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16.ウワサのお嬢様


「皆皆様〜おはようございます〜よいお天気ですね」


「「「「「おはようございます!!」」」」」


「皆様が元気で嬉しいですわ〜今日も楽しく元気に過ごしましょ〜」


「「「「「はい! 姫! 」」」」」


 隣のBクラス一同の揃った黄色い声援もとい挨拶が聞こえる。


 教師への朝の挨拶ではなく一人の女子生徒への挨拶だ。


「今日も登校してきたらしいなお嬢様!見に行こうぜ!」


「ええ〜迷惑だよ」


 そう断るも陸斗に引っ張られ隣の教室を覗きに行く。


 だが、僕らだけではなく他のクラスの男子もBクラスを覗き込んでいる。皆の熱い視線の先には見るからに気品のあるお嬢様がいた。


「新・錘関西校四大美女の一人、流龍華。小さくて可憐で明るくおしとやかなお嬢様と一緒のクラスとは……Bの奴らめ羨ましい〜」


「もう4大美女入りなの?翠野先輩の後釜に?」


「勿論!俺の選定に意義を申す者はいなかったぜ」


 陸斗……君が選定して広めていたのか。


 流龍華は新年度になったときに転校してきた。


 有名企業の流グループの一人娘。


 小学生か中学生にも見えるほどの身長と人形のように整った顔。


 栗色のロングヘヤーに赤いリボンが2つ結んでいる。

 

 生まれと美貌を鼻にかけず、おしとやかで明るい彼女は一瞬でクラスの、いや学校のアイドルとなった。


 そして連日、男子の熱い視線を集めている。


「ちょっと覗いてる男子達! あんまり見てんじゃないわよ! 龍華ちゃんが怖がっちゃうでしょ!」


「うるせ!お前見に来てるわけじゃねぇ!」


「ひっこめ! ナイト気取りが!」


  流石に騒がしすぎたか、クラスの女子の注意が飛ぶ。負けじと男子陣も反抗する。一触即発かと思われたが


「大丈夫ですよ〜皆様おはようございます。こちらにいらっしゃいな。仲良くお話しましょ〜」


 流龍華は朗らかな笑顔で入り口近くの男子へ手招きする。

 

「「「「「は〜い!」」」」」


「もうっ! 龍華さんが言うならしょうがないわね〜」

 

 美少女の誘いに盛り上がるかと思いきや、以外にも穏やかな空気だ。彼女の優雅かつ朗らかなオーラがそうさせるのだろう。


「龍華姫にお呼ばれだ〜」

 

 陸斗も惚けたような顔で流さんのところへ行った。


「すごいや……あのいきり立った男子を全員骨抜きにするなんて……」


「確かに可憐なお姫様だね。光太郎君も……ああいう子が好みなのかい?」


「わっ!影森さん!」


 背後からの声に驚いてしまった。


 声の主は影森さんだ。勿論、学校なので王子様モードだ。背後にいたのに全く気づかなかった。


「そこまで驚かなくても。でも光太郎君も気を抜くことがあるんだね」


  いつもなら自分の無駄に鋭敏な五感が近くに誰かがいると察知する。


 影森さんが僕のストーキングをしていたと知ってからは、敵意がないと僕の本能が判断したのかそこまで彼女の気配に敏感にはならなくなった。


 まあ、いちいち反応しても切りがないし。


 まあ、あの手この手の追跡手段には意識して警戒しているけど。発信器とかとか。


「それで……君も好きなのかい? ああいうお姫様は」


「え?」


「ああいう小さくくて可憐なお姫様の方が……タイプなのかい?」


「いや……影森さん?」


 先程の質問を再び投げ掛けてくる。


 そして徐々に詰め寄ってくる。なぜか凄い笑顔で。


 いや、目が全然笑ってない。どうして?。


『私は自分の好意に答えてもらわなくってもいいの。』


 この前はこう言ってたけど、僕の好意の先は気になるのかな……?


 もしも好みって言ったらどうなるのだろう。

 

「光太郎君……?………光ちゃ」


「南様!おはようございます!」


 僕への質問を書き消すように、僕らAクラスの委員長であり影森南親衛隊の筆頭が元気に挨拶した。


「あ……加藤さんおはよう。今日も元気一杯委員長さんだね」


「恐縮です! あ、北野くんもおはよう。」

「おはよう委員長」


「二人で一体なにを……まさかデート!」


「委員長?話してるだけなのに凄い誤解してるよ?」


  以前、車の炎上事件の時に影森さんと話をしたときにはクラス委員長とは思えないガンを飛ばしてきたりと、委員長は想像力豊かな影森南の盲目ファンだ。




「そうだよ加藤さん。光太郎君と噂のお姫様に謁見しようと思ったが予約一杯らしくてね」


「そうなんですか!?私ったら……でも流さんもかわいい子ですね。勿論南様がNO.1ですが! 」


「フフッありがとうね」


「ふあ!? ふぁぁぁ!! ふぁぁぁ〜幸せでしゅゅ〜あぁ〜」


 自分を誉めてくれたお礼といわんばかりに影森さんは委員長の頭を優しく撫でた。


 撫でられた委員長はよだれが垂れるほどのだらしのない顔と恍惚の声を晒す。


 なぜか湯気まで出している。


 これが僕らのクラス委員長……。まあ本人が幸せなら良いか……。


 影森さんが委員長にかまっている隙に僕は1枚の便箋を取り出した。


 これを受け取ったのは昨日。パーティのお誘いだ。

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