004
私は走りながら、クラウド様に魔術具の電話をかける。
「どうした、シャティー?」
「最初に気絶させたガマガエルが起きたみたい。こっちに来て罪状を言い渡しますか?」
「あとちょっとで男性の奴隷の脱出が完了するから、待ってて」
「適当に地下に繋がる回廊魔法を起動したので使って下さい」
「ありがとう、助かるよ」
私は狭い通路を逃げた時とは逆に走る。
すると、ガマガエルと出くわす。
「おい、貴様!何をしやがった!命令だ!さっきの拘束部屋に戻れ!」
「申し訳ありません。ご主人様。あなたのご命令を聞くことはできません」
「なぜだ、なぜ、逆らえるんだ!奴隷の首輪をつけているというのに!」
「ふふふ、奴隷の首輪は前の主人の首輪を外さないと使えないのはご存知ないので?」
「知っている。お前は、奴隷の首輪など、つけていなかったではないか!」
「ご冗談を、そんな訳ありませんよ」
私は指をパチンと鳴らし、隠蔽魔法を解除する。
首につけた奴隷の首輪がもう1つ現れて、ガマガエルが私につけた首輪は、粉々になって弾け飛ぶ。
「な、何だと......儂はクラウドに騙されたのか......」
「クラウド様は騙してなんかいませんよ?ただのあなたの不注意です!」
「く、風魔法!」
「爆風魔法!」
私の爆風魔法が一方的にガマガエルを吹き飛ばす。
「グアアアア!」
「めんどくさいので拘束しますね」
私は具現化魔法でロープを作る。
ガマガエルの前にロープを放り投げて、操作魔法をかける。
「自分で縛って」
ガマガエルは腕をプルプルさせる。
操作魔法に必死に抵抗しているようだ。
「ふ、ふざけるな......奴隷の分際でこの儂に指図するなーー!」
ガマガエルは魔力を爆発させる。
さすがに操作魔法は効かないか......
「強化魔法!」
ガマガエルは肉体を強化する。
ガマガエルは筋肉隆々のガマガエルになる。
「爆風魔法!」
もう吹き飛ばないか......。
「黙れ!」
私の暴風を切り裂くように私に飛びかかってくる。
「はあ、めんどくさい人......解除魔法!」
ガマガエルはただのガマガエルに戻って、爆風魔法に吹き飛ばされる。
「ゴホッ!お前、二重魔法だと......」
「なんでもいいけど、土埃を立てないで、ドレスが汚れるから」
私は飛んできた土を丁寧に払う。
「な、舐めるなーー!」
ガマガエルは、頭に血が上り、私に突進してくる。
「奴隷の分際で貴族に楯突くなーー!!!」
「汚いから、埃を立てないでって言ってるじゃない!!!身体強化魔法......」
私はヒョイっと、ガマガエルのパンチを躱して、その回転を使って、魔法で強化した後ろ回し蹴りをする。
「暴風後ろ回し蹴り!!!」
「グアアア!!!」
ガマガエルは、壁にぶつかり、地面に転がる。
クラウド様が到着する。
「ごめん、シャティー、遅くなっちゃった」
「遅いですよ!まあ、いいですけど」
「クラウド、貴様、騙しやがったのか?」
「騙すなんて、人聞きの悪い......私は探し物をしていただけですよ。これを」
クラウドはペラっと紙をガマガエルに見せる。
「な、なんだと。お前は何でそれを」
「申し遅れました。僕は貴族警察。貴族の裏の監視員」