フランス軍 新型戦車到着 ドイツでの演習
満州のフランス軍にもソミュアS35が到着しました。
フランス軍といえば結局実用化まで行きませんでしたが、G1計画という戦車開発計画が進んでいて、もしこれが戦力化されていればT34やM4シャーマン並の性能になったようです。
1939年4月上旬 満州国奉天省海龍郊外 フランス陸軍大佐 シャルル・ド・ゴール
去年に張鼓峰で発生した国境紛争での我が軍が参加した大規模な戦車戦での勝利は我が軍の威信を大いに高め、本国政府でも非常に喜ばれた。
さもすれば国境紛争で収まらない危険性を孕んだ出来事であったが、張鼓峰事件に関してはソ連はそれ迄の強硬姿勢を軟化させて矛を収めた。
しかしながら、満州国もこれ迄の積極的避戦方針から、国境線堅持へと方針を変えた結果、これ迄であれば監視するのみに留めていた様な越境行為にに対しても全て対処するようになった為、今のところ小競り合いで収まっているが衝突自体は確実に増えた。
先の戦車戦でのレポートは本国にも直ちに送られ、鹵獲した敵戦車も満州国に進出しているルノーなどの軍需メーカーの関係者も立ち会って詳細に調査された。
その結果、ソ連の主力戦車と思われるT-26に関して、45mm戦車砲の威力は脅威であるが、車体装甲は15mm、砲塔であっても20mmしかなく、また搭載されているエンジンが非力であるのか、最高速度も30km/hに達する事は無かった。
我が軍の軽戦車であるH35と比較すると防御面においてはH35の方が勝るが、ソ連の45mm砲は500mより近くになると貫通する可能性が高くなる。逆にH35の装備する37mm砲は元々対戦車戦闘を想定して居ない事もあるが、同じく500m以下でなければ貫通しない。
機動力はどちらも良好とは言えないが、T26の方が機械的信頼性に勝るとの評価だ。
他方、我が軍の中戦車であるD2との比較になれば、主砲の47mm戦車砲は威力においてソ連の45mm砲に勝り、防御力も40mmの厚さを持つ車体前面装甲は100m近い近距離でなければ十分に防ぐ事が判明した。その逆は1000mを超える距離であっても命中すればどこに命中しても貫通する。
ただし、D2は機動力においてはH35より劣り、T26はこの面においてはD2より優位だ。
ソ連の多砲塔戦車に関しては、無傷に近い物を鹵獲する事が出来なかったため、あくまで推測になるが、この戦車はT28というのが正式名称らしい。
全長7.5mもの大きさで、我が軍の重戦車であるB1戦車よりも更に大きくその重量は30t近いと思われる。
反面、搭載エンジンが強力なのか鈍重という事は無く、戦闘中でも我が軍のD2戦車以上の動きを見せていた。
但し、これ程の巨体の戦車であるが、防御力に関しては車体前面でも30mm、側面は20mm程度しか無かった。
これが我が軍のB1戦車と同等の防御力を備えていたならば苦戦は必至であっただろう。
主砲は短砲身であるが76.2mm砲を装備し、恐らく対戦車戦闘を想定して居なかったのだろうが、搭載されていた弾薬は全て榴弾であった。
基本的に、この戦車は歩兵支援戦車であり、張鼓峰に満州軍が築いていた陣地を攻撃する為に出して来たのであろう。
ソ連には他にも数は少なかったがオープントップの76.2mm野砲を装備した自走砲も配備されており、これらが適正に使われた場合、脅威になるだろう事が予想される。
同様の自走砲は日本軍も装備しているのか演習で見掛けた事がある。
我が軍も75mm砲装備の自走砲を開発中という話だが、配備が待たれるな。
去年の戦車戦での勝利に気を良くしたという訳では無いのだろうが、新たに新型戦車であるS35中戦車が配備された。
この戦車は結局少量の採用に留まったD2中戦車の後継と言える戦車で、鋳造製の車体と砲塔が特徴的な戦車であり、スマートなフォルムが印象的な戦車だ。
装甲厚は厚い部分で45mmを超え、D2と同じ47mm戦車砲であるが、より長砲身のSA35が搭載され、更に貫徹能力が増し対戦車戦闘能力が向上した。
更にこの戦車の優れたところは、無線機が最初から標準搭載であり、機動力が整地であれば最高速度が40km/hを超えるなど、これ迄とは比較にならない性能を持つ。
ただし、実際に受領して部隊でテストしたところ、機械的信頼性が乏しく頻繁に具合が悪くなるにも関わらず、整備性が悪いのは致命的だ。
そして、これ迄もそうだったが、やはり他国の戦車では当たり前についているキューポラにハッチが付いていない事は不便でならない。
更には速度に優れる割に登坂能力が低い事も実戦において不利に働くだろう。
これら、テストして判明した事、要望などをレポートに纏め、本国へ送った。
兎も角、性能的には決して悪いわけではない。うまく欠点をカバーして運用するしかあるまい。
本国からの情報によると、新たにG1計画と称する次世代の中戦車の開発計画が既に進んでおり、一部試作車も完成しているとの事だ。
しかしながら、要求仕様が一転二転を繰り返し、コンペに参加しているメーカーを苦しめている様だ。
特に、去年の戦車戦でのレポート。ソ連の大型戦車に75mm級の火砲が搭載され、機動力で劣ったというのは少なからぬ衝撃を与えた様で、要求仕様に60mmの装甲に75mm戦車砲を搭載し最高速度40km/hというのが出されているらしく、既に重戦車であるB1の重量を超える試算が出されて居るという話だ。
当然、ソ連の多砲塔戦車と異なり、対戦車戦闘も想定した戦車を開発していると予想するが、実際にそのような戦車が配備されれば、大幅な戦力強化になるだろう。
今知り得る限りでは、最強といっても差し支えない性能なのではなかろうか。
どの様な形をしているのか、想像でも思い浮かばないが、そんな強力な戦車を配備した部隊をいずれ指揮できるようになることを想像するだけで胸が熱くなるというものだ。
1939年4月上旬 満州国奉天省海龍郊外 フランス軍駐屯地 ジョルジュ大将
去年の国境紛争での活躍が本国で認められたのか、新型戦車など新しい装備が色々と届きだした。
去年の戦車戦のレポートは本国に送るほか同盟国にも送っており、少なからぬ影響を与えた様で、他国も新しい戦車などが届いているのか、演習で新たな戦車がお披露目されることも増えた。
現在、一個旅団の我が部隊に更にもう一個旅団追加で増派される事が決まったようだ。
すでに国境の向こう側のソ連軍の増強は進んでおり、それに合わせて他国の部隊も部隊が増強されており、我が国もそれに合わせたのかもしれぬ。
本国から最近届いた資料に興味深いものがあった。
それは、ドイツで今年の2月下旬ごろにポーランドなどドイツの主催する防共加盟国が参加した演習が行われた事についてであり、我がフランスやイギリスなども招待され観戦することが出来たらしい。
おそらく我が国やイギリスなどに対して彼らの力を見せつけるという意味が多分にあったのだろうと思われる。
その演習にはドイツの一号戦車や二号戦車といった軽戦車の他、チェコから接収して戦力化したチェコ製の戦車などを装備した部隊も居たようだ。
そればかりか、ポーランド軍も7TPという軽戦車の他、10TPという中戦車を演習に参加させていたと資料に写真つきで載っていた。
10TPはクリスティ式に類似した懸架方式を採用しており、かなりの機動力を発揮していたようだ。おそらく戦車砲は37mmクラスだと思われるが、ドイツ製の37mm対戦車砲を装備しているのかもしれない。
ドイツとポーランドの蜜月ぶりはかなりのもので、演習での連携も中々のものだったと書かれているが、明らかにソ連を意識しているのだろう。
ポーランドの10TPと比べればドイツの戦車は明らかに見劣りする上、以前公開されていた多砲塔戦車は今回の演習に姿を現さなかったことを考えれば、かなりの水準の戦車を既に配備している可能性があると考えるべきだ。
本国もそれを考えてのG1計画なのだろうが、迷走せずに早期に戦力化が望まれるところだ。
ドイツと同盟を組んだポーランドは腹を決めてソ連に対抗すべく戦力拡充に余念がありません。
この時点でドイツは三号と四号を表に出していませんが、ポーランドは新型戦車をしっかり演習に出しています。
ポーランドの10TPと、後に出るだろう14TPはドイツの協力を受けて開発されており、マイバッハエンジンを搭載し、7TPと10TPはドイツの37mm砲、14TPはドイツの50mm砲を装備しています。




