003
えっと、左に行って、絵の裏に隠し通路っと......
微妙に歪んでいる絵を見つける。
これかな......?
一応、探索魔法を......。
うわー、中がごっちゃ返してるよ。
「罠は確実に解除してって言ってるのに!」
私は隠し通路の階段を駆け下りる。
血みどろの斬り合いになるのだけは勘弁して......
風の魔法が通路の先で巻き起こった。
クラウド様が殿を勤めているようだ。
まだ、戦線を維持してるっぽいね。
私は、飛翔魔法で、男性の奴隷たちの頭の上を駆ける。
『貴様、誰の許可でここに入り込んだ!』
『僕はただ、タルラ様の裏帳簿を探しにきただけだよ。奴隷は、たまたま、裏帳簿のある部屋に捕らえられていたから、運悪く助けちゃって』
『ふざけるな!』
ハハハ、相変わらずだね、クラウド様......
「爆風魔法!」
「「「グアアアア!」」」
ガマガエルの兵士たちは後ろに吹き飛んだ。
私は、土魔法で、通路を塞ぐ。
「シャティー!」
「はあ、世話のかかる主人です」
「ほんと、頼りになる奴隷様だよ」
「回廊魔法を作っとくので、あとは任せましたよ」
「うん、助かったよ」
私はセレスの元に戻ろうとする。
あ、忘れてたよ。
「ここに奥さんと一緒に奴隷となった男性の方いますか?」
一人の男性が掻き分けて、私の元に来た。
「フレールは無事なのですか?」
「フレールさんは金髪のロングヘアーでスラっと高い女性で間違い無いですか?」
「はい、フレールだと思います」
「では、私とともに来て」
私は手を差し出す。
男性は汚れた手を気にして、握ろうとしない。
私はばっと、男性の手を握り、回廊魔法でセレスの元にひとっ飛びする。
瞬間移動で消える直前、クラウド様は笑顔で手を振っている。
私は呆れ顔で手を振り返してあげる。
「フレール!」
「ダルアン!」
二人は無事再会を果たした。
「ごめん、セレス。問題なかった?」
「はい、クラウド様の屋敷でのお仕事を質問される方は多くいましたが」
「街に戻っても、また、雇ってもらえるとは限らないからね......」
「はい......」
「私たちの仕事はあくまできっかけを与えるだけだから......それ以上のことは......」
「もう、シャティーがそんな顔をしないでください。あなたのしていることはご立派なことですよ」
「ありがとう、セレス」
「感謝を申し上げるのは私の方ですから」
大きな魔力が屋敷で復活した。
場所的にガマガエルが起きたのかな?
酷くご立腹だね!
「セレス、ちょっと、仕事してくる」
「はい、お気をつけて」
私は笑顔で頷き、走り出す。




