表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
FIERCE GOOD -戦国幻夢伝記-  作者: IZUMIN
【第二章・欧州征伐(上)】
63/65

第 陸拾参 話:地下迷宮(中)

 階段を降りた探索隊が着いたのは第二階層でここは上の第一階層と違って全てが水、海水で水没していた。


 真斗達はマジックバックに入れ持って来た木材で筏を作り、荷物を乗せて進む事となった。


 海水自体が発光しているのか、それとも底にあるクリスタルが発光しているのか暗い空間を明るく照らしていた。


 また、いくつものビルの様な高い建物の頭の部分だけが海面上に出ており、下は透き通ったオーシャンブルーで海底には建物がほぼ無傷で点在していた。


 水面に落ちる水滴や流れ落ちる水の音が響き渡る神秘的な空間に真斗は感激の眼差しをしていた。


「凄い!まるで別の世界に来たかの様な空間だ‼︎」


 真斗がそう感想を述べるとオールを漕ぐジョナサンも笑顔で頷く。


「そうだな真斗。俺もこんな光景は初めて見るよ」

「私もよ義兄(にい)さん。何て綺麗な光景なの」


 筏の真ん中で腰を下ろし目を輝かせながら笑顔で同感するエナ。


 すると先頭の方からユリアの大声が響き渡る。


「総員!戦闘体制ぇーーーーーーーーーっ‼︎海中にクラーケンがいるぞぉーーーーーーーーーーーー!」


 それを聞いた真斗とジョナサンは海中を見る。すると泳いでいた様々な種類の魚達が急に逃げる様に辺りに散って行く中で前方から群青色の様な体色をした腕が八本とそれとは別に長い二本の触腕を身に付けた巨大なイカ、『クラーケン』が現れた。


 真斗は初めて目にするクジラを凌ぐ巨体なクラーケンの姿に息を呑んだ。


「何だ⁉︎あのデカさは!マッコウクジラ以上はあるぞ‼」

「クラーケンだ!真斗‼しかも!あの体色は“ジャイアント・クラーケン”だ!」


 少し慌てる表情を見せる言うジョナサンは驚く真斗にランスを渡す。


 すると一旦、ジャイアント・クラーケンは視界から消えたが、反転して戻って来た。明らかに筏で進む探索隊を襲おうとしていた。


 真斗はランスを持ったジョナサンと共に戻って来たジャイアント・クラーケンに向かって投擲の構えをしたのだが、次の瞬間、真下から体長十八メートルはあるであろう世界最大級の首長竜、『モササウルス』がジャイアント・クラーケンに目掛けて突き上げる様に噛み付き水しぶきを立てながら海中へと引きずり込んだ。


 突然のジャイアント・クラーケン以上の巨大な捕食者の登場に真斗は人生で初めて腰を抜かしてしまった。


「な⁉何だ!今の巨大な生き物は‼ジャイアント・クラーケンを一瞬で引きずり込んだぞぉ!」


 驚く真斗にジョナサンは手を差し伸べ立ち上がらせる。


「あれはモササウルスだよ真斗。しかし、助かった。おい!急いでここを離れよう‼︎」


 ジョナサンからの指示に同じ筏に乗っている冒険者達は頷き、急いでオールを漕ぎ始めた。それは他の筏も同じであった。


 モササウルスからだいぶ距離を離した場所で高い建築物の一角と思われる広い空洞内を持った建物に探索隊は筏を付けてテントを張った。


 真斗は出入り口の付近で腰を下ろし、のんびりとした表情で竹で作られた釣り竿で魚釣りをしていた。


「ふぅーーーーーーっそれにしても冒険の中でやる釣りは何処か落ち着くなぁーーーっ」


 そう言っていると垂らしていた釣り糸が物凄い強さで引っ張られたので真斗は竿を力一杯、上に向かって引き上げ魚が掛かった事を喜ぶ。


「おおぉ‼来た!来たぁーーーーっ!こいつは大物だぞぉーーーーっ‼」


 そして釣り上げたのは2メートルはある『ダンクレオステウス』であった。それと同時に目の前に何体かの『ウタツサウルス』を口に銜えた『フタバスズキリュウ』の群れが水しぶきを上げて現れた。


 驚く真斗であったが、同時にフタバスズキリュウの堂々と泳ぐ姿に目を輝かせた。


「凄い‼︎人間が繁栄する以前は、こんな生き物が太古の時代を支配していたのか!」


 一方、筏を使ってジョナサンはエナを含めた複数の騎士と冒険者を連れて野営地から少し離れた場所で食糧調達をしていた。


 何かしらの原因で崩れたと思われる建物の残骸付近で筏の先頭に立つジョナサンは右手にランスを持って水面を見ながら投擲の構えをしていた。


 そして何かの影が海面近くまで来た時にジョナサンは持っているランスを影に向かって力強く投擲した。


 すると海中から赤い血が上がって来たので仕留めたと確信したジョナサンは振り向き、皆に向かって命令した。


「よーーーーし!引っ張り上げろぉーーーーーーーっ‼︎」


 ジョナサンからの命令に皆はランスに繋がれたロープを引き始めると上がって来たのは喉元を投擲したランスで貫かれた体長1.5メートルはある『プレシオサウルス』の幼体であった。


 筏に乗せられたプレシオサウルスを見たエナは大喜びする。


「凄いわ!義兄(にい)さん。こんな大物を仕留めるなんて‼︎」


 エナからの褒め言葉にジョナサンは少し照れ臭くなる。


「まぁーーーな。それほどでもないよ。それよりも急いで野営地に戻って解体しよう。今夜も美味い肉が食えるぞ」

「ええ、そうね。じゃ早く帰りましょ」


 そう言いながらエナは笑顔で頷くとジョナサンは再び皆に命令を出し、仕留めたプレシオサウルスを持って野営地へと戻った。


 その日の夕食は真斗が釣ったダンクレオステウスとジョナサンが仕留めたプレシオサウルスで豪勢な料理が振る舞われた。


 翌日には探索隊は調査をしながら先へと進み、途中、『エラスモサウルス』の襲撃に遭うも真斗とジョナサンの活躍もあり無事に第三階層へと向かったのである。


⬛︎


 海水で水没した第二階層を抜けた探索隊は第三階層へと到着した。そこは先の第一と第二階層とは打って変わって荒地の様な空間であった。


「うわぁ荒野か。やれやれ砂漠での嫌な記憶を思い出しちまう」


 茶色い土が広がる光景を見ながら苦悩する表情であの時の事を言う真斗に対して、右隣にいるジョナサンも真斗と同じ表情で頷く。


「ああ、そうだな真斗。俺も見ているとあの時の嫌な思い出が蘇るよ」

「ねぇ義兄(にい)さん、一体、真斗様と砂漠で何があったの?」


 ジョナサンの右隣にいるエナが問い掛けて来たのでジョナサンは砂漠での事を話し始めた。


 それからジョナサンはエナにバクダッドで起きた攻防戦や突然発生した巨大な砂嵐に真斗と共に飲み込まれて枯れたオアシスで死にかけた事を話した。


 全て聞いたエナは信じられない様な驚いた表情をしていた。


「嘘でしょ⁉︎まさか義兄(にい)さん達がそんな想いをしていたなんて!」


 心配そうな口調で言うエナに対してジョナサンは照れ臭い様な笑顔をする。


「でも、そのお陰でお前と再会出来たんだ。まっ結果オーライだよ」


 と明るい笑顔で心配するエナを安心させるジョナサンに対して真斗は声を掛けた。


「ジョナサン、詳しい話は歩きながらにでもしよう。皆、進み始めている」


 真斗の言う通り探索隊は前進を開始したのでジョナサンは少し慌てる。


「おっと!そうだな。んじゃエナ、詳しい話は歩きながら話そう」

「ええ、分かったわ。義兄(にい)さん」


 エナは頷き、ジョナサンは彼女を連れて真斗と共に進み始めた。


 荒野と言っても気候は過ごし易く、気温も春並みの暖かさであった。


 何処までも続く荒野に長い年月で土に埋もれて佇む高低差のある建物、そして道中で巣作りをした窪みに産み落とした卵を守る『プロトケラトプス』の群れに群れから外れた『イグアノドン』を仕留めて新鮮な生肉を食する『フクイラプトル』の群れと遭遇したが、探索隊への被害はなかった。


 それからしばらくして探索隊は開けた盆地の様な場所で休息を取っていた。


「なぁジョナサン、この地下迷宮(ダンジョン)は後、何階層あるんだ?」


 少し大きな岩に腰を下ろし、ピタを千切って食べる真斗からの問いに右隣りで枯れた木の株に座るジョナサンが複製の魔法で作られた迷宮(ダンジョン)の見取り図を見ながら答える。


「えーーーと。四階層だから、あと次の階層で終わるなぁ」


 それを聞いた真斗は口に入れたピタを飲み込み、納得した表情をする。


「なるほど。で、その最後の階層には一体何があるんだ?」

「おそらくだけど、何かしらの保管庫だと思われるな。きっと凄いお宝があるぞ」

「へぇーーーっ一体どんな宝が眠っているのかなぁ」


 最後の階層についてワクワクさせながら真斗とジョナサンは楽しく会話をしていると頭上から大きな影が通り過ぎた。


 その影に真斗とジョナサン、そして他の者達の間に緊張が走り、すぐに武器を手に臨戦体制となった。


 そして再び大きな影が現れると目の前の丘の上に体長約8メートルはある大型モンスターの『グリフォン』が現れた。


「グリフォンだぁーーーーっ!総員‼︎集まれぇーーーっ!円形陣形ぇーーーーーっ‼︎」


 アーミング・ソードを抜き、大声で指示を出すロバートに騎士達はや冒険者達は一斉に集まり陣形を構築した。


 真斗とジョナサンも愛用の刀と剣を抜き、構える。


「あの鳥の化け物!こっちを狙っている‼︎しかも直ぐには襲わず、よく我々を観察しているな!」


 真斗がそう言うとジョナサンも同感する様に頷く。


「ああ、そうだなぁ真斗。あのモンスターはグリフォンっと言うモンスターで他のモンスターに比べて知性が高い」


 ジョナサンからの説明を聞いていた真斗はフッと笑う。


「それはそれは相当、厄介な化け物だなぁ」


 するとグリフォンは探索隊を見極めたのか鳴き声を上げ、上に向かって飛び上がると防御をする探索隊に向かって急降下した。


 真斗とジョナサン、そして他の者達も急降下で向かって来るグリフォンに対して構える。


 ところがグリフォンの左側から何かがグリフォンの喉に噛みつき、そして喉元を噛みちぎってグリフォンを絶命させた。


「な!?・・・何だあれは‼︎」


 驚く真斗。グリフォンを襲ったのは体長約12メートルはある肉食恐竜の『ギガノトサウルス』であった。


 ギガノトサウルスは仕留めたグリフォンを腑から食い始めるが、すぐに探索隊が目に入り、喉を鳴らし大きく息をしながら威嚇する様な目つきをする。


 ギガノトサウルスのそんな目つきにジョナサンはある事のに気付いた。


「おい!真斗‼︎これはやべぇーーーぞ‼︎」

「何がだジョナサン?これ以上、ヤバくなるってか?」

「ああ、それ以上にな。あの恐竜、あのギガノトサウルスの目つきは完全に脅威を排除しようとする目だ」


 ジョナサンが何を言わんとしているのか勘付いた真斗はギガノトサウルスの目つきをよく見て納得した。


「ああ、なるほどでね。今、俺達が居るここは・・・奴の巣か!」


 真斗とジョナサンの嫌な予感は当たった。自分の巣に入り込んで来た探索隊を巣を脅かす脅威と認識したギガノトサウルスは鳴き声を上げ、鋭い爪を生やした前足を見せつけながら探索隊へと突進した。


⬛︎


 真斗達、探索隊は襲って来たギガノトサウルスと激しい乱戦を展開。真斗とジョナサンは息のあったアクロバティックな連携攻撃でギガノトサウルスに斬り付けるが、頑丈な皮に阻まれ苦戦していた。


「くっそ!牛の首の骨も断ち切る事が出来る赤鬼(あかき)の刃ですら通さないとは‼︎ジョナサン!このままじゃまずい‼︎あの恐竜を倒すのではなく!追い返そう‼︎」


 大声で提案する真斗に対してジョナサンも大声で返事をする。


「ああ!そうだな真斗‼俺は右へ回る!」

「じゃ!俺は左へ回る‼」


 真斗とジョナサンは素早く左右に別れ、ギガノトサウルスを追い払う為に攻撃を行った。


 騎士達と冒険者達は一歩も引かず勇猛果敢にギガノトサウルスと戦うが、ギガノトサウルスは噛み付きや爪での引っ掻き、踏み潰し、尻尾を振っての攻撃なので激しく騎士達と冒険者達を犠牲にしていった。


 するとギガノトサウルスは尻尾を地面に着けて体を一回転させて砂煙を起こし視界を遮った。


 ギガノトサウルスの呼吸音すら消え、緊張と不気味さが漂う静寂な空間となり、真斗達は武器を構えて奇襲に備えた。


 そして静寂の中で目を光らせるかの様に汗を少し流しながら攻撃魔法の構えをしていたエナの前に砂煙を破ってギガノトサウルスが大きく口を開けて襲って来た。


 突然の奇襲にエナは自分に何が起きたのか理解出来ず、ただその場に佇む事しか出来なかった。


「エナァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ‼︎」


 彼女の名前を大声で言いながら死に物狂いで全力疾走するジョナサンはエナを突き飛ばし彼女を助けるが、左腕をギガノトサウルスに噛み付かれ、そのまま振り回される。


 振り回されながら想像を絶する痛みで苦痛の声を上げるジョナサンの姿にエナは思わず叫びを上げた。


「キャァーーーーーーーーーーーーーーーーッ⁉︎義兄(にい)さぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん‼︎」

「ジョナサァーーーーーーーーーーーーーーーーーーン‼︎くそったれが!このトカゲの化け物がぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!」


 怒りの表情で落ちているランスを拾い上げた真斗はギガノトサウルスに向かって力強く投擲した。


 投げられたランスはギガノトサウルスの喉に当たった。するとギガノトサウルスは嫌がる様に噛んでいたジョナサンを放したので真斗は違和感を感じた。


 だが、考える余裕もなく真斗とエナ、そして他の者達も急いでギガノトサウルスを攻撃し地面に落ちたジョナサンから切り離し、その隙に彼を救出し安全な場所に寝かせた。


「しっかりて!義兄(にい)さん‼︎ 義兄(にい)さん‼︎ごめんなさい!ごめんなさい!私のせいで!こんな‼︎」


 大粒の涙を流しながらエナはギガノトサウルスの牙と噛み付きで皮が剥がれ、肉が抉られ、骨が砕かれ、大量の血を流してズダズダとなったジョナサンの左腕を懸命に治癒魔法で治す。


 一方の真斗は急いで清潔な白い布を破き、コルクの瓶に入ったグリーンポーションを布に染み込ませてジョナサンの左腕を消毒し、もう一つの瓶に入ったレッドポーションを左腕にかけて止血をする。


「エナ!泣くのは後だ‼︎今は彼を助ける事に集中するんだ!しっかりしろ!ジョナサン‼︎絶対に死ぬなよ!」


 二人は必死に痛みに苦しむジョナサンを手当していると、そこに別の男性魔術師が駆け足で現れ真斗に声を掛けた。


「ここは私が!貴方様は早く戦いに‼︎」

「すまない!後は頼む‼︎」


 そう言って真斗は立ち上がり、ギガノトサウルスに向かって走って行った。


 探索隊からの攻撃を物ともしないギガノトサウルスにアーミング・ソードを手にロバートは苦悩する。


「くっそ!このままじゃ犠牲が増えるだけだ‼一体どうしたら!」


 するとそこに真斗が走りながら現れた。


「ロバート殿!実は俺に“アイツ(ギガノトサウルス)”を倒す案があります‼」


 真斗からの提案にロバートは少し驚く。


「本当か!本当にアイツを倒せるのか‼」

「はい!ですが、それには人手がいります‼」


 そして真斗はロバートに編み出した案を話し、すぐにロバートは騎士達と冒険者達に指示を出し、ギガノトサウルスの注意を引かせる様に攻撃した。



 ギガノトサウルスは注意を引く騎士達と冒険者達をじわじわと追い詰める様に威嚇する体勢と声を出しながら、ゆっくりと歩み寄る。


 すると右隣にあるギガノトサウルスの身長とほぼ同じに高さの岩からジュスランとレイモンがギガノトサウルスに飛び移った。


 いきなり飛び移って来た二人にギガノトサウルスは振り落とそうと顔と体を激しく動かす。だが、そんな揺れの中でもジュスランとレイモンはしっかりとギガノトサウルスの口元に掴まっていた。


 そしてジュスランは何とかギガノトサウルスの背中によじ登るとレイモンは腰のアーミング・ソードを抜き、ギガノトサウルスの口に向かって歯と根元の肉の隙間に向かって突き刺す。


 すると突き刺された事から来る激痛で叫び声を上げたのでレイモンはジュスランに向かって大声で叫ぶ。


「今だぁーーーーーーっ!ジュスラン‼」


 ジュスランは激しく揺れる中で首元まで向かうと肩掛けで持って来た鎖を開いたギガノトサウルスの口の上顎に引っ掛け、力む様な表情で手やこめかみに血管を浮かばせ力一杯に引っ張る。


 ジュスランに引っ張られた事でギガノトサウルスは上向きとなり、後ろに向かってよろめく。すると岩陰に隠れていた一部の騎士達と冒険者達がアンカーを付けた縄をギガノトサウルスの足と体に向かって投げ、力一杯に引っ張って動きを封じた。


「今だぁーーーーーーーっ!真斗‼︎やれぇーーーーーーーーーーーーーっ!」


 ジュスランが大声で叫ぶと動きが封じられたギガノトサウルスに向かって真斗は走り出す。そして真斗を追い越して前に出たユリアとロバートが手を組み、そこに向かって真斗は走る。


 そして真斗はユリアとロバートが組んだ手に自信の片足を乗るとユリアとロバートは物凄い力を腕に入れる。


「「行っけぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼」」


 二人はそう言って手に乗っかって来た真斗をメガロサウルスに向かって投げ飛ばす。


 投げ飛ばされた真斗は抜刀の構えで物凄い速さで風を切りながらメガロサウルスに向かった。


「チェストォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ‼」


 そして真斗は素早く愛刀の赤鬼(あかき)を抜き、メガロサウルスの喉仏を正確に斬って後方に転がり着地する。


 喉仏を斬られたギガノトサウルスは大量の血を吹きながら大きな土煙を上げながら倒れ込み、一方のジュスランとレイモンは完全に倒れる前に自ら飛び降りて下敷きになる事を避けた。


 ユリアとロバート、そして他の騎士達と冒険者達と共に土埃の中を進んで行くと徐々に晴れて行くとジュスランとレイモンと再会する。


「あーーーっ!ジュスラン、ロイ、無事だったのね」


 ユリアが二人にそう言うとジュスランとレイモンはやれやれっと言わんばかりの笑顔で頷く。


「ああ。でも人生であんなにも揺れたのは初めてだったよ」

「そうだな、ジュスラン。それよりも真斗殿(どの)はどうしたんだ?」


 レイモンがそう言いながら辺りを見渡しているとロバートが後ろの方を指差すのでレイモンとジュスランは後ろを振向くと倒れたギガノトサウルスの頭部に上がり、背中に陽の光を受けて誇らしい表情で勇姿で真斗が立っていた。


「脅威は倒れたぁーーーーっ!勇敢に戦った者達よ‼我らの勝利じゃぁーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」


 そう高々に宣言しながら真斗は愛刀の赤鬼(あかき)を高々に上げる。その姿にロバート達も剣や槍などを高々に上げ、中にはアーミング・ソードでカイト・シールドを叩きながら歓声を上げるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ