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クローバー(3)  作者: ディライト
第1章
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第1章―(1)

「じゃあおばさん、三日間お願いします」

 一学期も終え、世間の学生諸君は収容所から脱走することに成功した囚人のようにテンションを高めている。俺と一葉もまた例外ではない。麓のスーパー南田の店長の粋な計らいで、俺たちはプライベートビーチへのチケットを手にすることに成功したからだ。

 そして来たる本日がその出発日である。俺と一葉は膨れ上がったボストンバックを片手に、朝もはよから大家のおばちゃん宅を訪れていた。勿論二葉と三葉を預けて行くためである。

「はぁ~いヒトハちゃん、おねがいされました~!」

 ふや~っと頬を綻ばせて、おばちゃんは警察官のように敬礼する。

「おみやげ! おみやげぜったい忘れないでよ!」

「……もう、フタバはやっぱり食いしん坊……」

「べつにたべものとは言ってないぞー!」

 眠そうだった二人も、相変わらずな元気の良さを見せてくれる。これなら安心して出発できそうだ。

「ハル兄大船に乗ったつもりでいなよ! フタバさんとミツバさんは俺が責任を持って守るからさ!」

 にきび面のおばちゃんの一人息子雄太が気持ち悪い笑みを浮かべながら、親指を自分の方へ向ける。いつもはワックスを使ってツンツンに立てている短髪も、寝起きのためか元気なくへたれている。

「フタバとミツバの半径十メートル以内に近づいたら腕ひじき逆十字な」

「それって家から出てけってこと!?」

「ここはおばちゃんの部屋なんだから、お前がいるのはおかしいだろ」

「俺息子! 正真正銘ムスコだよ!?」

「そうだったっけ?」

「そうだよ!」

 涙目になりながら早口で主張する雄太と、その様子にあははと呑気に笑っているおばちゃんを見ると、どうしても親子とは思えない。きっと遺伝を司る神様が性格配分を間違えたに違いない。

「んじゃ、そろそろ行くか?」

「そだね。フタバもミツバも、おばさんと雄太くんに迷惑掛けないようにね」

 雄太はこき使ってもいいぞ。

「わかったぞ! いい子にして待ってる! だからおみやげね!」

「……いってらっしゃい……」

 両手をぶんぶん振り回して手を振る二葉と、控えめに胸の前で片手を振る三葉を眺めながら、俺と一葉はボロアパートを後にした。


 地元の花岡駅から電車を乗り継いで、県の中心部に位置する多くの人が集まる大きな駅へ。そこから新幹線に乗り換えて二時間弱。俺たちが目指すのは隣の県にある山々に囲まれる海岸沿い、そこに切り取られたようにあるというビーチと、近くに備え付けられているというペンションだ。葵のバイト先であるスーパー南田の店長がサーフィンサークルなるものに所属していて、その集会所として重宝しているという。それを葵が頼み込んで三日間だけ借りたというのが、六人のしがない高校生がプライベートビーチなんてブルジョワチックなものを借りることができた諸々の経緯である。ちなみに後で聞いた話だが、店長の承諾のセリフは以下の通りである。

「華の高校生だしね、男女六人夏物語を紡いでくればいいんじゃないかな……うん。どうせ今年はお金なくてサーフィンサークルを開催することもできなかったしね……。ペンションもビーチも使ってあげなきゃ可哀想だよ。ああ、今年も休みなしかぁ。照りつけるようなこの太陽を身体に浴び」

 あまりに長いので割愛する。

 そんなわけで俺たち六人は今、これから夏のひと時を楽しむのであろう、人の賑わう駅のプラットホームで新幹線の出発を待っていた。

「な~んで新幹線って乗り込むまでが長いんだ?」

 筑紫が紫マフラーに顔を埋めながら口を尖らせしゃがんでいる。少しダブいが全体的に涼しげな格好をしている癖に、マフラーだけがミスマッチだ。

「筑紫クン、きっとあの速さの秘密はこの充電タイムにあるのさっ!」

「おお、マジか……! チョ○Qでいう、あの後ろにきゅらきゅら下げるのと同じか!」

「そうさっ! 今まさに車内では大勢の人たちがきゅらきゅらしてるに違いないよ!」

 んなアホな。

 葵と筑紫が奇天烈な発想をしている中、その横では佐久間と一葉が観光マップを見ながら談笑している。

「近くには大きな滝があるみたいだぞ」

「へ~滝かぁ。生では見たこと無いなぁ。あ、じゃあ近くに吊り橋とかもあるのかな?」

「すごく高いところにあって、絶景の景色が味わえるって書いてあるぞ!」

「わぁ楽しみ~!」

「他にもロープウェイが麓から頂上まで伸びていて――」

 佐久間の持つ観光マップに顔を覗かせている一葉。顔が近いせいか見事に佐久間の麓の上唇から頂上の鼻の頭までが伸びている。折角の爽やかフェイスも台無しだ。まぁそれも致し方ない。

 今日の一葉は白いフリルのついたワンピースが良く似合っていてめちゃくちゃ可愛い。白い花が添えられている麦藁帽子なんて被っていて、ひまわり畑で出会ってしまったなら一目惚れしてしまってもおかしくはないだろう。

「くっそー俺のヒトハに近づきやがってー」

 紙に書いてある文字をそのまま声に出して読むように、平坦な声で呟くハスキーな声。

「……なんだそれは」

「あら? 心の中で歯軋りしていると思ったのだけれど……。違ったかしら?」

「違うわ! それに俺たちはそういう関係じゃない。また一葉が怒りだすからやめてくれ」

 男を誘うような微笑で俺を見る花咲。今回は落ち着いたカジュアルな印象の服を纏っていて、エキストラ時の締まった服装や、遊園地での制服、俺の部屋に来た時のラフな服装など、多種多彩な服装はまさに七変化。多分今日の服装が一番素に近いのではないのだろうか。

「何故怒るのかしら?」

「なんでって……、俺なんかとそういう目で見られたら嫌だからじゃないか? 一葉いつも顔真っ赤にして俯いちまうから、あんまし言わないでくれよ」

「そうなの」

 薄い笑みを貼り付けながら流し目をしてくる花咲。なんだその小馬鹿にしたような目線は。

「うぉ~い! もう乗れるみたいだよっ!」

 葵が新幹線の入り口前で、プラットホームのベンチで座っている俺たちに手を振ってくる。今にも乗り込みたそうにしている葵と、夏の訪れに心躍っている乗客予定の他の人込みにあやかり、俺たちは吸い込まれるように新幹線内へと入っていった。

「えっと、俺たちの席はこことその前の四つと、通路挟んで隣の二つだな」

 佐久間がいち早く指定席の座席の場所をチェックする。

「席はどうするの?」

「あ、私窓際がいいなぁ。景色が見たい!」

 花咲が問いかけると、すぐに一葉が手を上げてそれに答える。それを聞くと、筑紫が待ってましたといわんばかりに仕切り始めた。

「おっけー! じゃあ、ヒトハちゃんは窓際奥! 佐久間は酔いやすいから窓際がいいんだったよな!?」

「え、あ、ああ! そうだな! 酔いやすいな!」

 初耳だな。

「んじゃ、佐久間はヒトハちゃんの向かいの進行方向側の窓際な! アオイちゃんは、ヒトハちゃんの隣、俺はアオイちゃんの向かい! カホちゃんとハルっちゃんはそっちで隣同士!」

 通路を挟んだ反対側を指名されて、有無を言わさずにそのような席順となった。筑紫のやつ、佐久間と一葉をくっつけようとしてるのが丸分かりだぞ。


 筑紫の策略通り全員が席に収まって、まもなく新幹線は動き出した。

「ねぇ」

「ん?」

 暫く窓の外を見ていた花咲が、窓の淵にひじをつきながら話しかけてくる。俺は駅の売店で買っておいたペットボトルに入った烏龍茶を口にしながら花咲の方へと振り向く。

「……ハルキポイントって何?」

「ブバッ!?」

 ぐぁ! 器官に入った!?

「汚いわね……。慌てずゆっくり飲みなさいよ」

「お前がとんでもないこと聞いてくるからだろ!?」

「ユウタポイントとかもあったわね」

「だからそんな話を一言一句正確に聞いてるんじゃない!?」

「聞いてるんじゃなくて聞こえてくるのよ、あそこ壁薄いから」

 本当かよ、もうあなたのこと信じられなくなってきましたよ。

「それで? そのポイントはいつどこで使えるのかしら?」

「そんなサービスはない!」

「あら、残念」

 悪戯小僧の表情で笑う花咲。

 残念って、万が一俺のポイントがあったとして、溜めたら何に使う気なんですか。

「でも、花咲の部屋からは何も聞こえないぞ?」

「当たり前じゃない。一人暮らしなんだから。一人で何か話してたらおかしい人みたいでしょ?」

「いや、エキストラやってるから、セリフの練習とかしないのかなって……」

「セリフがあればやりたいけれどね」

 そう零すと、小さく一つ溜息を吐いた。

「……花岡町ってね、昔から映画やドラマの撮影でよく使われている町なの。町自体もそういったことに積極的で、町おこしでロケ地として誘致してたりするのよ」

 そ、そうなのか……。長年住んでるけど全く知らなかったぞ。

「綺麗な自然が汚れることなく残されている町。在りのままの姿で居続ける町。……それが花岡町なのよ。昔好きだった映画の舞台が花岡町でね……」

それでも最近ではあの町もどんどん自然が失われている気がする。ショッピングモールハナオカがいい例だ。

「それでこの町に?」

「そ、高校生になると同時にこっちにきて、お芝居の勉強としてエキストラ派遣会社にアルバイトとして始めたの。どこかの芸能プロダクションに入るお金なんかもないから、エキストラとしてちょっとでもお芝居に携わって、それで、できればどこかでスカウトされれば……なんて思ってるのよ」

「……そんなホイホイスカウトされたりするのもんなのか?」

 そう問うと、花咲は少し寂しそうな笑みに変化させる。

「甘いって、そう簡単に行く訳ないのはわかってる。今活躍している女優さんで、エキストラから成り上がった人がほとんどいないってこともよく知ってるわ。でも……、」

 花咲は少し間を置いた後、大きな使命感に満ちた顔を向け、

「夢は諦めたくないの。これは、私が決めたことだから」

 そうはっきりと言った。

 羨ましいと思った。何も持っていない自分を恥ずかしいとも思った。真っ直ぐな嘘偽りのない瞳に打ち抜かれて、俺は花咲から目線を逸らさざるを得なかった。目の前にいるクラスメイトはとてもとても大きく思えて居た堪れなかったから。

「そっか……」

 陳腐な言葉しか思い浮かばない。

「ごめんなさい、せっかくの旅行なのにこんなつまらない話して……」

 でも、素直な気持ちを伝えるしかない。

「いや、すげぇと思う。応援するよ」

 本心だった。頑張っている人、辛い思いをしている人、そういう人を見ると放っておけなくなるのは、……多分あの時(・・・)からなんだと思う。少しでも、皆に笑顔でいて欲しいって思うのはきっとあの時(・・・)、救われて、俺も笑顔を取り戻すことができたから。

「そう……、お世辞でも、うれしいわ……」

 ふと横を見ると、花咲は少し顔を俯かせながら、頬を朱色に染め上げていた。

 もしかして照れてるのか?

「お、お世辞なんかじゃねえよ……」

「……そ、そう、ありがと」

 珍しく殊勝な花咲につられて、俺まで少し気恥ずかしさを感じながらも、本心であることを伝えると、彼女は薄く染めた頬でふわりと笑って見せてくれた。いつもの妖艶な笑みはどこへやら、急に素のままの笑顔を見せられるとドキリとさせられる。

 その後は会話も止まってしまって、なんとなく通路を挟んでの反対側に目をやると、一葉と佐久間は相変わらず観光マップを見ながら、まだ見ぬ観光名所への想像に耽っていた。

「佐久間くん、これは?」

「ああ、これは恋愛成就にご利益がある有名なお寺だな。ちょうど俺たちの行くプライベートビーチの近くの山にあるらしいぞ!」

「ホント? 行きたいなぁ~」

「え!? みみみみみ碧原は、だだだ誰か成就さささせたい相手が!?」

「うん……ってえええええ!? いやいやそういうんじゃなくて単純にお寺の見学に行こうと……!」

 お互い自分の言動に焦りながらも、楽しそうに雑談している二人。

 なんだよ、一葉のやつ……。満更でもなさそうに。まぁ佐久間だからなぁ。顔はいいし秀才でスポーツも万能。そんな完璧超人な男にあれだけ好意を向けられれば当然か。ま、一葉が気付いているかどうかは怪しいところだが。

 一方、その隣では何やら目を瞑って腕を組み、大汗をかいている男女の姿もあった。

「……~~~〜ぐっ~~~~――」

「――むむ~~~……」

 よく見ると、二人とも尻を浮かせて空気イスの体勢を保ち、歯を食いしばっていた。

「~~~~だぁぁぁぁあぁぁぁぁああもうムリだ!」

「~~~~ぷはぁぁぁぁああ! 正志殿、なかなかやりおるのぉ!」

「いやいや葵殿には負けるでござるよ! 流石は空気イスのプロじゃ!」

 もう全くもって意味がわからない。何故か新幹線の車内で空気イス選手権をしている二人の武士は、清らかな汗を拭いながら健闘を称えあっていた。

 ……見なかったことにしよう。

 色々な意味で隣を見るのが嫌になって、もう一度花咲の方へと向き直る。

「っと!」

 その瞬間、花咲が俺の肩に寄り添うようにこてんと頭を乗せてきた。鼻に広がるシャンプーの匂いが、俺の心臓を連打させる。情けなくも身体が反応してしまって強張る。

「は、花咲!? ……って寝てるのか?」

 均等で静かな寝息が聞こえて、俺は開いている左手で口許を押さえる。ふわりとした柔らかそうな髪の毛が頬の辺りに触れてくすぐったい。

 疲れてんのかな……。先ほどの話を聞いて、そう思わずにはいられなかった。

「お~いハルキ、花咲、皆でトランプやらないか?」

 先ほどまで一葉と観光話題に花を咲かせていた佐久間が、こちらへ顔を覗かせながら声を掛けてくる。向かいの一葉も隣の葵の後ろからひょっこりと整った顔を出している。

「――……あ~すまん、四人でやっててくれ。俺たちはパスだ」

「なにさなにさ! ハルくんも共に大富豪への道を……って……」

 葵が立ち上がり主張を始めたところで、夢の世界に旅立っている花咲に気付いて自分の猫のような口を塞ぐ。

「カホちゃん寝ちゃったの?」

 筑紫も上から覗き込むように確認する。

「ああ、まぁどっちにしろ通路挟んでは邪魔になるからさ」

「じゃぁしょうがないな。では今は四人でやろう! ペンションに着いたらまた後で六人でな!」

 清涼感抜群な笑顔を振りまいて、佐久間がトランプを切り出す。

「――ハ、ハルキ!」

 と、突然一葉が立ち上がって俺の名を呼んだ。

「ん? どした一葉?」

 一葉は柔らかそうな唇をあわあわさせた後、少し俯いて、

「また……後でね」

 とだけ言って、また自分の席に腰を下ろした。どうしたんだろうな一葉のやつ?

 一葉が座ったのを皮切りに佐久間の手から手札となるカードが配られる。その様子をなんとなくボーっと眺めながら、心地よい電車の揺れと、車内の微かな会話の音、そして右肩に感じる花咲の小さな寝息によって、俺の脳にも睡眠の指令が下されてきた。

 やべ……ねむ……――。



 ◇◇◇



 ――くん…………草野くん!


「――――は!?」

「着いたわよ」

 花咲の珍しい大声に脳が強制的に覚醒させられると、電車がもうすぐ目的地の駅へ着くという掲示板が表示されていることと、自分のまずい体勢がすぐに理解できた。

「……俺、もしかして花咲の肩に頭乗せてた……?」

「正しくは私の頭に乗せてたわね。途中で私が頭だけ抜き取ったのだけれど、あなたの身体がこちらに流れてきてたから仕方なく……ね」

 ぐおおおお! マジかよ! 肩を貸してあげてた女の子に逆にカウンターで寄りかかってしまうとは男としてこれほどの不覚があるだろうか!?

「ハルっちゃん、もう降りるぜ。荷物早く取って準備しねぇと」

 筑紫が上の荷台に乗せてある荷物を降ろしながらニヤニヤとやらしい笑みを浮かべている。くっそぉ、筑紫の奴にもばれてんのかよ! このままプライベートビーチで溺死したい気分だ!

 穴が無いなら掘ってでも入りたい気持ちを抑えながら、俺の荷物と花咲の分を降ろそうと席を立つ。すると葵の向こう側で一葉が頬を膨らませながら俺を上目遣いで睨んでいるのが目に入る。

 うん、これは一葉の可愛い表情ランキングベスト……ってそうじゃなくて、俺なんか悪いことしたっけ!?

 一葉は佐久間のやつとずっと話してたし、俺は俺で後半の一時間は全て眠りこけていたから全く記憶にない。

 まさか寝言で余計な事を口走ったんじゃないだろうな俺!? 佐久間もそんな一葉の様子におろおろと俺と一葉へと視線を彷徨わせているし。

 間も無くして電車は駅へと停車して、疎らに乗客が立ち上がり始める。

「ほいよ」

「ありがとう」

 花咲の分の荷物を取って、先に出口へと進みだした四人に続く。その際にも、一葉は俺を綺麗な瞳で睨んでいった。

 うーん、もう可愛いランキングにも入れられないくらいの睨み具合だ。


 改札を後にして、ここからはバスで五駅進んだところで下車し、そこから木々に囲まれた砂利道を汗水垂らしながら(特に筑紫が)歩くこと徒歩二十分。

「おお! ここだよここっ!」

 地図と目の前に建っている木製の家を交互に見ながら、葵がついに到着認定をした。

 はっきり言おう。ペンションめちゃくちゃでけえ! 俺の住んでるボロアパートが歩兵なら、こいつは間違いなく飛車角並だ。ってよくわからない例えだな。まぁとにかくでかい。六人が三日留まるくらいなら何の問題ないくらいだ。いやそれでも大きすぎるかもしれん。

 周りは木々に囲まれ、鳥や蝉などの虫の鳴き声が耳に入ってきて、避暑地としての雰囲気をこれでもかというほど醸し出している。ぎんぎら照りつける太陽光は木々の葉っぱ達がガードしてくれているからとても心地よい。しかし森林の真っ只中すぎて、海があるという感じは受けない。

「す、すごいな枝村の親戚のサーフィンサークルは!」

 ちなみに佐久間たちには店長のことは親戚ということにしている。

「えっとね、このペンションの裏側にプライベートビーチがあって、リビングの大きい窓からそっちに通れるらしいよっ!」

 店長に貰ったであろう説明文付き地図を読む葵。

「まぁまぁ、とりあえずはいってみようぜ!」

 筑紫が催促して、葵が頷きながら木製のドアの鍵を開ける。

「……うわ、埃っぽーい……」

「なんだこれ、お化け屋敷かよ!?」

「……蜘蛛の巣張ってるわよ、あそこ」

「ごほっ、なんか臭いぞ!」

「あははっ、二年使ってなかったらしいからねえ」

「……まずは皆で掃除だな!」

 まさか旅行に来て、掃除する羽目になるとは夢にも思わなかった。

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