第 漆拾壱 話:ガルビーヤの浮き城
交流が始まって三日後が過ぎた日の朝。今回、源三郎達は日ノ本の遊戯道具を持って城を訪れていた。
そして少し大きく絢爛な部屋で源三郎達は持って来た遊戯を広げて楽しく交流を行っていた。
「では続いて“ 秋の田の かりほの庵の苫をあらみ”」
床に敷かれた大きなアラビア絨毯の上に正座をして天智天皇の和歌の一部を読み上げた源三郎。
すると源三郎から見て右に氏康、左にトリュファイナが正座をして並べられた、かるたを凝視し風を切る様な素早い手の動きでお互いに続きの“ わが衣手は露にぬれつつ”に手を掛けた。
ほぼ同時、トリュファイナは氏康に向かって自信に満ちた笑顔で言った。
「私が早かったですよ。譲って下さらない?」
すると氏康は少し冷たさを感じる視線と表情でトリュファイナに向かって言った。
「それはどうですかねトリュファイナ様。どっちが早かったかは貴女様でも分かっているのでは?」
威圧とも恐怖とも言い難い心の隙間に入り込む様な無の重さにトリュファイナは根負けし、ゆっくりと自身の手を引っ込めた。
そして氏康に向かって深々と頭を下げた。
「氏康様、申し訳ありません。参りました」
自ら勝負を降りたトリュファイナに対して氏康は深々と彼女に向かって頭を下げた。
「いいえ。とても勝負心が熱くなった良い勝負でした。トリュファイナ様、こちらこそありがとうございます」
二人の真剣勝負を正座で観戦していた源三郎と他の者達は驚きの声を上げた。
「まさか・・・老若男女、問わずテーブルゲームでは負けた事がない母上が負けるなんて!」
初めて自身の母親が負けた光景に驚愕するクレオパトラに頭を上げたトリュファイナは笑顔で言った。
「クレオパトラ、確かに私はテーブルゲームは強いけど、それでも“勝利と栄光は永遠に続くわけではない”のよ」
トリュファイナが語った哲学にクレオパトラは納得した表情をした。
「そうですね母上。しかし永遠でなくても私は必ず、父上の跡を継ぎ、この偉大な古の王国を人々の記憶から消えない永遠の王国にしてみせます」
次期女王としての覚悟と意志を秘めた眼差しをするクレオパトラの姿にトリュファイナは安心した笑顔をするのであった。
するとそこに一人の近衛兵が慌てた様子で入室し、正座し観戦していたネフェルタリの元に近づき、耳元で何かを呟くとネフェルタリは驚いた表情をして頷いた。
そして近衛兵が部屋を去ったネフェルタリはムザッファルに向かって大声で言葉を掛けた。
「ムザッファル!先程の近衛兵から緊急の知らせが来ました‼二十万に及ぶカトリックの十字軍がアレクサンドリアの近海に出現‼先方で上陸した宣教師が“神のお告げに従いエジプトに蔓延る異端者達を駆逐し、再び東ローマ帝国の元にお返しする。ここに大いなる聖戦、レコンキスタを宣言する”と‼」
ネフェルタリからの報告にムザッファルは言葉を失った様に驚愕した。
「なんと‼・・・おのれカトリックめぇーーーーっ!すぐに残っている兵力を搔き集め!カイロの守りを固めます‼」
ムザッファルは重く怒りに満ちた口調で言うと報告を聞いていた氏康が突然、真剣な表情で二人の間に物申した。
「お待ち下さい!そのお役目、我らに一任させてはもらえませんか?」
氏康からの突然の申し出に驚いたムザッファルとネフェルタリであったが、二人は落ち着いた表情で氏康に対して申し出を拒否した。
「氏康様、これは我らエジプトとカトリックとの戦いです。申し出は嬉しいのですが、盟友ジパングの者が戦いで死んでもしたら同盟にヒビが入ってしまいます」
「さよう。氏康殿の戦上手は聞いてはおりますが、ここは地形も気候もジパングとは違いますぞ」
ネフェルタリとムザッファルが心配する一方で氏康は首を横に振るのであった。
「ご心配、ありがとうございます。しかし我らであれば攻めて来る十字軍の大群を少数で追い返す事が出来ます」
自信と揺るぎない強さを感じる表情をする氏康の姿に二人は渋々、了承する事となった。そしてムザッファルは急いで信長達を連れてヌビア砂漠に向かったラムセスとサラディンの元に伝令の兵を向かわせた。
一方、氏康達はムザッファルと共に急いで戦の支度をし、カイロに残った少ない兵力に招集を命を出した。
⬛︎
戦の支度をした氏康達は早速、ムザッファルと共に搔き集めた軍と共にアレクサンドリアとカイロを結ぶ中間の要塞都市、“ガルビーヤ”へと向かった。
二日間の移動で日が沈む前にガルビーヤに到着し、そして氏康達は用意された屋敷内で軍議を開き、攻めて来る十字軍に対する対抗策を話し合っていた。
「やはり籠城あるのみだな。要塞の周りに住む人々を要塞内に入れて徹底的に交戦するしかない」
テールに広げられたガルビーヤの地図を見ながらターバンとチャール・アイナを着こなし下顎を右手で触りながら提言するムザッファルに対して甲冑を着こなす氏康が意見した。
「あの、やはり地形を活かした戦いの方が良いと思います。要塞の郊外に簡素な出城を作って迎え撃ちましょう」
氏康の突拍子のない提案にムザァファルと青いターバンとチャール・アイナを着こなしたイマードゥッディーンは驚く。
「一体何を言っているのですか氏康殿⁉」
「そうです!城を作ると言っても木材も石材も足りない状況でどうやって城を作るんですか?」
すると氏康は手に待つ縦巻きの紙を地図の上に広げると、それは成田氏の居城である忍城の図面であった。
「この忍城と呼ばれる平城でして、ここは大小の川が存在する湿地帯ですから都市にある少ない木材と石材で十分に作れますし、十字軍が来るまでの間に建築と戦の準備は整えます」
「しかし氏康殿、城壁はどうするのですか?あなた方、ジパングの武士が使う堀を使った“見えない城壁”で本当に敵の攻撃を防げるのですか?」
疑うイマドゥッディーンに対して氏康は揺らぎのない自信に満ちた表情で頷く。
「大丈夫です。ただ少し城を作るのに多くの人々を貸してくれれば幸いです」
しかし未だに信じる事が出来ないイマドゥッディーンであったが、ムザァファルは頷いた。
「分かった氏康殿。こちらも少しではあるが、近衛兵を出そう」
「ムザァファル様!」
驚くイマードゥッディーンに対してムザッファルは彼を制止させる。
「今の我々の現状ではカイロに向かっている王国軍の主力が到着するまで敵を足止めするのは難しすぎる。ならばここは彼らに任せよう」
ムザッファルの落ち着いた言葉にイマードゥッディーンは悔しそうな表情で無言で頷いた。
その後、念入りな話し合いの元で作戦が立案され、翌日の日が出始める早朝に氏康達は必要な人員と資材を持ってガルビーヤの郊外へと向かった。そして北西方向に向かい西にロゼッタ川、東に血管の様に流れる小ブルルス川の間に到着し、人海戦術をフルに動かし突貫工事で出城の建設を行った。
甲冑を着こなす源三郎は両手に持つ計画書を元に堀と土手の作業を行う人々に的確な指示をしていた。
「もう少し土を盛って傾斜を付けて固めるんだ。それと堀の中は固めず畑を耕す様に土を掘り返した状態のままにしておけ」
「分かりました」
源三郎の指示を受けたエジプト人の土木家は頷き、駆け足で持ち場へと戻って行った。すると角ばった細い道の外側の方から七匹の背に誰かが乗った馬が走りながら源三郎の元に現れる。
「ご家老ぉーーーーっ‼ご注進を聞き!死に物狂いで急ぎ戻りました‼」
「おおぉーーーーっ!左之助‼それに忠司!平助!」
兜と甲冑を着こなす左之助、忠司、平助との再会に喜ぶ源三郎に対して兜と甲冑を着こなした景、直虎、義昭が馬から降り、彼の元へと向かった。
「爺‼状況はどうなの!」
「景様!はい!早朝から搔き集めるだけ集めた人達を惜しみなく動かしているので‼何とか敵が現れる前に出城は完成すると思います‼」
源三郎からの報告に景は少しホッとした表情をする。すると源三郎の後ろから甲冑を着こなした秀政、頼芸、義昌が駆け足で義昭の元に現れた。
「「「義昭様‼」」」
「皆!」
すると今度は黒いターバンとチャール・アイナを着こなしたサラディンが馬から降り、源三郎に話し掛けた。
「源三郎殿、ムザッファル将軍とイマードゥッディーンは居るか?」
サラディンの問いに源三郎は城門の方を向き、門を指差しながら答えた。
「ええ居ますよサラディン殿。お二人は今、城の大広間で兵士達の配置を話し合っています」
「そうっか。ありがとう」
サラディンはお礼を言いながら軽く頭を下げ、乗っていた馬を引き連れて城へと向かった。
そして二日目には援軍の為に来た左之助達と少数ではあるが、彼らが引き連れて来た兵士達も加わり出城の建築は予定より早く完了し、城の周りに作れた浅く幅の広い堀にロゼッタ川と小ブルルス川から水を引き入れた。
そして持って来た秤量を城に入れるのと同時に連れて来た兵士達を軍議で決まった塀に配置した。
⬛︎
三日目の夜、戦に備えてガルビーヤ近辺に住む村々の人々の避難を行われ、二日後には避難完了し、一方の出城では出来る限りの更なる秤量と武器の搬入を行うのと同時に出城の平屋敷の奥、明かりが灯った大広間で各守りの配置決めを行っていた。
「では各守りの配置を決めます。まず北の門、“ホルス門”は我ら小田原北条軍が務めます。次に西の門、“バステト門”は足利軍、東の門、“ヘケト門”はエジプト軍、南の門、“ゲブ門”は源三郎殿、鬼龍軍に任せます」
床に広げられた出城の地図を使って甲冑を着こなし胡座をする氏康からの配置決めに皆が甲冑またはチャール・アイナを着こなし胡座する皆は一同に頷く。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おおぉーーーーーーっ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」
皆の返事を聞いた氏康は更に作戦の説明を行った。
「それと各門が危うくなったら、お互いに助け合う事を心掛けよ。友軍の主力が到着するまで出来る限り時間を稼ぐぞ!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おおぉーーーーーーっ!」」」」」」」」」」」」」」」」」」
氏康に向かって皆は再度、気合の入った返事した。するとそこに頭形兜と甲冑を着こなした一人の小田原北条軍の足軽隊長が駆け足で皆の前に現れ、片膝を着いた。
「総大将!敵軍が現れました‼︎この出城を囲む様に軍が配置されています!その数は見た感じでは十万以上は居ます‼︎」
足軽隊長からの報告に氏康達は驚き、早速、確認しに塀へと向かった。
塀に配置された足場を登ると水堀の向こうには出城を囲む様に松明を灯した青い十字が描かれた白いサーコートとチェイン・メイルを着こなし、頭にサレットヘルムやノルマンヘルム、アーメットヘルム、バシネットヘルム、グレートヘルム、シュガーローフヘルム、ケトルハットを被ったカトリック十字軍の騎士達が隙間なく出城を囲んでいた。
「まるで小さな蟻蟻が巨大な象に挑む様な感じだなぁ。この戦、勝てると思うか源三郎殿?」
あまりにも敵軍の大きさに苦笑いで弱音を吹かせ始めた氏康に彼の右隣に立つ源三郎は少し強く左手で背中を叩いた。
「何を今更、弱音を吐くんですか氏康様?忍城だって大軍相手に見事、落城を防ぎ切ったのですよ。巨大な象は巨体ゆえに足元が見えません。ならば蟻蟻は自身の小さな体を活かして巨大な象の足元に向かって思いっ切り噛み付いてやればいいのですよ!」
揺るぎない自信に満ちた笑顔で喝を入れる源三郎に氏康は思わずフッと笑ってしまった。
「そうだな源三郎殿。その通りだ」
こうして源三郎からの喝で迷いと弱音を振り切った氏康は改めて戦う決意を固めた。
翌日、先に攻撃を仕掛けたのはカトリック十字軍であった。激しい移動式の投石機からの投石攻撃の後に左腕にカイト・シールドとヒーター・シールドを備え、右手にアーミングソードやショートソード、ブロードソード、バトルアック、メイス、そして小さい青い十字の旗を付けたハルバートとランスを右手に持った、騎士達が城に向かって進軍した。
だが泥濘だ水堀で足を取られてしましい思う様に動けない所を城を守る日ノ本とエジプトの合同軍がスナイドルMk.Ⅲ小銃で一斉に射撃した。
戦いが始まって一時間、双方の兵士達の雄叫びが混じり合う中で戦いの流れは完全に合同軍にあった。
「近づける物なら近付いてみよ!この日ノ本一の弓術士‼︎ 小笠原 秀政がお前達の命を射抜いてやる‼︎」
そう言いながら兜と甲冑を着こなす秀政は塀の上からカトリック十字軍の騎士達を一人また一人と和弓で射抜き、時にはヘルムの隙間を通して射抜く神技を見せていた。
「おら!おら!どうしたぁーーーーーーーっ‼︎この里見 義堯の前に肝を潰したかぁーーーーーーーーーーっ!」
城門の外に出て兜と甲冑を着こなす義堯はそう大声で細い道の中心で密集状態となって後退りするカトリック十字軍の騎士達を自慢の薙刀で払い除ける様に倒していく。
「おお!義堯もやるなぁ‼︎だとすれば、この楠木 正虎も負けるわけにはいきませんなぁ!」
門が閉じた城門の前で義堯の斬撃を掻い潜り城門前まで来た多数のカトリック十字軍の騎士達を正虎は打刀と小太刀の二刀流で、まるで舞を舞う様な鮮やかな剣捌きで次々と騎士達を倒していく。
「さぁ来てみよぉーーーーーっ!この正木 丹波を止める者は居らぬのかぁーーーーーーーっ‼︎」
挑発する様に大声で言う兜と甲冑を着こなす丹波は自前の和槍で足場の悪い水堀の中を難なく動き回りながら泥で足を取られているカトリック十字軍の騎士達を次々と倒していく。
「ここから先!何人たりとも通さん‼︎我が諏訪 頼水は命は氏康様と諏訪明神と共にあり‼」
そう大声で宣言する兜と甲冑を着こなした頼水は草薙剣に匹敵する直剣型の神剣、『神度剣』を右手で横に向かって振い巻き起こした風で目の前の騎士達を吹っ飛ばした。
すると風を抜け頼水の後ろに回り込んだ五人の騎士達が横並びとなり手に持つランスを頼水に向ける。
「今だ!串刺しにしろぉーーーーーっ‼︎」
一人の騎士が大声で指示を出した瞬間、中央に居る騎士の後頭部から血を噴き出して倒れた。何が起きたのか理解出来ぬ間に残った四人の騎士達も後頭部から血を噴き出して倒れた。
彼らの後ろにあった城門の上に作られた櫓門の格子窓から長親がマルティニ・ヘンリーMk.1小銃を使って正確な狙撃と素早く動作で頼水の背後を守った。
「わしは剣術や弓術などの武術はからっきしだが、銃を使った狙撃なら大得意だ!」
そう言って長親はニヤッとしながらレバーを操作し、再び格子窓の隙間から狙撃を行った。
⬛︎
一方、エジプト軍は湿地帯に慣れている者が多く、城門の外に出ては細い道や水堀の中で激しくカトリック十字軍の騎士達と乱戦を繰り広げていた。
「去れ!忌まわしきカトリックの腐敗者共よ‼︎地獄に堕ち!裁きを受けよぉーーーーーっ!」
そう大声で言いながらチチャクヘルムとチャール・アイナを着こなしたムザフッルはランスを振るい、次々と騎士達を倒す。
「異教徒共よ!偉大なるアッラーを崇める我らの力をとくと見よぉーーーーーーっ‼︎」
大声そう言ったチチャクヘルムとチャール・アイナを着こなしたサラディンは右手にマムルークソードと左手にジャンビーヤという異色の二刀流で蹴り技を繰り出しながら次々と騎士達を風に様な剣捌きで倒す。
「我らのアッラーは偉大なり!アッラーに代わって我が卑しい貴様らに神罰を与える‼︎覚悟しろ!」
そう大声で宣言したチチャクヘルムとチャール・アイナを着こなしたイマードゥッディーンはポールアックスを両手で持ち、水堀の中で水飛沫と泥を撒き散らしながら次々と騎士達を倒す。
源三郎達、鬼龍軍も城外で激しい白兵戦を繰り広げ、特に兜と甲冑を着こなした源三郎、左之助、忠司、平助、景、直虎、義昭、さらに城の総大将である氏康自らも戦の前に立ってカトリック十字軍の騎士達を次々と倒していた。
「おい!一体何だよ‼︎あいつらは⁉︎」
「泥の中でも平気で動けるなんて‼︎奴らは人間じゃねぇ!」
「悪魔だ!奴らは人の皮を被った悪魔だぁーーーーーーーーーっ‼︎」
源三郎達の鬼気迫る表情で戦う姿に騎士達は怯え始める。
一方の兜と甲冑を着こなす氏康は水堀の中で水飛沫と泥を撒き散らしながら愛刀であり小田原北条氏の家宝である“鬼丸”を振るっていた。
「しかし!よいのですか‼総大将自ら戦場に出ても!」
源三郎は大声で問い掛けながら愛用の槍、氷鬼の刃先に刺さった騎士を蹴って外すと一人の騎士の首を左の脇下に挟んでいる氏康は騎士の顔を片手で思いっ切り回し、首をへし折ると答える。
「ああ!真斗の義兄上だって‼自ら戦場に出て戦っているではありませんか!」
「ハハハハハハッ‼それはそうですなぁーーーっ!」
源三郎が笑っていると堀に向かって入って来る騎士達の前に無数の砲弾が着弾し、騎士達は吹っ飛んだ。
突然の砲撃に源三郎達を含めて双方は攻撃の手を止めた。するとカトリック十字軍の後方に見える出城を囲む様にある少し高い丘の向こうから織田軍、ムガル軍、イスラム軍、そしてエジプト軍の旗印が見え始めた。
「信長様の御旗だぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!我らの勝利じゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」
鬼丸を高々に上げながら勝利を宣言する氏康に続いて日ノ本とエジプトの兵士達も地を揺るがす様な歓声を上げる一方でカトリック十字軍の騎士達は丘を見ながら自分達が完全に孤立した事を悟り、絶望した表情をする。
そんな騎士達に向かって氏康は丘まで届く勢いで大声で問い掛ける。
「聞けぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!十字軍の騎士達よぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼戦は終わった!武器を捨てよぉーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼これ以上の戦は無意味ぞぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
それを聞いた騎士達は戦意を消失し、涙を流しながら武器と盾を捨てて膝から崩れ去るのであった。こうして二度目の十字軍のエジプト侵攻は失敗に終わり、またこの『ガルビーヤの戦い』で作られた日ノ本の出城は後世で『ガルビーヤの忍城』または城を囲む大きな水堀が城が水上に浮いている様な光景から『ガルビーヤの浮き城』と呼ばれる様になった。




