クソ人間のクソエッセイ 4 尊敬する相手
ゴミクズな僕は、虫というものを尊敬していた。
彼らはゴミのように叩き潰されたりヒドイ扱いばっかり受けるけど、本当なら僕もそういう扱いを受けるべき存在だと思っていたから共感する部分があった。
ムカデもゴキブリも蟻もハエも、死の瞬間までもがき続ける。
かっこいいと思った。
グチャグチャの体になっても生を諦めない、そんな存在に僕はなれる気がしないのだ。
もしもゾンビに襲われて僕の脚や腕が引きちぎられていけば、きっと僕はメチャクチャに頭を打ち付けるだろう。
苦しみたくない、その一心で自死を選ぶ。
だが虫は違う、これを言うのは二回目だが……虫は死の瞬間までもがくのだ。
それはなんだか生き物としてとても正しい気がする。
でも最近は尊敬できない、子供を抱いたムカデを見た、つがいのハエを見た、みんなで協力する蟻を見た、群れを形成するゴキブリを見た。
僕が尊敬し、生き様をまねようと思っていた虫たちは僕にはたどり着けない場所にいた。
彼らには心の底から信頼できる仲間や、心の底から愛せる相手がいたのだ。
圧倒された。
そして僕は理解した、彼らのようにはなれない。誰も心の底から愛せない僕には。
ゴミクズはただ一人、廃棄処分されていくような物だからゴミクズなのだ。
虫を尊敬するのは、彼らが僕よりも優秀な生物だから。
僕は虫以下だから。
そして僕は虫レベルになれない、彼らは僕より上等なレベルの生物なのだ。別次元の生物なのだ。
悲しくなって尊敬するのを止めた。