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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
3章 マイザー編

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14話 森での盗賊退治 


 昨日の夜はエレンとカチュアさんの二人と合流してから、グローリアさんにご飯を奢っていただきました。

 食事の席で鉱山に行く事を報告して、用意してもらったお城の大きなベッドで三人で一緒に寝ました。


 三人でゆっくりと寝たおかげで今日も元気です。

 私は早朝にセルカに移動してドゥラークさんの自室の扉を激しくノックします。


「さぁ、新婚さん、鉱山に行きますよ!」


 私が屋敷中に響く声でそう言うと、ドゥラークさんが妙に焦って自室から出てきます。


「お、お前、みんな、まだ寝ているんだぞ!? そ、それに、誰が新婚だ!? り、リディアも何か言えよ」

「え、え、ど、ドゥラークさん……、わ、わたし……」


 まぁ、当然のように同じ部屋にいるんですね。妬けますねぇ……。

 おや?

 リディアさんの顔は真っ赤ですねぇ……。でもちょっと泣きそうな顔をしています。

 その顔を見てドゥラークさんは焦り出します。


「い、いや、そういう訳じゃないんだ……」


 必死にリディアさんに言い訳していますねぇ……。

 ドゥラークさん、ぜひ頑張ってくださいね。


「用意ができたら下に降りてきてください」


 私は静かにドゥラークさんの部屋の扉を閉めて、下のリビングルームで待つ事にしました。


 何か飲み物は……。

 ミルクがありますね。ミルクを飲むと色々なところが成長すると聞いた事があります。飲みましょう。

 五分くらいミルクを飲みつつボーっと待っていると、ギルガさんが起きてきました。


「は? れ、レティシア? お前、いつ来たんだ? 昨日の夜にドゥラークが帰って来た事もビックリしたが、お前も簡単に帰ってきているんだな」

「ギルガさん、おはようございます。あ、連絡用の魔宝玉をください」

「は? いきなりどういう事だ?」


 私だけが連絡用の魔宝玉を支給されていないので催促します。

 セルカ組だけ支給されていると思ったら、エレンとカチュアさんの二人にもちゃんと支給されていました。それなのに、私にはなぜ支給してくれないのでしょう。


「ん? お前は【創造】の力で通信魔法を作れるだろう。そもそも、一ヵ月前に皆に支給したのに、今まで気付きもしなかったし、お前は仕事中に連絡を一切しないだろうが」

「た、確かに気付きませんでしたが、私だけのけ者にするのは寂しいじゃないですか」

「しかもだ。お前に通信手段を持たせても言葉が通じない時があるだろう?」

「し、失礼ですね。私は言葉が通じます!」

「いや、お前はぶっ飛んだ考えをしているからな……。まぁいいか……。今、用意してやるから待っていろ」


 ギルガさんは眠そうにしながら自室に戻っていきます。

 言葉が通じないとか失礼な事を言われましたが、連絡用の魔宝玉を手に入れる事ができました。

 これで仲間外れじゃなくなります。


 ギルガさんは綺麗な透明の玉を持っています。アレが魔宝玉なのでしょう。


「ほれ、高価なモノだから大事にしろよ」

「はい」


 これでいつでもエレンとカチュアさんの二人に連絡ができます。

 私が魔宝玉をころころと転がしていると、ドゥラークさんが疲れた顔で階段を下りてきます。


「おい。用意ができたぞ」

「なぜゲッソリしているんですか? もしかして……」

「もしかしてって何だよ。そもそも、お前のせいだろうが……」

「はて?」


 私のせい?

 まぁ、良いです。



 私とドゥラークさんは昨日ナイフを置いた場所まで転移してきました。

 目の前には森があります。


「おや? 後ろにいた人達がいなくなっていますね」

「早朝に出発したんだろうな。日の出ている時間に森を抜けようと思ったら、早朝に出発するしかないからな」

「一日で森を抜ける事が可能なんですか?」

「あぁ」


 ドゥラークさんは鉱山までの地図を取り出し広げます。

 ふむふむ。

 ここが森ですか。


「この森はまだ小さい方だからな。夕方には抜ける事が可能だ。何もなければな……」

「そういえば聞きたい事があったんですよ」

「なんだ?」

「どうして鉱山には転移魔法陣が設置していないんでしょう」


 これほど遠いのであれば転移魔法陣があった方が便利だと思うんですが……。


「レティシア、昔は鉱山にも転移魔法陣も設置されていたんだが、今は鍛冶ギルドが鉱山への転移魔法陣を設置する事を禁止している」

「なぜですか? 鍛冶ギルドが鉱山の権利を独占するつもりなのですか?」

「いや、昔ある鉱山で転移魔法陣を設置した事があってな……。その鉱山は転移魔法陣を設置した一か月後に閉山となった」

「閉山? なぜですか?」

「転移魔法陣があるという事は四六時中いつでも転移できるだろう? 鍛冶ギルドに登録していない奴等の金儲けを目的とした鉱石の盗掘が一気に増えたんだよ。それで一月もかからず掘りつくされて閉山したそうだ。その時に鉱夫が殺されたりもしたそうだ」

「酷い話ですね」

「そうだな。その事があってからは鍛冶ギルドが鉱山には転移魔法陣を設置しなくなったんだ」

「え? ちゃんと転移魔法陣を管理していればよかったんでは?」

「いや、転移魔法陣が設置してある以上、人の出入りが激しくなる。中には鍛冶ギルドに成りすます奴等までいたそうだ。一日、数百から千以上の人間の出入りがあるからか管理は難しかったそうだぞ」

「そうなんですね」


 まぁ、気になる点が無いとは言いませんが、転移魔法陣が設置されていない理由は分かりました。

 

「レティシア、俺達も夜には森を抜けたい。そろそろ森に入るぞ」

「はい」


 私とドゥラークさんは森を進みます。


 私は魔物の気配を探ってみますが、この森は思っているよりも平和みたいです。


「魔物の気配はあまりないですね」

「そうだな。まぁ、別の気配は感じるけどな」


 ふむ。

 確かに何かが戦っている気配を感じます。

 多勢に無勢といった感じですね。


「恐らく数の少ないのが冒険者でしょう。もう片方は盗賊かゴブリンの群れでしょうか? まぁ、ゴブリンならば冒険者でも倒せるでしょうが……」

「……助けるか?」

「ふむ。私としては無視してもいいのですが、ドゥラークさん的には放っておけないでしょう?」

「まぁな。こればっかりは性格なんだ。すまんな」

「別に構いませんよ」


 私達は何かが戦っている場所まで急ぎます。

 案の定、冒険者達が二十数人の盗賊に囲まれて、冒険者四人のうち二人は虫の息です。

 盗賊達は突然現れた私達を見て驚いています。


「さて、ドゥラークさん。どれを殺していいですか?」

「お前は好きに行動して良いぞ」

「ドゥラークさんはどうするんですか?」

「俺は適当に痛めつけながら情報を聞き出す」

「分かりました。情報を吐かせたらこっちに下さいね。ちゃんと殺しますから」

「なに?」

「それまでは殺さず待ちますね」

「あ、あぁ……」

「い、いきなり現れたと思ったら、なめてんじゃねぇぞ!!」

「殺せぇええええ!!」


 盗賊達は私達二人会話に腹を立てたのか、冒険者を無視して私達に襲いかかってきます。

 それで良いんです。



 盗賊達が私達に襲いかかってきてから十分経ちました。


「ぎゃあ!」


 私はナイフを盗賊のこめかみに刺します。

 これで全員殺しましたね。


「ドゥラークさん。有益な情報は聞けましたか?」

「いや。特に有益な情報はなかったな。こいつ等は鍛冶師を捕まえていないそうだ」

「そうですか。という事はスミスさんは盗賊に捕まっていないのですかね」

「さぁな。盗賊がこいつ等だけとは限らんからな」

「そうですね」


 私は盗賊の死体を一か所に集めます。

 森の中なので木々に燃え移ると厄介です。特別な炎魔法でも作りましょうか……。

 ふむ。

 浄化の光……は使えませんし、炎を使う……。

 あぁ、いい案が浮かびません。

 考えるのも面倒なので、死体を結界で囲ってから焼き尽くしましょう。


 私が死体処理をしていると、襲われていた冒険者が話しかけてきました。


「あ、あの……あんた達は?」

「俺達はエラールセの冒険者だ」


 そういえば、私達のパーティはセルカの町所属です。

 セルカの町が所属していたファビエ王国はなくなって、今はエラールセ皇国です。

 だからエラールセの冒険者になるのですね。


「え!? あ、あんた、ドゥラークさんじゃないのか!?」

「ん? お前は誰だ?」

「新人の頃に貴方に助けてもらった冒険者です」


 そういえば、ドゥラークさんは昔は悪態を吐いて冒険者の命を守っていたんですよね。

 ふむ。

 あの時はドゥラークさんの評価はあまり良くなかったですが、助けて貰っていた人は分かっていたんですねぇ。


「なんだ?」

「いえいえ……。ドゥラークさんは良い人ですねぇ……」

「なんだよ」


 ドゥラークさんは照れている様です。


「はぁ……。お前等は鍛冶師の護衛でミーレル鉱山まで行くのか?」

「はい。しかし、盗賊がこれほど多いとは……」


 この人達の話を聞くと、今まで二回失敗しているそうです。今回は三回目で、その三回とも盗賊に襲われて二回は引き返したそうです。


「そんなに盗賊が多いと仕事にならんだろう?」

「はい。冒険者だけじゃ盗賊退治は難しいんですよ」

「なに? 盗賊退治は国の管轄じゃないのか?」

「はい。でも、マイザー王国が盗賊を討伐せずに放置しているんです」


 放置ですか。

 それは酷いですね。


「お前達のうち二人が重傷だ。今回も引き返すのか?」


 馬車から出て来た鍛冶師のおじさんが怪我をした二人を心配そうに見ています。


「うっ……す、すいません」


 冒険者さんは鍛冶師さんに頭を下げています。


「いや、責めているわけじゃねぇけどよ……」


 鍛冶師の人も盗賊が多いのは分かっているらしく、強く文句を言えないらしいです。

 そうですね……。

 まぁ、ここまでかかわったのですから、面倒を見てあげましょう。


「もしよかったら、私達と一緒に行きますか?」

「え? レティシア、お前本気か?」


 ドゥラークさんが私の名前を出すと、冒険者と鍛冶師さんは固まってしまいます。


「い、今……レティシアって……」

「て、テリトリオの町を滅ぼした……」


 あ、そうでした。

 今の私は指名手配犯でした……。

ついにドゥラークがり、リア充に……。


活動報告の方にレティシアのイメージ画を載せてみました。書いてくれたのは……そんな知り合いは居ないので自分で描きましたww


誤字報告や感想いつもありがとうございます。

そして……ついにブックマークが五百に到達しました!

これからも頑張りますのでよろしくお願いします。

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