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アホみたいな人生でした

作者: アホ
掲載日:2026/03/14

 よし、死のう……。


 そう思って、井戸の深い底を覗き込んだ時、走馬灯みたいなアレが頭の上でぐるぐる回りはじめた。


 思えばアホみたいな人生だった。

 自分は天才だと信じ、30歳過ぎまではやたらと偉そうだった、自分の高慢な笑顔が頭の上でぐるぐる回る。

 平凡なやつだったとわかった。誰もから笑われ、蹴倒され、果てには無視されて、それまでもっていた根拠のない自信がガラガラ崩れ、あとに残ったものは借金だけだった。

 いつか世に羽ばたき、誰もが知る自分になるはずだった。Xのフォロワーは100万人を軽く越え、アメリカにもファンのいる自分になるつもりでいた。

 それがどうだ。今、そんなはずだった自分が、誰も知らない竹藪の中の古井戸に、身を投げて死のうとしている。

 こんなものを書いて小説家になろうに投稿すれば同情されて、誰かから優しい声をかけてもらえるとか、思っている。


 よし、サッサと死のう。


 こんな恥ずかしい自分をこの世から消去しよう。


 この文章も投稿せず、サッサと身を投げるんだ。


 そうすれば借金も踏み倒せる。


「まったく……。どこまで家族に迷惑をかけるんだ」


 うっ……?


 父の声が空から降ってきた。


「おまえのせいで娘たちが嫁にいけなくなるぞ」


 兄のいつもの見下す声も降ってきた。


「いいトシしてまだ漫画なんて描いてるの?」


 母の呆れる声も降ってきた。


「「「おまえなんか家族にいらない」」」


「「「おまえなんかこの世にいらない」」」


「「「でも身を投げることは許さない」」」


 そう言われるとムクムクと、何かをしてやりたい気持ちが起こってきた。


「Kちゃんの漫画、面白いね」

 ふいに、懐かしい友達の声が降ってきた。

「いつかプロになれるかもよ」

「天才」


 さらにムクムクと、死にたい気持ちがおおきくなった。最大になった。


「おまえ、才能ないよ」

 そこに突然、ネットで名無しさんから言われた言葉が降ってきた。

「つまんねー」

「人生諦めて、早く死ねば?」


 あっ。


 何かがプツンと切れた。


 私は古井戸にかけた手を離し、誰もいない竹藪を振り返った。夜空に浮かぶ金色の月に拳を振り上げた。

 気持ちが軽くなった。生きる希望が湧いてきた。知ってるひとからけなされるのも褒められるのも死にたくなるが、知らないひとから罵倒されると楽しくなるのが私なのだ。


 あぁ……


 だからか。


 こんな変なやつだから、わかってもらえないのか。


 わかってたまるか。


 盗んだバイクに飛び乗ると、夜の町へと走り出した。




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― 新着の感想 ―
窃盗罪ー!
何処行くのー! 人生もストーリーもぶっ飛んでますよー! だが、それがいい(ひどい)。
尾崎豊っすか? 知らんけど
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