012
「何で、でも、奴隷の首輪を......あなたたちは貴族で奴隷なの......?」
「フッカ様は貴族も奴隷にして、新しい王国を築き上げようと考えなさっているんだ。貴族をも自由に使えるモノとなるんだよ!すべてが従順な社会!素晴らしいと思わないか!」
「そんなの間違ってる!あなたたちだって、フッカに自由に使われるだけじゃない!」
「俺たちはこの計画の当初から参加する貴族だ。特権を認めていただける手筈になっている」
「フッカが裏切ったら、あなたたちも従順なただの駒になってしまうのよ!」
「ハハハ、面白いことを言うな!メスガキ!いいから黙れ!」
クラウド様の脇腹にナイフを突き刺した。
クラウド様は顔をしかめる。
「やめてよ!」
「まあ、いい!お前は奴隷で俺は貴族だ!わかったら、その偉そうなドレスを脱ぎやがれ!」
「え......」
「脱ぐのか脱がないのか?はっきりしやがれ!」
奴隷貴族の男はクラウド様のナイフの傷口を殴る。
「脱ぐから!何もしないで!」
「そうやって、はじめから従え」
私はドレスを脱ぎ、白い肌が露わになった。
「奴隷らしい格好になったじゃないか。そのまま、両手を上げて、そこにいろ」
間に立っていた男が、私の両手に枷をつけようと寄ってきた。
「いいメスじゃねーか......」
奴隷貴族が両手をあげた私の体を見て一瞬、気を抜いた隙を見逃さなかった。
「シャティー!!」
クラウド様は、両手の枷から抜け出して、ナイフの男の腕をねじり上げて、一本背負いして、関節技をかける。
私は、枷をつけようと寄ってきた奴隷貴族に爆風パンチをお見舞いした。
「奴隷の分際で、貴族に手をあげるんじゃねーー!」
「うるさいっっっ!!」
クラウド様が仕留めた奴隷貴族に私は、爆炎魔法でとどめをさした。
「クラウド様〜!」
「ごめんよ、シャティー......解除魔法が発動するまでこんなに時間かかってしまって」
私はクラウド様の胸の中で泣く。
「怖い思いをさせてしまった.......」
「違います......」
「何が違うんだい.......?」
「1人で撤退しろなんてひどいことを言わないでください!クラウド様と私は2人で1人でしょう!」
「そうか、君は、それで泣いているのかい」
「そうです!いけませんか!!!」
「嬉しいよ。ありがとう」
「ふふふ、よかった。クラウド様が無事で」
クラウド様は露骨に視線をずらす。
「どうかされましたか?」
「とりあえず服を着てくれ」
「クラウド様の奴隷ですよ?私の体を好きにしてくださっていいですよ」
クラウド様のゲンコツが私の頭に落ちる。
「痛い......ひどい......冗談じゃないですか......」
「女の子は冗談でもそんなことを言わないの」
私は、さっとドレスを着る。
「さっきの奴隷貴族の話だと、他にも奴隷貴族がいると思います」
「そう考えるのが妥当だね」
「この宴会も、もしかして、奴隷貴族の勧誘的な意味合いがあるのではと思ってしまいます」
「うん、僕もそう思うよ」
「地下のフロアに、人の反応が1つしかない部屋が数部屋あったんです、もしかして......」
「ああ、奴隷貴族は部屋を1人1部屋を与えられていても不思議ではない」
「奴隷貴族をどう扱うかですね......」
「フッカに加担しているという証拠がフッカの奴隷の首輪だろう?それで十分犯罪なんじゃないか?」
「そう考えれば、そうですね」
「ああ、奴隷貴族は罪人という扱いで拘束しよう。主犯のフッカは確実に国外追放だよ。ほら、こんなのも出てきた」
クラウド様は紙をピラっと見せる。
「さすがクラウド様ですね、不正な奴隷売買の証拠を見つけるなんて」
「僕も貴族だからね、どこに隠したいかはすぐに分かる」
「悪い貴族ですもんね?クラウド様は?」
「ははは、反論できないなそれは」
私とクラウド様は顔を見合わせて笑う。
「さて、他の罪人を取締りに行きましょうか!」
「ああ、行こうか、シャティー」
私たちは、走って、他の奴隷貴族を取締りに向かった。