魔王城爆散!!!うわーーー!!!
余は魔王。魔族を束ねる王である。
魔界の中心に巨大な城を築き、王として君臨している。
ゆくゆくは人間共の世界全土を支配する予定だ。
玉座にどっしりと構え、部下の報告を聞く。
「魔王様!技術開発部より新兵器が完成したとの事です!」
「ほう。早速彼らを呼んでくるがよい」
「はっ!」
数分後。
「魔王様!こちらが人間共の使う魔導器とやらを解析し発明した新兵器でございます!」
「ほほう。」
最近、人間共は魔力が無い者でも魔法を使えるようになる『魔導器』なる兵器を使うと聞く。敵ながら天晴れ…だが!それも今日までである。
「全ての属性の魔法を自由自在に操れるのです!」
「チンケな人間共の技術とは格がちげーのであります!」
「懸念点は試運転をまだしていない事ですが…」
「よい。余が許す。」
正直に言うと、好奇心が勝ってしまった。余も新しい事には目が無いのである。
「それでは僭越ながらまず火の魔法を…」
「あっ」
ドカーーーン!!!
魔王城 爆散!!!!!
「うわーーーーー!!!!!!」
その日、魔王城は半壊した。
「皆の者!無事か!!咄嗟に城の者全員に防護魔法を付与したが、漏れがあるとまずい!」
「すみませんでした…」
「よい。失敗は成功の母だ。また改良して持ってくるがよい」
「しかし、我々など放っておいて城に防護魔法をかければ良かったのでは…」
「阿呆が。城はまた建て直せばよいが、貴様らの命は取り返しがつかぬだろう。」
数日後、大量の魔王軍達により城は建て直された。
「たあっ!」
「それでは駄目だ。魔力を制御できておらん。」
「しかし魔王様直々に指導をいただけるとは、有り難いです。」
「ククク…部下の育成も上司の仕事よ」
「よし、次は向こうのドアに届くぐらいの飛距離で…!それっ!」
ガチャ
「魔王様、城周辺に置く侵入者対策の超強力地雷を用意いたしまし
「あっ」
ドカーーーン!!!
魔王城 爆散!!!!!
「またかよおぉぉぉ!!!!!!」
「ノックを忘れていましたぁぁぁ!!すみませんんんん!!!」
「良い。丁度リフォームがしたかった所よ」
「しかしまずいですよ魔王様。まだ勇者も来てないのに魔王城が2回も半壊しています」
「確かにな…こういうのは大抵最後の戦いとかでブッ壊れるものだものな」
「壊れることに抵抗は示さないんですね」
「もう玉座の間は火気厳禁にしよう」
数日後、もう慣れた手つきで魔王城は再建された。
「皆の者!絶対火出すなよ!絶ッッ対火出すなよ!!」
ガスを操る魔物、デススカンクがミスって玉座の間にメタンガスを充満させてしまった。ここに火をつけでもしたらどうなるかは考えるまでもないだろう。
「魔王様。落ち着いて換気すれば問題無いですよ」
「あ、ああ。すまん。つい身構えてしまった」
「魔王様、そろそろ魔王軍採用面接の時間です」
「全くこんなタイミングに…仕方あるまい。入ってこさせるがよい」
コンコン、と扉がノックされ、人影が入ってくる。
「初めまして!炎男です!!」
「あ゙ーーーーー!!!!!!」
ドカーーーン!!!
魔王城 爆散!!!!!
「魔王ーーッッ!!今日こそ決着をつけるぜ!!」
「爆散はこれで3回目か…」
「『爆散はこれで3回目か』!!??」
「ああ、勇者か。すまないが魔王城は見ての通りでな」
「なんでこんな事になってるんだぜ!?」
「誰も悪くない…誰も悪くないんだ…」
「心労が凄まじそうな顔だぜ!!」
「駄目だ…どう足掻いても城が爆散する…」
「タイムリーパーみたいな事言い出したぜ!!」
ため息をつき、勇者に向き直る。
「そういう訳で、決闘はまた今度にしてくれるか?」
「わかったぜ!」
「聞き分けが良すぎて心配になってくるな」
勇者が背を向けて帰ろうとしたその時、大地が光り輝き始めた。
地響きと共に、何かが地上に迫り上がって来る。
「何事だ!?」
「とてつもない魔力を感じるぜ!」
禍々しいオーラを纏う怪しげな影が魔王城の残骸から姿を現した。
「フハハハ…我の名は新魔王!よくぞ先代の魔王を倒したな勇者よ!」
「いや別に倒してはないんだぜ」
「何ッ!?え…だってもう3回くらい魔王城爆散してるしそろそろ世代交代かと思って出てきたんだが」
「余も普通にいるぞ」
「本当ではないか!!」
「というかコイツ何者なんだぜ!?裏ボス的なやつなんだぜ?」
「いや余も知らん。怖い。」
「フハハ…いいだろう。教えてやる。我は魔族の怨念によって生まれた存在であり、現在の魔王が撃ち倒されると顕現し全てを破壊する」
「撃ち倒されてないぜ!」
「ラスボスが言いがちな『いずれ第二第三の魔王が…』って感じのやつか。確かに余も死に際に言ってみたいセリフだな。死ぬ気は微塵も無いが。」
「おっと…そうはいかんぞ。言っただろう我は全てを破壊すると。人間も魔族も全て皆殺しにし、この星を我が物にしてくれるわ…!!」
余は勇者と目線を合わせると、同時に頷いた。
「勇者スラッシュ!!!!」
「魔王ビーム!!!!!!」
「ぐわーーーーー!!!!!!」
ドカーーーン!!!
新魔王爆散!!!!!
強大なエネルギーが暴走し魔王軍大打撃!!!!
侵略どころではなくなり人類と魔族和平交渉!!!!
平 和
爆 誕!!!!
「…という話が昔あったのだ」
「え〜勇者様ほんと〜?」
「本当だぜ!」
「重要な歴史が爆発オチなのやだな〜〜」