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007

私とクラウド様は次の仕事の街にきていた。


「この街は露店がたくさんありますね」

「そうだね、何か買って食べようか」

「じゃあ、アルプーー」

「いや、甘いものではなくガッツリしたものにしよう」

「なんで意地悪を言うの?ご主人様」

「いや、ご主人は普通、選択肢も与えないから」


私はむぅ、と頬を膨らませる。


その時だった。

ドーンと大きな音が響いた。


私とクラウド様は思わず、視線を向ける。


元気のない奴隷が暴力を受けて瀕死になっていた。


「貴様、奴隷のくせに口答えをするのか!」

「少し......だけでも......ご飯を......」

「うるさい!」


さらに殴られる。


「クラウド様、あの子死んじゃいます」

「シャティー、落ち着くんだ。ここは人目がある。身分を明かして取り締まるのは無理だ」


私は、ローブのフードをめくり、首輪の隠蔽魔法を解除する。


「私を思いっきり殴って!」

「君にそんなことーー」

「早く!」


クラウド様は、一瞬、躊躇ためらったが、全くの手加減なしに私をぶん殴って叫んだ。


「奴隷の分際で、指図するんじゃない!」


私の体はザザザと地面を横滑りして、女の子の近くに倒れる。


「お前は誰の奴隷だ!」

「すいません、私の奴隷がぶん殴ったらそちらに」

「これはクラウド様ではないですか」

「フッカ様、ご無沙汰しております」

「お互い、奴隷を扱うのは慣れぬものですな」

「ええ、いつもーー」


私は、クライド様が、気を引いてくれているうちに治癒魔法で大きな傷を癒して、体力を回復してあげた。


(大丈夫?痛くはない?)

(あなたが治してくれたの?ありがとう)


「ではでは、今夜の宴会で会えることを楽しみにしていますぞ、クラウド様」

「私も楽しみにしております、フッカ様」

「おら、行くぞ、奴隷、歩け!」


奴隷の女の子は首輪を掴まれ、連れて行かれた。

私は立ち上がる。

クラウド様がぶん殴った私の頬にハンカチを当てて、治癒魔法を使ってくれる。


「シャティー、ごめんよ、ぶん殴って」

「いえ、私がお願いしたのですから、お礼を申し上げるのは私の方です」

「あの場で、僕はあの奴隷の子を見捨てようとした。でも君は、救う道を考えた。自分が痛い思いをしても......」

「私は残酷なことしたのかも知れません。あの子があそこで亡くなっていれば......この先痛い思いをーー」

「それは違うよシャティー。いつ、どこでも、誰であっても、命はある方がいいに決まっている!だって、そうだろう、あの子があそこで亡くなっていれば、この先の幸せだった未来さえも奪われてしまうかも知れないんだよ。幸せもなしに亡くなってしまう方が残酷じゃないか!」

「クラウド様〜〜!」


大粒の涙を浮かべる。


「ああ、もう、シャティーは、大人みたいに感じるけど、まだまだ子供なんだから」


クラウド様は抱きしめてくれる。

私は、胸の中で泣く。

そして、鼻をかむ。


「ズーーズーー」

「シャティー、胸を貸すのはいいが、鼻はハンカチでかんでくれ」


私は、顔を上げてクラウド様を見上げる。

クラウド様は微笑んだ。

私は、ハンカチで、顔をリセットする。


「クラウド様、次の仕事はもしかして......」

「ああ、今のフッカだよ」

「あの毛もくじゃらのブタを制裁できるなんて、幸運だわ!」

「泣きじゃくったと思ったら、こうだからね、シャティーは」

「頼りになるでしょ?ご主人様」

「そうだね、最高の奴隷だよ」

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