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勝者 vs ジェットばばぁ

ターボばばぁとか別名は色々ある。基本無害だが、殺意みなぎる有害な種も確認されている。

「いやーん、お風呂中なのにぃ」

 転送されてすぐに黒髪女性は声をあげた。ものすごい反応速度である。

「お姉さまは服を着て入浴する習慣があるのかい?」

「やっぱりこっちすごい勢いで見たじゃん、スケベガイジン」

「ガイジンは差別用語だよ、超抗議するよ」

 3回目ともなると2人とも慣れたものである。あのトイレの花子さんとの死闘からまた1週間。どうやら1週間に1回バトルがあるようである。

「で、今回は誰?」

「えっと…何これ?またご老人?ジェットばばぁって書いてあるよ?知ってる?」

 1戦目に子泣き爺を担当した事から、またと言っているようである。

「ジェットばばぁも知らないの?ものすごいスピードで走るおばあちゃん」

「オチがもう見えたよ。すごいスピードで走って壁にぶつかって自滅して口裂けちゃん3連勝とかきっとそんなだよ。で、何でジェット?」

「多分、ジェット機とかジェットエンジンとかのイメージじゃないかな?」

「別にジェットエンジンはスピード保証するエンジンじゃないよ?」

「保証はされてなくてもすっごい加速出来るんでしょ?よく知らないけど。いいんだって、そんなのコングをサルっていうか巨大猿の代名詞に使ったり、ジャンボを巨大なもの名前につけたり、日本人サイコー」

「コングってそもそも何?」

「ガイジンなのにそんなのも知らないんだ?」

「また差別だよ?ガイジンじゃないよ、せめて外国人と呼ぶべきだと抗議するよ」

「スポットライトまだー?」

「話そらすなよ。コングって何だよ」

「知らない。知らないけどサルではないでしょ。ちなみにジャンボは挨拶かな。ジャンボジェットでジャンボ=大きいって誤解された。ハイジャックのハイもそうか。ボスをハイジャックとか言ったら、バスジャックだろとか言われて…えぇぇぇって思ったの覚えてる。せめてロードジャックにしろ」

「何の話してるのわかんないよ。あ、スポットライト当たったよ。あ、それで走るの早いのわかったけど、それで何するバケモノなの?」

「いや、見てあげなよ、口裂けちゃんがスポットライト浴びてるんだから。相変わらずこっち見てるし。…えっとね、主に高速道路に出没して、ものすごい勢いで走って車の中っていうかドライバー見て、ドライバーも見てくれたらニヤって笑ってものすごい勢いで追い抜いていって勝ち誇る感じ」

「それだけ?」

「私が知ってるのはそうだね。可愛いよね、無害だし」

「それでどうやって勝つんだよ。人選絶対間違ってるよ。こんな狭い会場で何が出来るんだよ、おばあちゃん」

「思ったよりちっちゃくてホントに可愛いおばあちゃんだった」

「おばあちゃん逃げて包丁持った危ない人が…」

「ジェットばばぁなら逃げれるでしょ」


『ねえ私キレイ?』

『ん、おやおやでっかいマスクだねぇ?』

『ねえ私キレイ?』


「ジェットばばぁって会話出来たんだ…」

「会話試みた人いなかったの、今まで?」

「さあ?」


『全く最近の若い子はそうやってすぐ外見ばかり気にしていけないね』

『ねえ私キレイ?』


「口裂けちゃんって対人能力低いよね。おばあちゃんの雑談にぐらいつきあってあげればいいのに」

「というか、私キレイ?って聞く度にマスクで隠しきれないぐらいに口がぱかぱか開いてるの本人気づいてるのか知りたいところだよ」

「黙ってれば可愛いのにね」


『もっと走った方がいいね、もっと走り込みだよ、何事も基本は走り込み』


「何か昭和の熱血指導者っぽいね、おばあちゃん」

「でも、これまた戦いにならないパターンだよ?」

「んー、でも、おばあちゃんが禁句口にしたら口裂けちゃんの勝利だからなぁ。全然互角じゃないっていうか、ジェットばばぁに勝ち筋ないし」


『外見ばかり気にしてるのは心が醜い証拠だよ』


「おばあちゃんヒドい偏見だ。でも、あーあ禁句口にしちゃった。またご老人に犠牲者が…」

「心が醜いでもアウトなの?心狭いよ、口裂けちゃん。あ、あー。逃げておばあちゃん」

 口裂け女が包丁を手にものすごい勢いでジェットばばぁに向かってダッシュをかける。

『やれやれ走り込みが足りないよ、走り込みが』

 だが口裂け女の包丁はジェットばばぁに刺さらない。

「ババァすごいよ、いいよ、おばあちゃん、これもしかして口裂けちゃんが疲れて体力勝ちとかある?」


『ほらもっと走って、走って。こんな年寄りに負けてどうするんだい?走れば走るほどいい女になれるんだからね』


「いいぞ、おばあちゃん」

「ジェットばばぁすごいわ。壁にぶつからないように走り回ってる?若干キモいけど」


『ほらどうした足が止まって…ぐはっ』


「え、何が起きたの?え?」

 気づいたその時にはジェット婆は包丁を一突きされていた。

「あー、瞬間移動するタイプの口裂け女だったんだ、彼女」

「何それ?そんなのいるの?」

「レア種だねー。おじいちゃんに続いておばあちゃんまで。子泣きと違っておばあちゃん無害だし、何か見てて痛々しいし、後味悪いし」

「大丈夫だよ、スタッフが後でおいしくいただくよ、きっと」

「治療ね」


 こうして、口裂け女の3連勝で戦いは幕を閉じた。

瞬間移動は反則

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