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第一話:始まり
「なぁー…ちょっと相談乗ってくれない?」
いつもお調子者の河合が真面目な面持ちで話しかけてきた。
「え…?なんだよ。突然。」
あまりに突然なことで口に運んでいた玉子焼きを斜め45度の角度で止め、河合を見上げる。
「俺が今から衝撃的に事実をお話しするからデカイ声出すなよ。」
河合が眉間に皺を寄せながら言う。
「俺さぁー...好きな子が居るんだよね。」
河合が真剣な顔で言う。
「え!?マジで??」
俺が大きな声を上げたので、周りのクラスメイトが此方を見る。
「お前声でかいよ。」
ブルドッグ河合が神経質になり俺を戒める。
「ここじゃ何だから屋上行こうぜ。」
河合は、まだ半分ほどしか弁当を食べていない俺に向かって言った。
「え!?ちょっと待てよ。俺まだ弁当食べてないって。」
河合は、そんな俺を置いてそそくさと教室を出て行ってしまった。
俺もなんだか一人になって気まずく、食べかけの弁当をかばんにしまい河合の跡を追った。