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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
3章 マイザー編

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28話 これから。

誤字報告、いつもありがとうございます。



 アブゾルという名をどこかで聞いたと思うのですが、どこで聞いたか覚えていません。どこでしたかね?

 私はギルガさんにアブゾルの事を聞きます。


「レティシア、お前、神アブゾルを知らんのか?」

「え? 知っていますよ。ただ、思い出せないはずです」

「そういうのは知っているとは言わん。お前、教会は知っているだろう?」

「はい。タロウを勇者と崇めていた糞みたいな場所です」

「いや……。それは言い過ぎだ。それに、教会が崇めているのは神アブゾルだ」


 なるほど……。

 アブゾルというのは神様ですか……。今度は忘れないように覚えておきましょう。


「アセールさん。その神聖国アブゾールという所に行けばスミスさんに会えるという事ですね」

「レティシア、なんでスミスに会いたいんや?」


 私はグローリアさんを見ます。するとグローリアさんが首を横に振ります。あ、教えちゃダメなんですね。


「私は貴方を信用していないので、教えてあげません」

「酷い言い草やな。まぁ、何の用事かは知らんが、神聖国アブゾールはアブゾル教の信徒やないと入国する事すらできひんぞ。一年以上信徒をやったっていう証が必要なはずや」

「え? 強行突破じゃいけないんですか?」

「そりゃ、あかん。僧兵というのも厄介やが、神兵っていうAランク相当の兵がおるんや。そいつらと戦ったら、流石にお前等でも殺される」


 殺される?

 たかが、Aランクでしょう?

 前にAランク崩れと戦いましたが、ものすごく弱かったですよ?


「はは。単体なら簡単に勝てるが、数で来られたらオレ達では死ぬかもしれんな。でも、レティシアが神兵に負けるとは思わないのも事実だ」

「俺も同意見だな」


 グローリアさんとギルガさんは二人で頷き合っています。仲がいいですね。


「じゃあ、どうしましょう。このままマイザーに攻め込みますか?」

「いや。それはできない。ここで攻めたらエラールセが絡んでいる事がバレる。それに捕まえた一部の兵士を逃がさなきゃいけないからな。そいつらは、こいつ等とは別のところに隔離してある」


 そう言ってグローリアさんはエフェットさんに尋問されている兵士を指差します。


「しかし、なぜ隔離を? 一緒に居させても良かったのでは?」

「いや、それはできん。プアーはアホだが、王太子だ。王太子のプライドだけを持つ馬鹿が、鉱夫の尋問を聞くと思えんからな。俺が正体をバラした上で尋問した。あそこにいる兵も同じだ。隔離している兵には、後で逃げて貰うから余計な情報は与えない。マイザーには最低限の報告をしてもらう」

「ちょっと待て。報告って何を報告させるんや?」

「マイザー兵はミーレル鉱山の鉱夫に撃退された。そう報告させる」


 そうする事で、マイザー軍には、鉱夫に負けた弱い軍隊のレッテルを貼ってもらうそうです。こうする事で、下手にどこにも手を出せなくなると言っていました。


「そりゃ、不味いわ。それは止めといた方がいいで」

「なぜだ?」

「今回エラールセが介入している事を、鍛冶ギルドのシンマスターは知っとんのか?」

「いや、知らないはずだ」


 シンマスター?

 初めて聞く名です。


「ギルガさん。シンマスターって何ですか?」

「あぁ。シンマスターは、正式にはシンサシスマスターって言ってな、各ギルドで一番偉い人の事を言うんだ。冒険者ギルドにもシンマスターはいるぞ」

「そうなのですか? じゃあ、アセールさんが言っていたグランドマスターって何ですか?」

「グランドマスターは全てのギルドの頂点に立つ御方だ。実在を疑われていたが、アセールの話では実在しているような言い方だったからな、実在しているんだろう」


 そういえば、ギルドは横のつながりが強いと言っていましたね。


「正確には、鍛冶ギルドのシンマスターにまでは話は言っていないはずだ。アセール。お前達、ギルドの総意を聞かせて貰いたい。お前達こそマイザーをどうするつもりなんだ?」

「どういう事や?」

「今回のミーレル鉱山襲撃は、マイザーによる、鍛冶ギルドに対する宣戦布告だ。たとえ弱い軍隊とはいえ、生産職である鍛冶ギルドに対抗できると思えない」

「なんやと? あんまり生産職を舐めるんやないで」

「お前が怒るのも分かるが、お前もさっき言っていた通り、お前達生産職が前衛職である軍隊に、被害を出さずに勝てるのか? 建築ギルドのシンマスターはどう言っているんだ? それによってはマイザーをどうするかを決めなくてはならん」

「いや、それはワイは知らんで」

「それをお前に聞いて欲しいと言っているんだが? 連絡用の魔宝玉くらいはもっているんだろう?」

「おぉ。そうやな。少し待っててくれ」


 アセールは連絡用の魔宝玉を取り出し、誰かと通信しています。通信先の声は女性ですね。建築ギルドのシンマスターは女性なのですね。


「はいよ。おおきに……。じゃあな。……建築ギルドはグランドマスターの指示待ちやそうや。確かに、ワイ等生産職は普通は戦えんからな。無理にマイザーと戦争してもこっちが痛い目に遭う。ただ、他のギルドと一緒で、建築ギルドもマイザーからは撤退するそうや」

「マイザーからの撤退はすぐに始めるのか?」

「さぁな。その辺はシンマスターやグランドマスターが時期を決めるんちゃうか」

「分かった。レティシア、スミスの捜索は一時中断だ」

「なぜです?」

「テリトリオの教会……いや、町を滅ぼしているお前がアブゾールに入るのは危険すぎる。当然、命の危険じゃないぞ。それにカススの件もあるからな。教会がお前を神敵認定してくるかもしれない」


 神敵……ですか。

 

「そうなれば教会を滅ぼすだけですが、不味いですか?」

「一国家の王としてそれは容認できない。教会を必要としている者もいるからな……」


 必要?

 そんな、居るかどうかも分からない神に縋るような連中が必要ですかね?

 そう聞くと、教会は孤児院を運営している事もあるらしく、教会が滅びると孤児達が行き場を無くしてしまうそうです。国が何とかしてあげればいいと思うのですが、確かにそれはかわいそうですね。


「そうですか。残念です」

「そうや。レティシア、お前に言っておきたい事があるんや」

「なんや?」


 私の返事に、皆さんの顔が驚愕に染まります。

 は、恥ずかしいです!


「こ、言葉がうつってしまったじゃないですか。殺します」

「な、なんでや!?」


 私は恥ずかしい記憶と共に元凶を消そうとしますが、アセールは必死に弁解してきます。


「と、とりあえず俺の話を聞け。アブゾルを信用するな。教会はアブゾル教ってくらいやから、アブゾルを崇めるのは仕方がない。せやけど、アブゾルは救いの神や無い。これはラロの言葉やからワイも良くは分からんが、胡散臭いのは確かや。だから、アブゾル教をそこまで信用するな。せやけど、教会を必要としているもんもいるのを忘れんな」


 ふむ。

 なぜかは知りませんが、とてもムカつきますし、そもそも意味が分かりません。


「何を言っているのですか? 本当に殺しますよ」

「お前はなんですぐに殺そうとすんねん!? 人の命は一個なんやぞ!」

「そうなのですか?」


 タロウはいっぱい持っていると聞きましたよ? 人の命ですけど。


「当たり前や。俺らは長い時は生きてるけど、案外簡単に死ぬんやぞ!?」


 簡単に?

 ジゼルはなかなかしぶとかったですよ?


「お前は長く生きている者がアッサリ死ぬところを見た事があるのか?」

「あるで。ワイも長い時を生きとるからな」

「長い時?」

「わいはこう見えても二百歳を超えとる」


 見た目は二十代に見えるのですが……。ものすごく若作りですね……。

レティシアが過去に滅ぼした町の名をカススに変更します。カカスにしてもどうしてもカススと言ってしまうのでもうカススにしてしまおうと思ってしまいました。


悲報 レティシア 関西弁がうつる。


あ、関西弁を馬鹿にしてませんよ。自分も関西人(おっきい水たまりのあるところ)なので、一応関西弁ですしww

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