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001

「おい、俺の奴隷にしてやる!こっち来いよ!」

「やめてください......」

「貴族に逆らうのか、お前!」


路地で女の子に強要する貴族がいた。

私は頭の悪そうな貴族に、わざとぶつかって、通り過ぎる。


「おい、待てよ!チビの女!貴族にぶつかっておいて、謝罪も無しか!」


貴族の男は私の肩を鷲掴みにする。

汚い手で触れないで......


私は魔力を放出して、威嚇する。

私の目は混沌とする。

男は静かに、その場に伏せた。


私は、ローブのフードを取って襲われた女の子に笑顔を見せる。

もう、大丈夫だよと伝えて、その場を去る。


「ありがとうございました」


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


「クラウド様、遅くなりました!」

「シャティー、遅いよ!」

「ごめんなさい......変な貴族がまた、平民に奴隷を強要しようとしていたから」

「はあ、なかなか無くならないよ、それは......」

「クラウド様も年端も行かない私のお花を盗みましたものね」

「もう、その話は勘弁してくれよ」


クラウド様は頭を抱える。


「ふふふ、どっちが奴隷か分かりませんね」

「ほんと、そう思うよ」


クラウド様は優しく微笑む。


「早速だけど、この荷物を持ってもらってもいいかな?」


クラウド様は地面に置いた、ボストンバックに視線を送る。


「はいはい、どう見ても私の方が力が無いけど持ちますよ」

「助かるよ、シャティー」

「いえいえ」


私とクラウド様は歩く。


「今日会うタルラ様は奴隷の数が100を超えると言われているよ」

「要するに変態ということですか?」

「ははは、否定はできないけど、男性の奴隷もたくさんいるらしいからいきなり殴るのはやめてあげて」

「クラウド様は私がそんな野蛮な女の子に見えているのですか」

「シャティーは野蛮というより、腹黒な鬼畜な......」


私はむぅ、とほっぺを膨らませて睨む。


「そうやって可愛いところが玉にきずかな」


私は照れながら、怒る。


「可愛いところがキズって何ですか!?」

「おっと」


クラウド様が肩に手を回し、引き寄せてくれる。

突然飛び出してきた人攫いの手が私の腕をかすめた。


「最近は、貴族の奴隷だろうが、平気で攫っていくからね」

「すいません、ありがとうございます」

「可愛くなかったら、狙われることもないんだよ」

「平気で可愛い可愛い言うのやめて下さい......」


クラウド様は笑って、善処するよと言った。


「さて、着いたよ、シャティー」

「着きましたね」

「君に命令するよ!君の望むがままに行動しなさい!」

「承りました、ご主人様」


私とクラウド様はタルラ様の屋敷に突入する。


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


私は門番にクラウド様が来たと伝える。

門番は、急ぎ足で、屋敷の者に連絡しに行った。

すぐに私とクラウド様は屋敷に通され、お茶会の部屋に通される。


「これはこれは、クラウド様、ようこそお越しになられました」

「タルラ様、お招き感謝します」


クラウド様の横に立つ、奴隷の私にガマガエルは気づく。


「そちらは、クラウド様の奴隷ですかな?」

「ええ、私の奴隷です」

「譲ってはいただけないかな?こんな可愛い娘の奴隷は珍しい」


気持ち悪いです。心の底からお断りです。


「もちろん、お世話になっているタルラ様ですから、値段に折り合いがつけばと言ったところでしょうか」

「話が分かるではないか!気に入ったぞ」

「恐れ入ります、いかほど、出していただけますかな?」

「そうじゃな、これでどうじゃ」


ガマガエルは指を2本立てて、ピースサインで値段を示す。


「いえいえ、この奴隷は、うちの奴隷の中でも私の一番のお気に入りです。これくらいは頂けないと」


クラウド様は、手をパーにして、値段をふっかける。


「まあ、良かろう。買った」


私は自分の高額取引に少し嬉しくなる。

いや、嬉しくなっちゃダメだけど!


「では、支払いを」


クラウド様とガマガエルは、腕につけた貴族のブレスレットを合わせる。

ブレスレットは一瞬だけ光る。

取引終了だ。


「では、頂こうか、奴隷の状態を確認するため、少し席を外してもよろしいかな?」

「もちろんです、ごゆっくりなさって下さい」


クラウドは優しく微笑んだ。

せっかく、お茶会室に来たなら、お茶を飲みなさいよ。


「来い!奴隷!」

「はい、ご主人様」

「しっかりしつけもされているのか!これはいい買い物をしたな」


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎


私は両手を拘束されて、吊るされる。

ローブをビリっと破かれて、下に着ていた服が露わになる。


「奴隷の癖に、豪華なドレスを着せられているのか」

「クラウド様には大変よくして頂いておりました」

「ハッハッハ、それなら従順そうなお前の泣き叫ぶ声が聞けそうだな」


あ、これ、ダメな奴だ。変態な奴だ。


ガマガエルは、私のドレスを、ナイフで切り裂いた。

私の白い肌が今度は露わになる。


もう、いいかな......。


私はガマガエルをキッと睨んだ。


「何だ、その顔は......触ってやるぞ......」


ガマガエルのネッチョリした汚い手が私の体に近づく。


お触りだけは許しません!


私は魔力を最大解放し、ガマガエルの意識を混濁させて、気絶させた。


油断しすぎだよ。私の体に集中しすぎ......


私は両手の錠を魔法で解除して、拘束を解く。


「はあ、このドレス、お気に入りなんだから、切り裂かないでよ」


床に落ちた赤色のドレスに、修復魔法をかけて、直して着る。

土汚れがついていたので洗浄魔法もかける。

ガマガエルに隠蔽魔法をかける。

息を吹き返せば、隠蔽魔法は解けるだろうが時間は稼げるはずだ。


「さて、私は他の奴隷の子でも救出に行きますか」


私は赤色のドレスをひらひらさせながら、拘束部屋を飛び出した。

奴隷少女の活躍劇、開幕です!

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