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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
3章 マイザー編

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7話 竜神ヨルムンガンド

誤字報告いつもありがとうございます。


 現れた巨大なドラゴンはヨルムンと違い、強力な魔力と威圧感を放ちながら、私達の前に降りてきます。


『我と似た気配を感じてきてみれば、同じ色をした幼竜がいるとはな』


 似た気配ですか……。

 ヨルムンが何か言いたそうですが、エレンに頼んで口を塞いでもらいます。

 さて、聞きたい事でも聞きましょうか。


「貴方はどこのヨルムンガンドさんですか?」

『……』


 私が質問してもヨルムンガンドは無視します。

 いい度胸ですね。

 私は足元に落ちていた石を拾いヨルムンガンドの目を狙います。


「無視しないでください。えいっ!」

『ぐはぁ!?』


 石はヨルムンガンドの目にまともに当たりました。

 体は黒い鱗で覆われてますけど、目はむき出しなのでダメージが当たると思って投げてみましたが狙い通りダメージを与えれたようです。


『き、キサマ!? 何をする!?』

「え? 無視されたから石を投げつけただけですよ。貴方が無視するからいけないんです」

『我がキサマのような矮小な存在である人間と会話するとでも思うのか!』

「うるさいです。それよりも聞きたい事があるのですが」

『人間如きの質問など聞く必要はない!!』


 はぁ……。

 まだ、立場を理解していないみたいですね。

 私は地面に刺さっていた岩を引き抜き投げつけます。


「えい」

『ぐはぁ!? き、キサマ!?』


 当たりました。

 ヨルムンガンドは自分に何が起こったのか理解できないようでした。

 おおかた、さっきの小石よりも大きかったので避けられるとでも思ったのでしょう。

 ……甘いです。

 さっきは気付く程度で投げましたが、今回は真面目に投げました。だから速さは二回目の方が速かったので避けられなかったようです。

 

 額に大岩が当たったヨルムンガンドはよろけてそのまま地に伏します。

 まだ、終わりませんよ?

 私はヨルムンガンドの尻尾を一気に持ち上げ振り下ろすように地面に叩きつけます。


『ぎゃああああ!!』

「さぁ、答えなさい」

『ぐ……な、なんだ?』

「貴方の心臓をください」

『は……? ちょ、ちょっと待て。お前は我が何者かを聞こうとしていたんじゃないのか!?』

「さっき自分でヨルムンガンドって名乗っていたじゃないですか」

『そ、それはそうだが』

「別に貴方が本物であろうと偽物であろうと興味がないです。私としては、ちゃっちゃと自分の用事を済ませるだけです」

『ふ、ふざけるなぁ!! そもそも心臓を奪われたら我が死ぬじゃないか!?』

「はい。死んでくださいと言っているのですよ」


 私は少し離れて収納魔法からナイフを取り出します。


『な、何をするつもりだ?』

「ナイフ投げです」

『な、ナイフが我に効くわけがなかろうが!!』


 そう言ってヨルムンガンドが再び空に飛びます。


「そうでしょうね」


 あの体の鱗は硬いです。

 だからこそ薄く脆そうな羽を狙います。

 飛べなくしてしまえば殺せます。


「えい、えい、えい、えい」


 私は収納魔法から次々とナイフを取り出し投げつけます。


『ぎゃああああ!!』


 ナイフは羽を貫通し次々と羽根を貫いていきます。


 百本ほど投げた結果、羽がボロボロになり、ヨルムンガンドは頭から地面に落ちていきました。

 さて、次は頭を狙っていきますかね。

 私は地に伏せるヨルムンガンドの頭の上に立ち、頭を殴ります。


「えい」

『ぎゃああああ!!』


 何発か殴るとヨルムンガンドは大人しくなります。どうやら気絶しているみたいです。


「カチュアさん。首を落としてください」

「はい」


 カチュアさんはヨルムンガンドの首を落とそうとしましたが、剣が弾かれました。


「レティ様。弾かれてしまいました」

「ふむ」

『ば、馬鹿め!? 我の鱗は黒の龍鱗だ。そんな剣で斬り落とせるわけがないだろうが!!』


 あ、起きましたか。

 しかしこの黒い鱗は龍鱗というのですか。

 では……。


「カチュアさん。美徳を使って落としちゃってください」

「はい。【堅固・勇気・不死鳥】」


 カチュアさんはこの一ヵ月で美徳を完全に使いこなせるようになり、自身の身を焼く事は無くなりました。


『え? ちょ、ちょっと待て!? 美徳ってまさか!?』

「うるさいです」


 私はもう一度ヨルムンガンドの頭を殴ります。


『ぎゃあああ!!』


 しかし、ヨルムンガンドは諦めないようです。


『待て、心臓を渡すからちょっと待って!?』

「はい?」


 そういって、ヨルムンガンドは起き上がり自分の胸に手を突き刺し、気持ち悪い生ものを取り出します。


『こ、これが我の心臓だ』

「はて? 心臓を取り出したのにどうして生きているのですか?」

『我々竜神は心臓が二個ある。そのうちの一つだ』


 心臓が二つですか。

 ヨルムンガンドが取り出したのは生ものです。


「生ものですよね? もう一つの心臓はヒヒイロカネですか?」

『そんな情報を誰に聞いたんだ?』


 私はグローリアさんから教えて貰った事をヨルムンガンドに説明します。


『それは間違いだ。少なくとも俺が知っているドラゴンには鉱石の心臓を持つモノはいない。確か水中に住む魔物にそういうのがいると聞いた事があるくらいだ』

「そうなのですか?」

『どちらにしても、ドラゴンの心臓を持ち帰らなければいけないのであれば、これを持っていけ』


 持ち帰れ?

 こんな生ものを?


「汚いから嫌です」

『お前……』


 とはいえ、わざわざ心臓を取り出してくれたヨルムンガンドに悪いですね。


「そうですね。凍らせておきましょう」


 私は氷魔法を使い心臓を凍らます。

 その光景を見たヨルムンガンドは物凄く驚いているみたいです。


『!?』

「何を驚いているんですか?」

『ドラゴンの内臓は特別でどんな魔法も効かないはずなんだ』

「でも凍りましたよ」

『どういう事だ?』


 ヨルムンガンドが困惑していると、私の頭の上に毛玉が現れます。


「どこに乗っているのですか? 殺しますよ?」

『まぁ、待て。そいつに話がある。久しいな、ヨルムンガンド』

『その声……貴様、天空竜バハムートか!?』


 天空……()


「何を言っているのですか? こいつはただの毛玉ですよ?」


 私は頭の上の毛玉の触覚を掴みます。


「貴方は私達に嘘を吐いていたんですか?」

『ち、違う。私もヨルムンガンドに会って自分が何者なのか思い出したんだ』

「思い出した?」

『あぁ。とにかくもう一度頭の上に私を置いてくれないか?』

「嫌です」


 私と毛玉の会話を見てヨルムンガンドが驚いています。


『お、おい……。なぜ人間に好き勝手させているんだ?』

『ヨルムンガンド……。こ、こいつの力は私達を遥かに超えている』

『!?』


 毛玉の言葉にヨルムンガンドはとても驚いている様です。


『な、何を言っている?』

『こいつは【神殺し】だ……』

『馬鹿な!? あの伝説の【神殺し】だというのか!?』


 何ですか。二人で話していて鬱陶しいですね。


「あのー」

『なんだ?』

「貴方達の事はどうでも良いので、エラールセに帰りたいのですが?」

『え?』

「だから、私達の目的は心臓だけです。だから帰りたいんです」


 私は心臓を収納魔法を入れて帰ろうとするとヨルムンガンドが予想外の事を言ってきました。


『我も連れて行ってくれ』

「え? 嫌です」

『我は姿を変えられるぞ?』

「はぁ?」


 ヨルムンガンドは光り始め小さな蛇に姿を変えました。


『どうだ?』

「気持ち悪いです」


 いや、蛇を見て可愛いという人もいると思いますが、私は思いません。

 私はヨルムンガンドを踏みつけます。


『ぎゃあああ!!』


 踏んで少しスッキリしたのでいいでしょう。

 

「ヨルムンガンド、一つだけ約束しなさい」

『な、なんだ?』

「エレンを守りなさい。それが条件です」

『エレン?』


 ヨルムンガンドはヨルムンを抱くエレンに視線を移します。


『な、なんだあの娘は!? か、神の魔力を感じるぞ!?』


 何を言っているのでしょうか?

 聖女なのだから神の力があってもおかしくありません。

 

「まぁ、いいです。条件は飲めますか?」

『あ、あぁ。神ならば竜神が神に従うのは当然だ……』

「何を言っているのかは知りませんが、では帰りましょう」


 私は転移魔法でグローリアさんの執務室へと直接移動しました。

本物のヨルムンガンドが仲間になりました。


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