僕らの未来は砂の中?いや、彼女の手の中だ!
すぐに青春ものが書きたくなるお年頃。
思い付きですが、楽しんでいただければ幸いです。
「 マイコ先輩! 卒業おめでとうございます!!!」
トモキは大きな声でそう叫び、マイコの元へ走っていった。
「ズルイぞ!トモキ! 俺だって!」
コウイチも負けじとトモキの後を追う。
「二人とも、ありがとう! 嬉しい!」
マイコは満面の笑みを浮かべ、二人の元へ駆け寄って来た。
マイコは陸上部男子全員の憧れの存在。
高校走り高跳びの東海大会チャンピオンだ。
「先輩! 先輩が居なくなったら、俺・・・もう学校来る意味が・・・」
「俺も、先輩のジャンプする姿、もっと見たかったです!」
他の男子生徒も駆け寄って来た。
無理もない、マイコの凄さは陸上だけではない、
勉強も優秀、そしてスタイル抜群、抜群に良いのだ。
陸上で鍛え上げられたスレンダーな足、引き締まった体。
そして男の視線を釘付けにする豊かな胸
彼女が部活動勧誘に立ったこの2年間、
部員数は跳ね上がり、彼女目当てに陸上部は大所帯の部活動となった。
スポーツ誌も彼女を取り上げ、また学校の垣根を超えたファンクラブなるものも、
密かに発足されてもいた。
卒業式が終わり、あちらこちらで記念撮影やら寄せ書きやらを書く生徒たち、
その中でもマイコの周りには1・2年男子陸上部員が押し寄せ過ぎて、人だかりが出来上がってしまった。
「先輩! 写真とってください!」
「先輩! こっち向いて!」
「ここにサイン書いてください」
野郎どもは必死だ。
「・・・なにあれ、みっともない男子」 「ほら、マイコ目当て、なんじゃない」
マイコには周囲からの視線が痛い。
「マイコ先輩!」
「マイコちゃーーーん」
携帯を構えたり、カメラを構えたり、色紙を持ってきたり、
アイドルのサイン会さながら、混乱は異常な状況だ。
中にはマイコの手を強引に掴んだり、肩を抱こうとする大胆な者まで現れだした。
「おーーい! そこ!何やってる!」
陸上部の顧問タカモトが見かねて、助けに現れた。
「やべっ! タカ先だ!」
「いや!関係ねぇ! マイコ先輩とは今日で最後かもしれないんだ!」
状況は収まりそうもなかった。
案の定タカモトは人だかりの外側で、その中心の様子が判らなかった。
「おい! そこにいるのはマイコじゃないのか? みんなで寄ってたかって何してる?」
周りは耳にこそ聞こえるが、それどころではない。
あまりの状況にたまらずマイコは大声を出した
「ちょっと! みんな! ちょっと聞いて!!」
「ごめんね! もう行かなきゃいけない、また学校くるから!
一緒に写真取れなくてごめんね!」
「ええーーー、まだ行かないでくれよ! 先輩!!」
「・・・じゃあ、ちょっと意地悪かもしれないけど・・・・」
マイコは何か考えている
「南の砂浜に、私のLINEアドレス書いた紙を3枚 埋めておきます! 見つけた人とLINE友達になります!」
「ええ!! マジか?!」
「いいんですか?! 先輩!!」
「だから今から隠してくるんで、ここで15分ぐらい待っててね? 後つけてきたら、絶対にダメよ!!」
一同「わかりましたーーーー」
そう言い残して、マイコは素早くその場を立ち去って行った。
男たちはその後ろ姿を見つめながら、ニヤニヤしていた。
15分後
マイコが息を切らして、胸を弾ませて帰ってきた。
「ハァ・・・ハァ・・・ お待たせ!! ちゃんと隠してきたから! 今からどうぞ!!!」
「ウオーーーー!!!」
「俺だ! 俺が見つけるんだ!!」
「ズルイぞ!トモキ! 俺だって!!」
野獣と化した男たちは砂浜に向かって走っていった。
「マイコ?! 大丈夫か?」
「タカモト先生! 大丈夫ですよ、これぐらい」
「いや、LINEアドレスとか、あいつら思春期真っ盛りの男どもは・・・」
「あ、大丈夫です! まだ隠してませんから!」
「え? ウソだったの?」
「ハイ!! でも感謝の一言の手紙を10枚ほど、隠してきました」
「それで良いのか・・・なぁ?」
「だって砂浜は良いトレーニングになるじゃないですか! いっぱい探し回って欲しくて!」
マイコは笑った。
「私がここまで陸上で、高跳びで鍛えられたのも先生に砂浜トレーニングしてもらったお陰ですから!」
「なるほど!! お前、賢い・・・な」
「で、先生に・・・私のアドレスの紙、3つ渡しておきます、ぜひ隠してください」
「い、いいのか?それで・・・・」
「はい、あともう1つは、先生に・・・受け取ってください!!!」
「マ・・・マイコ」
その年のインターハイ、マイコの母校は大躍進を遂げた。
あまり卑猥な表現を使わず、爽やかに書きたかったのですが、
伝わりましたでしょうか思春期男の下半身エネルギーが。
最後までお付き合い頂き、有難うございました!