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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
3章 マイザー編

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9話 鍛冶屋の捜索依頼

誤字報告、いつもありがとうございます。


「レティシア、早速で悪いがヨルムンガンドの心臓をヒヒイロカネに変えてくれないか」


 心臓をヒヒイロカネにですか……。


「グローリアさん。心臓をヒヒイロカネに変える前に一つだけ確認を取りたい事があります」

「確認?」

「はい。ヨルムンガンドに聞きたい事があります」

『ん? 我か?』

「はい。貴方はヒヒイロカネを見た事があるのですね」

『あぁ。ちなみに加工されたモノは多少光が鈍くなったりしているはずだ』

「そうですか」


 私はグローリアさんに視線を移します。


「グローリアさん。前に渡したヒヒイロカネもどき(・・・)を貸してください」

「なぜだ? しかも、もどきとはどういう事だ?」

「山に向かう前に作ったヒヒイロカネは私が想像(・・)で作ったモノです。だから、本物とは似ても似つかないかもしれません」

「なるほどな。よくよく考えれば俺達はヒヒイロカネを見た事が無い。だからもどきなのか」


 え?

 グローリアさんは懐からヒヒイロカネもどきを取り出しました。

 あんなところに入れていて痛くないのでしょうか……。


 まぁ、グローリアさんが痛みに耐える変態さんだとしても関係ないです。

 私はヒヒイロカネもどきを受け取りヨルムンの前に置きました。


「これです」

『ふむ……。想像だけで作ったとは思えないほどに良いモノだな』


 良いモノ?

 という事はヒヒイロカネを作り出せていたという事でしょうか。


『本物ではないが、かなり近いものができている。ただ、本物はもう少し硬度が高く、本来はもっと赤く光り輝いている』

「もっと赤く光り輝いているんですか?」


 今のヒヒイロカネも相当輝いていますが、まだ足りないという事ですか。


『あぁ。本物は赤い色をした鏡のような不思議な石なのだ。七色に輝くのは陽の光が反射するのが理由だそうだ』

「という事は……」


 私はヒヒイロカネもどきの硬度をさらに上げるイメージをします。

 硬さは良いとしても、赤い鏡の様な石ですか……。

 いっそのこと鏡のような石を作ってみましょうか。


 私はヒヒイロカネをイメージしてヒヒイロカネもどきに魔力を注ぎます。

 

【創造】

 ヒヒイロカネ。


 魔力を流し終わると、私の手には鏡の様にキラキラして赤銀色なのに陽の光で七色に光る鉱石が乗っていました。


「こんなモノですか?」


 ヨルムンガンドはヒヒイロカネをマジマジ見て頷く。

 まぁ、蛇が頷いたかどうかなんてわかりませんけど。


限りなく近い(・・・・・・)ヒヒイロカネだ』


 限りなく近いですか……。


「本物ではないんですね」

『伝聞と想像だけでは本物は作れないさ。それに、これ以上ヒヒイロカネを作るのはお前の為にも止めておいた方が良い』

「はい?」


 私の為ですか?

 どういう事でしょうか。

 するとエレンとカチュアさんが私の髪の毛を触ってきます。


「レティ、髪の毛が……」「はい。魔力の使い過ぎです」

「はて?」


 私は自分の髪の毛を見てみます。

 あ、黒い髪の毛が灰色になっています。


「これは魔力切れですね」


 ドゥラークさんの力を作った時に起きた現象ですねぇ……。

 そういえば、ドゥラークさん以外の人の能力を作った時には魔力切れにならなかったのですが、どうしてでしょう?

 まぁ、良いでしょう。髪の毛もそのうち戻るでしょうから。


「魔力切れ? 思っているよりもヒヒイロカネを作るのには魔力を消費するみたいだな。レティシア、ヒヒイロカネは急いではいない。無理をするな」


 見た目にはっきり出てしまったため、グローリアさんにも心配されてしまいました。


「それでは今日は帰らせてもらいます。明日にでも続きを……」

「レティシア、ヒヒイロカネはもっと後でも構わん。それよりもお前達に話しておかなければいけない事がある」

「そうなのですか?」

「あぁ。ヒヒイロカネを加工を依頼する予定のはずだった鍛冶屋が行方不明になった」


 行方不明ですか。

 まぁ、別に鍛冶屋がいようと関係ありませんね。


「なら、ヒヒイロカネを盾の形に作りましょうか?」


 そうすれば、鍛冶屋が行方不明だろうとどうでもよくなります。

 しかし、グローリアさんは盾を作るよりも鍛冶屋を探して欲しいと言ってきました。


「捜索ですか……」

「グローリア陛下。それは無茶ではないでしょうか」


 私がどう捜そうかと考えていると、カチュアさんがグローリアさんにそう言います。

 本来であれば皇王にたいして無礼になるのでしょうが、知ったこっちゃありません。

 グローリアさんも私の態度(その事)を知っているので、カチュアさんを咎めたりはしません。


「カチュア。お前の言う通りかなり無茶なのは分かっている」

「カチュアさん。どうして無茶なの?」


 エレンが不思議そうにカチュアさんに聞いています。

 普通に考えれば情報を集めていけば見つかると思いますが、なぜ無茶なのでしょうか?


「エレン様。私達はその鍛冶屋の顔を知らないのです。だから、どこかに攫われていたとしても見つけた時には死体になっている可能性が極めて高いのです」


 アレ?

 そっちでしたか……。

 私とエレンは理解しましたが、ヨルムンガンドは理解できなかったのかカチュアさんに意味を聞き始めます。


『横から口を出すようだが、なぜ死体になるんだ?』

「殺されるからですよ」

『誰にだ? 盗賊にか?』

「いえ、レティ様にです」

「え? 私ですか?」


 これは意外です。

 盗賊にでも殺されるのかと思いましたが、私が殺すんですか?

 いくら私でも、盗賊でもない人を殺したりはしませんよ。


「レティ様。もしその鍛冶屋が盗賊やクソ貴族に攫われていた場合、クソ貴族や盗賊をどうしますか?」

「殺しますね」

「はい。そう答えると思っていました。その中に鍛冶屋がいたとして見分けがつきますか? 女子供なら見分けが着くと思いますが、腕のある鍛冶屋ならばそれなりの年齢を重ねた男性だと思います。見分けがつかないとどうしますか?」

「一緒に殺してしまいますね」

「はい」


 私が予想通りの答えを出したのでカチュアさんが微笑んでくれます。

 私も、カチュアさんは本当に私の事を理解してくれているようでついつい笑顔になってしまいます。


 私達二人が微笑み合っていると、グローリアさんは呆れた顔をして溜息を吐きます。


「はぁ……。お前はどうしてそこまで殺意が高いんだ? 生かして捕らえるなどは考えないのか?」

「無いですね」


 そもそも、そんな事をして意味があるのでしょうか?

 前に生かして捕らえた盗賊も結局処刑したじゃないですか。

 まぁ、何を言われてもどうしようもありません。私にとって盗賊は魔物と変わりませんから。

 いえ、素材になるぶん魔物の方が利用価値はありますね。

 まぁ、グローリアさんには適当に答えておきましょう。


「結局は育ちじゃないですか?」


 グローリアさんは呆れながらもエレンを手招きしています。


「なんですか?」


 グローリアさんの前に立ったエレンは宰相さんから紙を一枚渡されます。


「これは?」

「その似顔絵の男が俺が懇意にしている鍛冶屋の【スミス】だ」

「随分とお年を召した方なんですね」

「あぁ、そう見えるのも無理はない。スミスはドワーフだ。そんな風体をしているが俺と同じ年だ」


 エレンは私とカチュアさんにも似顔絵を見せてくれました。

 そこには六十歳を超えている様に見えるお爺さんが描かれていました。

 たしか、グローリアさんは四十代のはずです。


「それとこれが俺達が調べたスミスの情報だ」

「え? は、はい。お、多いですね」


 宰相さんは結構な量の紙の束を渡してきました。

 これはここで見るには少し時間が足りません。


「レティ様、エレン様。一度持ち帰って情報を整理しましょう」

「そうですね」

「では、私達は一度戻ります」


 私達は拠点へと転移しようとします。

 グローリアさんは、きりっとした顔で「頼んだぞ」と言ってきました。


 さて、見つかるでしょうか……。

久しぶりのレティシアの魔力切れです。

ヒヒイロカネの色については悩みました。

次回は閑話でタロウ視点になる予定です。

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