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3.変化の兆し

 その日はそんなことがあった。何も特別なことじゃない。ただ……。

 その夜はなかなか寝付けなかった。


 目を瞑ると、並んで歩いてる時に見た穂坂君の横顔とか、あの大きな手とか、声のトーンとか笑い声とか、立ち去っていく背中とか、別れ際の笑顔とか、そういうものが断片的に、でも繰り返しぐるぐる浮かんでくる。そのぐるぐるに耐えられなくて、つい目を開けてしまうから、どうやったって眠れない。目を閉じたいんだけど閉じられない。

 こんな落ち着かない状態が続くのは嫌だなぁ。


 どうか、一夜明けたら落ち着いていますように。




   ***




 次の日。

 意外とスッキリ目が覚めた。ちゃんと眠れたみたいでよかった。寝不足の顔で学校行くなんてカンベン。

 大丈夫、昨日はちょっといつもだったら起こり得ないようなことが起きて、びっくりしちゃってただけ。だいたい私が男子と並んで歩くとか、男子と話すとか、今までに無かったことなんだから。そうだよ、普通の人にとっては特別じゃなくても、私にとっては一年に一度あるかないかの大イベントじゃん?だから何て言うか、「びびっちゃってた」んだろう。

 しかも相手は学校一のモテ男。「王子様」なんて言って、遠い遠い存在って思ってた人。うん、びびっちゃってもしょうがない。

 でも、そういえば。

「確かに、“王子様”って感じじゃ、なかったなぁ……」

 人見知りしがちな私でも話しやすかった。何て表現すればいいんだろ。


 ……まぁ、いっか。どうせこれから先も関わるってわけじゃないし。



 そして、いつも通りの、変わらない日常が続いていくはずだった。

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