第 漆拾零 話:日と太陽の交流
キレーネでの反乱制圧から二日後、カイロへと戻った鎮圧軍はエジプトの民達は凱旋する彼らを大いに出迎えた。
そして戻った明智達はサラディン達と共にアルカホーラ城の玉座の間でラムセス二世に今回の反乱制圧の報告をしていた。
「そっか。流石、武士と呼ばれるジパングの騎士達だ!」
片膝を着いて頭を下げる明智達を褒めるラムセスに対して彼らの前に立ち右手を胸元に置き、軽く頭を下げるサラディンも明智達の活躍を褒め称えた。
「はい、陛下。確かにジパングの武士達の戦いっぶりは誠に感服いたしました。武術のみならず知略にも長けており彼らと手を結ぶべきです」
サラディンの素直な明智達に対する敬意と後押しに玉座へと続くレッドカーペットの左右に立つ多くのエジプト元老院達が驚く。
するとザワザワする空間を静める為にラムセスは右の手の平を騒ぎ立つ元老院達に見せて落ち着きを取り戻した。
「分かったサラディンよ。お前はもう下がってよい」
「はっ!」
サラディンはゆっくりと二歩後ろに下がり、片膝を着いて身を低くした。そしてラムセスは自身が座る玉座の左側で和製南蛮甲冑を着こなし床几に座る信長に声を掛けた。
「信長殿、我らエジプトは貴君の国であるジパングと同盟を結びたい。我らも今、神聖ローマ帝国とバチカンからの脅威に晒されている。どうか力を貸してはくれまいか?」
ラムセスからの心からの願いに信長はフッと笑い、立ち上がるとラムセスに自身の右手を笑顔で差し出した。
「もちろんですファラオ・ラムセス。我ら日ノ本の力、お貸ししましょう」
信長の前向きな答えにラムセスも立ち上がり、信長の手を取りギュッと握った。
「ありがとう信長殿。元老院達よ!太陽神ラーの名の下にこれよりエジプトはジパングと同盟を結ぶ!異論は認めん‼︎よいな!」
ラムセスからの強引ながら王としての威厳と権威を見せつけながら日ノ本との同盟締結の宣言に元老院達は皆、片膝を着いて深々と頭を下げた。
「「「「「「「「「「「「「「「ははぁーーーーーーーーーーーーーっ‼︎」」」」」」」」」」」」」」」
するとラムセスは信長にある提案をした。
「信長殿、もし出来るのであれば我らエジプトの民達にジパングの文化など教えてはもらえないだろうか?異文化の交流は互いに大きな利益をもたらすはずだ」
ラムセスからの異文化交流の提案に信長は笑顔で頷く。
「もちろんですよ。では我が軍の中で教え上手な家臣をそちらに派遣します」
「おお!ありがとう」
その後、信長は源三郎の他に何人かを指名しラムセス二世の元に派遣される事となった。
⬛︎
翌日の朝、源三郎達は必要な物を持って和服姿でラムセスが用意してくれた屋敷を出て城へと向かった。
多くの人々で賑わう市場の光景に源三郎達は笑みを浮かべていた。
「おお!あれを見て下さい長親様!見た事もない食材ですよ」
源三郎が指差しながら売られている果物に長親は感心する。
「本当だ!リンゴやミカンの他にも変わった果物があるなぁーーーっ」
長親は興奮する様にスタスタと果物が売られている店に向かってしまい、追って来た丹波が引き止めた。
「長親!寄り道をしている場合ではないぞ‼︎我々には信長様より賜った命があるのだぞ」
「そう堅い事を言うな丹波。寄り道と言っても見るだけなら問題はないだろう」
「そう言う問題ではない!」
陽気な長親と真面目な丹波のコントの様な言い合いに源三郎達はクスクスと笑った。
「やはり、あのお二人はいつまで経っても仲が良いですね頼水殿」
源三郎からの指摘に頼水は笑顔で頷く。
「そうですね。ああ言う山々の様なデコボした仲は以外と長続きしますと聞きますから」
そう言って少しの寄り道をした後に改めて城へと向かった。
そして秀政、頼芸、義昌、丹波は武術に優れていた為、近衛軍団の軍事顧問として日ノ本の古流武術を城の一角に設けられた広い訓練所で近衛兵達に教えていた。
まず秀政はシュートボーを使った近衛兵達の弓の精度をよく観察した後に小笠原流弓術を披露した。
「我が一族が使う小笠原流や日ノ本の弓兵は和弓、異国で言うところのロングボーを主力としている。ではその威力を見せよう」
見物する近衛兵達にそう言って秀政は射撃の姿勢をし、二百以上はある的に向かって矢を発ち、ど真ん中に矢を命中させる。
「おおぉーーーっ!あれが武士の弓の腕か」
「俺達が時々、使うロングボーでもあそこまでは届かないなぁ」
「しかも、正確にど真ん中を射抜くなんて、いくら弓の上手い奴でも難しいぞ」
秀政の弓の腕に驚きと称賛を言う近衛兵達の前に秀長は馬を用意し流鏑馬を披露した。
「走る馬の上から弓で仕留める流鏑馬をお見せしよう」
そう言って秀政は用意した馬に乗ると近くに居た彼の付き添いの近衛兵がショートボーを差し出した。
「秀政様、これを使って下さい」
するよ秀政は首を横に振った。
「いいや。和弓で大丈夫だ。ではお見せしよう」
そう言って秀政は手綱を振るい、乗っている馬を左方向へ走らせ、ある程度の距離で止まる。
「おいおい、走っている状態からジパングのロングボーで的を射抜くつもりか?」
「ありえない。ショートボーならまだしも、ロングボーじゃまともに矢を構える事は出来なぞ」
「あの武士、かっこつけのつもりか?いくら何でも無謀だぞ」
「別にいいんじゃね。どうせ馬鹿を見るのは向こうだし」
「そうだな。せいぜい空気を読んで励ます言葉でも言っておこう」
などと見物する近衛兵達は秀政の行いを嘲笑う様に捉えていた。
一方、秀政は準備を整えて手綱を振るい馬を思いっきり走らせる。小さな砂埃を上げ、体全体が揺れる中で秀政は手綱を放し、素早く矢を手に取り和弓に備えて弦を引っ引っ張り構えた。
そして体が揺らされる中でも秀政は正確に的のど真ん中を射抜いて見せた。
これには嘲笑う様に見物していた近衛兵達も流石に驚愕した。
「何ぃーーーーーーーーーーーーっ⁉︎ど真ん中だとぉーーーーっ‼︎」
「しかも!あんなに揺れる中でロングボーで射抜なんてぇ‼︎」
「ありえない⁉︎何でいとも簡単に的が狙えんだぁーーーーっ‼︎」
「あれがジパングの騎士!武士の力だと言うのかよ⁉︎」
一方の頼芸と義昌はお互いに日ノ本に伝わる剣術と体術を近衛兵達に教えていた。
頼芸はマムルークソードと盾を構える三人の近衛兵を相手にしていた。近衛兵三人組からの息の合った連携攻撃に遭いながらも頼芸は怯む事なく素早い動きで刀を振るった。
少し離れた場所から模擬戦闘を観戦する他の近衛兵達は驚いていた。
「嘘だろ⁉︎一対多数だぞ!何で戦えるんだぁーーっ‼︎」
「信じられん!武士は常に複数人を相手にする事を想定しているのか?」
「一体どうなってんだ‼︎盾を使わずに剣一本だけで敵からの攻撃を防ぎつつ敵に攻撃を加えるなんて!」
そして頼芸は目の前から来た斬撃を体を逸らして避けると力強く下段から上段へと刀を振るい、凄まじい金属音で後方へと倒す。
それを見た左右の二人は怯え、後退りする姿に頼芸は喝をする。
「引くなぁーーーーーっ!お前達は王に仕える兵士だろう‼︎王の為に戦うと誓ったならば!命を張って死兵の如く戦えーーーーーーっ‼︎」
頼芸が大きく発した喝を受けた近衛兵三人は引き締まった表情となり、ゆっくりと頼芸の周りを囲み構える。
やる気に満ちた彼らに頼芸は自然と微笑んだ。
「そうだ、それでいい。さぁーーーっ続きと行くぞぉーーーっ!」
頼芸がそう言った後に刀を構えると三人はすかさず彼に向かって斬り掛かった。
また上半身裸で汗を流す義昌は別な場所で組まれた少し段のある木の台の上で試合を行いながら近衛兵達に柔術を教えていた。
「よし!次の者‼︎」
義昌の呼び声に横一列となって立つ近衛兵の中から一人が前へと出る。
「よろしくお願いします!」
「うむ。では台の上へ」
名乗りを上げた近衛兵は木の階段を登り台へ登り、義昌と対面するとお互いに一礼をし構えた。
先に先手を出したのは近衛兵であった。力強く床を蹴り距離を詰めて“アハ”を繰り出した。
「ファーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
雄叫びを上げる近衛兵は風を切り、残像が出来る程のスピードで左右の正拳や蹴りを繰り出して義昌を攻撃するが、義昌は避けたり払い除けたりしながら攻撃を防いでいた。
そして義昌は一瞬の隙を見逃さず、近衛兵の右腕を掴むと巨大なヒグマを投げ飛ばす位の力強さで背負い投げをした。
「鋭い動きではあったが、軸にぶれているなぁ。もう少し意識した方がいいな」
義昌に投げられ倒された近衛兵は起き上がり、彼に向かって一礼をした。
「ありがとうございます」
「よし!次‼」
そして丹波は列を組んだ近衛兵達に日ノ本の槍術を教えていた。
「いいか!君達の槍の突き方は上半身と腕だけで突いている。それでは初手の力が半減して敵を貫く事は出来ん」
「では、どうしたらよいのですか?」
一人の近衛兵からの質問に丹波は頷くと目の前に用意されたチチャクヘルムとチャール・アイナが付けられた木製の的人形の置物に向かって丹波は和槍を構える。
「こうやって突くんだ」
そう言った後に丹波は上半身、両腕、下半身、両足に力を込めて体全体を前へと押し出し和槍で的人形を突いた。
すると丹波が繰り出した和槍の突きは鉄で出来ているチャール・アイナを貫き背中まで風穴を開けた。
その光景に丹波の見本を見ていた近衛兵達は口を大きく開けて驚愕していた。
「うそ!・・・だろぉ‼︎薄い鉄の板を最も簡単に⁉︎」
「あ!ありえない‼︎胴体部ならまだしも!背中まで貫くなんてぇ!」
「これがジパングの槍術⁉︎信じられん!しかも刃こぼれも起こっていない‼︎」
皆が驚いている中で丹波は刺さった和槍を引き抜くと皆に向かって大声で言った。
「さぁ‼︎皆、槍を構えて突きの練習をするぞ」
「「「「「「「「「「はい‼︎」」」」」」」」」」
近衛兵達引き締まった表情で返事をし、ランスを構えてひたすら突きの練習を行った。
一方、城のとある大きな一室では源三郎、氏康、長親はラムセスの第一王妃である『ネフェルタリ・メリエ』と第二王妃である『クレオパトラ六世・トリュファイナ・プトレマイオス』、そして娘のメリトアメンと『クレオパトラ七世・フィロパルト・プトレマイオス』に日ノ本の言葉と伝統、歴史を教えていた。
「ですから『子』と言う字は『子』と呼ぶ事があり、こちらはネズミを意味します」
書物を片手に持ち壁に設けられた木の板に張られた日本語が書かれた紙を指差しながら笑顔で言う源三郎に床に敷かれたアラビア絨毯に正座し、神々しさを感じさせるビキニドレスを着こなすクレオパトラとメリトアメンは関心する。
「へぇーーーーーっジパング語は一つの文字に複数の読み方と意味があるのね」
クレオパトラが漢字の意味に興味を示す一方でメリトアメンは漢字を書く習字に興味を示していた。
「このシュウジって言う漢字を書く手段は面白いわね。ねぇ源三郎先生、子って字が上手く書けないんですけど」
源三郎はメリトアメンが和紙に書いた歪な子の字に思わずクスッと笑ってしまった。
「これは失礼しました。綺麗に書くコツはまず筆を真っ直ぐに立てるんです。そしてあまり力を入れずに」
源三郎が笑顔で丁寧にメリトアメンに習字のコツを教える一方で氏康と長親はアラビア絨毯の上に正座し、美しいビキニドレスを着こなしたネフェルタリとトリュファイナに俳句と和歌の歴史を教えていた。
「まず俳句は平安時代に作れた和歌が南北朝時代になって作られた詩です。以降は貴族の遊戯として定着しましたが、室町時代後期に起きた応仁の乱による貴族社会の衰退で俳句は一気に武士階級や一般社会に浸透して行きました」
ネフェルタリとトリュファイナから見て壁に設けられた俳句と和歌の資料が張られた木の板の左側に立って氏康が俳句の歴史を教えると次に左側に立つ長親が和歌の歴史を教え始めた。
「次に和歌です。和歌は平安時代に作られた日ノ本の歌です。しかし国外の歌とは違い季節で感じた気持ちや想い人に対して自身の気持ちを伝える言わば国外で言うラブレターです」
二人の話しを聞いていたネフェルタリとトリュファイナは関心する。
「ほぉーーーーーっ詩とは違ってハイクって自分が感じた気持ちを短い文で表現するなんて高度ね」
「なるほどねぇーーーっワカってただ美しい歌じゃなくてラブレターの側面があるのは不思議ねぇ」
その後、歴史を教えた氏康と長親は次にネフェルタリとトリュファイナに和歌と俳句のやり方を懇切丁寧に教えた。
「この俳句の場合ですと最後の“思う”を“想い”っとした方が季節の変わり目を自身の恋心の変化に例える事が出来ます」
「ここの“夜の月、明けと共に沈み”を“明けに連れ消え行き”の方が表現としては美しくなります」
氏康と長親は笑顔で丁寧にネフェルタリとトリュファイナが書いた作品の手直しをする一方でネフェルタリとトリュファイナは和紙に書いた自身の作品が赤字で一杯になっている事に苦笑いをする。
「あはははははっ王妃なのに、こんなにも指摘されちゃうとは」
「なはははははっこんな姿、国民の前じゃ見せれないわね」
そんな少しへこむ二人に対して氏康が優しく励ます。
「そんな気にしないで下さい。誰だって初めてやる物は不器用ですから。私だって初めて和歌と俳句を書いた時に教わった先生から“赤子でも分かる位の酷い物だなぁ”って言われましたよ」
氏康が語った思い出話を聞いていた皆は一斉に明るく笑い合うのであった。
⬛︎
場所は変わって城内に設けられた図書館では頼水が日ノ本の宗教と神話をエジプトの副神官でサラディンの右腕である『イマードゥッディーン・アル=イスファハーニー』に教えていた。
「まず日ノ本の宗教は基本は仏教ですが、そこに日ノ本古来の宗教が合わさった事で独自の日ノ本仏教が生まれたのです」
椅子に座る頼水は笑顔でテーブルに開かれた日ノ本仏教の歴史を教えていると自身の右側で椅子に座って聞いていたイマードゥッディーンは関心する。
「なるほど。しかしジパングのジンジャと呼ばれる神殿はどれも美しい。派手過ぎずない色使いに精密な建物の形は一つの美術品っと言ってよいな」
「ありがとうございます。そう言えばイマードゥッディーン殿、イスラムでは偶像崇拝は禁止しているはずですが、バグダッドやこの図書館で閲覧した歴史書には人や動物が描かれていますよね?」
頼水からの唐突な質問にイマードゥッディーンは笑顔で答えた。
「はい、基本的には偶像崇拝は禁止しています。ただし、それはあくまで“神を絵や像などで表現する”事を禁止としているだけで人や動物は普通に描いても問題はありません」
イマードゥッディーンの丁寧な説明に頼水は納得した。
「なるほど。ではエジプト神話の神々は様々な形で表現されていますが、あれはどうなのですか?」
「我らイスラムが崇めるのは“アッラー”だけです。エジプトの神々はイスラムとは関係ありませんので」
「そうですか。何事にも分別が必要と言う事ですね」
頼水の口から出た正論にイマードゥッディーンも同感する様に頷く。
「そうですね」
そう言った後に二人は明るく笑い合うのであった。
一方で同じ図書館の別の場所で正虎がバイバルスの上官であるエジプト軍の将軍、『ムザッファル・アル=マリク・クトゥズ』と共にこれまで日ノ本が歩んで来た歴史を教えていた。
「このモンゴル帝国が日ノ本に襲来した出来事を元寇と呼びます。そして二度に渡る元寇を当時、日ノ本を統治していた鎌倉幕府の軍勢と神風の前に敗れ去ったのです」
椅子に座って話しをする正虎に対して右側の椅子に座って聞くムザッファルは関心する様に頷く。
「なるほど。モンゴル帝国の脅威を退けたのは我がエジプトだけではなかったのか」
「ええ。我々もモンゴルの侵攻を防いだのは日ノ本だけと思っていました」
笑顔で正虎はそう言うと次にモンゴル軍が攻めて来た時に対峙した日ノ本の武士達がどの様な戦術をしていたのかを話した。
「元寇の時の武士達の強さは桁違いでした。モンゴル軍からの弓の攻撃や多勢に無勢であっても怯まず、時には重い甲冑を着けたまま夜に海を泳いでモンゴル軍の船に乗り込んでは皆殺しにしたと言われています」
正虎の口から次々と出る当時の鎌倉武士達の戦いに流石のムザッファルもドン引きしていた。
「信じられん‼︎ジパングの武士達は想像以上の力を秘めていたとは!」
それからは正虎は武家社会の習慣や作法などをムザッファルに教えるのであった。
一方、正光と義堯はエジプトの美術に関して写本を手に見ていた。
「おおぉーーーっ!こいつは凄い‼︎まさかピラミッドはかつては白だったとは!」
手に取った古代エジプトの写本に書かれている白いピラミッドの絵を正光は目を輝かせながらテーブルに座って持って来た習字絵の道具で和紙に描き写していた。
また義堯はイマードゥッディーンから借りた神話の書物をテーブルに広げ、事細く習字で和訳しながら興味深く書き記していた。
「なるほど。猫は豊穣の神として崇め、犬は黄泉の神と崇めているのか。だが一方で太陽を絶対の神とする所は日ノ本と同じなのだなぁ」
こうして各々での異文化交流をして、お互いの国の歴史と文化、そして宗教などを教え合いながら理解を深め合って行った。
場所は変わって源三郎達が交流を行う同時刻、神官が治めるアヌビスの神殿、“冥府の黒門”にはイムホテップが居り、外から飛んで来た隼を左腕に留めると足に括り付けてある密書を開いた。
「なるほど。三日後にアレクサンドリア近海に到着する予定か。ふふふっこれでようやく忌まわしきラムセス王を葬る事が出来る」
想像を絶する野心と憎しみ、怒りに満ちた目をしたイムホテップは再び隼を飛ばした。そしてテーブルに置かれた灯る蝋燭の火で密書を焼き捨てながら不気味な大笑いをするのであった。




