていた。シンは、一発をルークに渡した。

 「良し俺が試しに一発投げ込んでみる、上手くいけばベルゼブの野郎の身体を吹っ飛ばせるかも知れねぇ」

 ルークは、テランジンを見て意味有り気に片目をつぶって見せ、ちらりと新型手榴弾を見せた。テランジンは、床にへばりつく様な体勢になっているが、やれっと言わんばかりに頷いた。ルークは、後ろ手に手榴弾の安全ピンを外しベルゼブに言った。

 「おい、ベルゼブお前に良い物をやるよ、受け取れ」

 と、言うとベルゼブに向けて投げ付けた。しかし、重地縛の力で手榴弾は、ベルゼブの足元に落ちた。何も知らないベルゼブが取り上げようとした時、手榴弾が爆発した。

 「グルゥワッ?!」

 ベルゼブが壁まで吹っ飛んだ瞬間レン達の重地縛が解けた。

 「やった!」

 レン達は、立ち上がり大広間から素早く出た。

 「く、何だ今のは?人間の分際で生意気な事を!」

 と、爆発で右手が吹っ飛び腹が避けたベルゼブが言った。腹からうっすらとソーマンの顔が見えた。レン達が居なくなった大広間に残りの手榴弾を全て投げ込んだ。爆発で大広間からもうもうと煙や砂埃が出た。

 「ふん、ざまあ見やがれ!」

 と、マルスが吐き捨てる様に言ったが油断はしていない。あの程度で死ぬようなベルゼブではないはずだった。そして、煙や砂埃が消えると大広間には、身体がぐちゃぐちゃになったベルゼブの姿があった。辛うじて頭だけを守っている。

 「お、お前達ぃ許さん、許さんぞぉ…グルゥゥゥゥ」

 と、ベルゼブは、身体を元に戻し始めた。ごぼごぼと肉が動き、飛び散った肉片が集まり出す。その様子を見てレン達は、凍り付いた。そして、ベルゼブが元に戻ると強力な魔掌撃をレン達に放った。廊下側に居たレン達は、まともに喰らって中庭まで吹っ飛び中庭のあちこちに落ちた。

 「ううっ!」

 「ぐわぁぁ」

 「いってぇぇぇ」

 ベルゼブがゆっくりと中庭に向かって歩き出す。レンは、痛みに耐えながら立ち上がり辺りを見回すとヨーゼフの身体に無数の瓦礫が刺さって倒れている姿が目に映った。

 「ヨーゼフ!ヨーゼフしっかり!ヨーゼフ」

 レンは、痛みを忘れてヨーゼフに駆け寄った。ヨーゼフは、気を失っているのか反応を示さない。

 「シーナ、シーナ、ヨーゼフが」

 レンは、夢中で叫んだ。幸い変身していたシーナには、怪我は無く直ぐにヨーゼフの治療を始めた。

 「じいちゃん、大丈夫だよ、ぼくが必ず治してあげるからね」

 「閣下しっかりして下さい、お前達早く閣下を安全な場所にお連れしろ」

 と、テランジンが元海賊士官達に言うとヨーゼフを抱えシーナと共に中庭から出て行った。そうはさせまいとベルゼブがまた魔掌撃を放とうとした時、マルスの真空斬神風がベルゼブを襲った。ベルゼブが宙に舞い上がりズタズタになり地面に落ちた。

 「ふん、相手は俺達だ!」

 起き上がろうとするベルゼブに今度は、レンとテランジンが雷光斬を放った。直撃し黒焦げになったベルゼブだが直ぐに身体が回復を始めた。

 「こ、この化け物めぇ」

 レン達は、回復しまた元通りになるベルゼブに驚愕した。ベルゼブは、起き上がり不敵な笑いを見せた。

 「グルゥフフフフ、もうお終いか?」

 と、ベルゼブは言うと両手に深紫色の玉を浮かび上がらせレン達に放った。レン達は、横っ飛びに避けたが地面に当たった衝撃で吹っ飛ばされた。美しく整備されていた花壇が滅茶苦茶になった。

 「グルゥフフフ、これから生き地獄を味合わせてくれるわ」

 そう言うとベルゼブは、先ほどより更に大きな玉を浮かび上がらせレン達に放った。

 

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