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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
3章 マイザー編

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27話 Sランク

誤字報告、いつもありがとうございます。


「え? いやいや。聞きたいやろ?」


 アセールは私の返答に驚いていたようですが、こんな得体のしれない人から聞きたい事など何もありません。


「いえ、別に結構です」

「ちょい待て。聞けって」

「嫌です」

「ホンマに聞いといたほうがいいで?」

「うるさいです」


 しつこいですね。殴って黙らせましょうか。

 私がイライラしているとギルガさんが横から口を挟んできます。


「こいつは聞く気がないみたいなのだが、代わりと言っちゃなんだが、オレ達が聞いてもいいのか?」

「あんたは? あぁ、剣聖ギルガか。別に構わんで。せやけど、レティシアにはここにいてもらうで」

「私は帰ります」

「レティシア、そう言わずに、ここにいてくれないか?」


 さっき聞かなくていいと言ったじゃないですか。

 しかし、ギルガさんが残れと言っているので大人しく言う事を聞いておきましょう。それに、グローリアさん達は今忙しそうですし、まだ帰る事はできませんからね。


「分かりました」


 私はアセールの前に座ります。

 すると、アホに尋問していたグローリアさんも私の横に座ります。


「面白そうな話をしているじゃねぇか」

「グローリアさん。あちらはもういいのですか?」

「あぁ。プアーの奴はうるさいんで物理的に眠らせた。アイツはお前の魔法を使ったうえで自白させた方が効率がいい」

「なるほど。では、先にそっちを……」


 私が立ち上がろうとするとグローリアさんが止めます。


「とりあえずSランクの事を聞いてからでいいだろう」


 ギルガさんにそう言われて、私は座りなおします。


「話を始めていいか?」

「あぁ。始めてくれ」

「Sランクっていうのはな、問題児につけられるランクと言われとる。問題児言うてもAランク相当や無いといかんとも言われとるな」


 これはカンダタさんに聞いていた通りですね。

 まさかとは思いますが、これだけですか?


「そんな事は知っています」

「そうだな。オレもギルマスをやっていた時に聞いている」

「俺も王族だからな。その話は知っている」


 なんですか。

 みなさんが知っているのなら、どうでもいい話でしたね。

 しかし、アセールの話は続きます。


「今、話したのは表のSランクの説明や。ギルドや王族にはそう説明されとる。せやけどな、Sランクにはもう一つの意味があるんや。それにSランクになる為には、実は条件があるんや」

「条件ですか?」

「そうや。その条件とは人の限界(・・)を超える事や」


 人の限界……ですか。

 そんなモノとSランクに何の関係が?


「確かにレティシアは人の限界を超えているとは思う。【神殺し】だからな」

「そうなのですか?」

「自覚がないのか?」


 自覚ですか。

 確かに人よりは強いと自負していますが、限界と言われても良く分かりません。


「おい、アセール。お前が知っているのはそれだけ(・・・・)か?」

「何の事や? あ、Sランクの意味やけどな、Sランクはそれぞれのギルドで重要な役に与えられる。それが本当の意味や。レティシア、お前もギルド総連のグランドマスターから役目を与えられるはずや」

「そうか……」


 はて?

 グローリアさんが何かを考えているみたいですね。何かを知っているのでしょうか?


「まぁ、どうでも良いです。私は冒険者をやるので忙しいのでそんなくだらない事はどうでも良いです。グランドマスター? 会った事の無い人に頼まれても何もやりません」


 私が明確に拒否しているのに、アセールはまったく動揺を見せる事もなく話を続けます。


「ワイ等、ギルド総連としても、今回のマイザーの挙兵は看過できひんのや。そこでお前の力を借りたい」

「そうですか。人の話を聞かない人は知りません。自分達で勝手にやってください」

「お前も冒険者ギルドとして表に立って欲しいんや。ワイと同じSランクとしてな」

「嫌です」


 私は拒否して立ち上がります。さて、プアー達に〈無気力魔法〉を使いに行きましょう。


「グローリアさん。もう話は終わりです。行きましょう」

「そうだな」

「ちょい待てって!」


 アセールが私を止めようと立ち上がると、ギルガさんが間に入ります。


「アセールと言ったな。お前等にレティシアを利用させる気はない」

「ギルガさん?」


 ギルガさん? もしかして怒っていますか?

 魔力によりアセールを威圧していますが、アセールは微動だにしません。建築ギルドと言っていましたが、流石はSランクを名乗るだけありますね。


「できれば世界のゴタゴタに、こいつを巻き込みたくない。お前が引かないというのであれば、オレが相手になろう」

「ははは。剣聖ギルガか……相手にとって不足はない」


 ギルガさんは素手で戦うようですね。アセールも素手ですか。Sランクというのはどれくらい強いのですかねぇ……。


「かかってこいやぁ」



 はて?

 アセールはこの程度であれほど偉そうにしていたのですか? 呆れてしまいます。


「ぎ、ギブアップですわ……」

「お、お前、弱すぎないか?」


 アセールはギルガさんに一方的に殴られ、ボロボロになって転がっていました。


「あ、アホか!? ワイは建築士やぞ!? Sランクや言うても所詮は戦闘職や無いからな。負けて当たり前なんや!」

「なら、なぜ戦おうと思ったんだ?」

「ただのAランクやったら勝てる思たからや!」

「ただのAランク? オレは普通のAランクだが?」

「お前の強さおかしいやろ!?」

「何を言っているんだ?」


 ギルガさんは呆れている様です。

 もう埒があきませんね。


「ギルガさん。こいつ殺していいですか? 正直うるさいです」

「ま、待て!?」


 アセールが焦り出します。

 アセールが焦る…………忘れてください。


「わ、私は早くスミスさんを捜してエレン達と一緒に冒険者をやるんです」

「す、スミスやと?」


 おや?

 この反応は、もしかしますか?


「おい。スミスの居場所を知っているのか?」

「あ、あぁ。スミスならグランドマスターに呼び出されてアブゾールって町に出向いとる」


 アブゾール?

 聞いた事のある言葉なのですが、なんでしたっけ?


「アブゾールとは何ですか?」

「レティシア、お前知らないのか?」

「はい。興味がないので、知りません」

「そうか。神聖国アブゾール。大聖堂と呼ばれる建物があり、すべての教会の頂点だ。国全体がアブゾル教で構成されている。国の国主には枢機卿と呼ばれる神官の頂点に立つ人物が就いている」

「あぁ。神アブゾルが降臨した地とも言われている」

「神アブゾルですか……」


 聞いた事のある名前ですけど……。


 誰でしたっけ?


アセール君。偉そうにしていたけど、Sランクの真実を知りませんでした。

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