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006(閑話)

「ここはどうですか?クラウド様〜〜?」

「うう、そこは欲しいよシャティー......」

「ここはどうですか......?」

「ああ〜、シャティー、それ以上はもう......」

「もう、我慢して下さい〜クラウド様!」

「我慢できないよ、シャティー!」


「もうクラウド様もシャティーも、散らばしすぎです!片付けるのが大変じゃないですか」


私とクラウド様が絶賛、元奴隷の使用人の取り合いをしていたらセレスが入ってきた。

部屋の中は、新しい使用人たちの履歴書で散らばっている。


「どうしていつも、すんなり決められないんですか?」

「クラウド様がご主人様のくせに全然譲ってくれないんです!」

「シャティーが奴隷のくせに、使用人を多く召し上げようとするからだろう!」

「ああ〜、もう、いいです。お二人は部屋の外で待っていて下さい」

「クラウド様が悪いのに!」

「シャティーが欲張るから、また、セレスに決められちゃうじゃないか」

「そ・と・!」

「「はいっ!」」


バタンと部屋の扉は閉ざされる。


「セレスには敵いませんね」

「ははは、王国一の魔法使いもセレスには敵わないか」


私とクラウド様は顔を見合わせて笑う。


「次の仕事はまだ決まらないんですか?」

「今は、先行してる情報収集担当が潜伏はしているらしいけど、なかなか、尻尾は捕まえれないみたいだね」

「そうですか......まあ、街にいる貴族なんて、みんな国外追放できる何かはあるでしょ?適当にとっ捕まえましょう」

「シャティー、それは流石に偏見が過ぎるのでは......」

「奴隷から見たら、みんな、そんなものですよ、じゃあ、とりあえず、奴隷人権侵害でクラウド様を......」

「シャティー......それ本当にできちゃうところが冗談になってないよ」

「ふふふ」

「ははは......」

「クラウド様みたいな貴族が増えればいいんですけどね」

「そうだね、そうなれば、これまで見て見ぬふりをしてきた奴隷に対する人権も見直されるかもしれないね」

「はい、そんな世の中を作っていきたいです」

「ああ、僕も、その意見に賛同するよ......」

「クラウド様、変わりましたね」

「そうだね、君が僕の奴隷を全員逃し、君も逃げるのかと思ったら、『ここに居座って、奴隷として連れてこられた人をみんな逃してやるーっ』と言われた日、僕は変わったよ」

「もう、思い出さないでください!」

「いいや、自分をもかえりみない勇気が、僕の心を動かしたんだよ......そして、その1つの勇気が王国に伝搬していけばと思うよ」

「私の勇気は1つのきっかけに過ぎません。そのきっかけを掴めるかは掴む人次第です。私はクラウド様に掴んでもらえて幸運でしたよ......」

「僕は君にきっかけをもらえて幸運だったよ......」


「お二人とも、片づきましたよ!」


「さあ、シャティー、次の作戦でも考えようか」

「承りました、ご主人様!」


私とクラウド様はセレスが開いた扉から部屋に入った。

次回、シャティリアとクラウドは奴隷の解放に向かいます!

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