表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
3章 マイザー編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/325

6話 幼竜ヨルムン

誤字報告いつもありがとうございます。


 伝説の竜神ですか……。

 ヨルムンの外見は漆黒の鱗に覆われた体の巨大なドラゴンです。

 普通の人間が見れば恐怖するのは当然です。私の知っている尻尾ドラゴンとは別格に見えますが……。

 しかし、この性格ですよ?


「竜神の一匹ですか」

「あはは~。名前が一緒なだけだよ~」


 こんなのが伝説の竜神と言われても、まったく信用ができません。


「毛玉。説明してください」

『あぁ、竜神というのはこの世界を作ったと言われる神のドラゴンだ。こいつは性格がアレだが、まさかヨルムンガンドという名を名乗る馬鹿なドラゴンはいないだろう? 普通の魔物には自我がないが、もしこいつが本物の竜神ならば自我があるのも納得がいく』

「はい? この世界はアブゾルという神が作ったんじゃないんですか?」

『アブゾル?』

「はい。この世界はアブゾルが作ったと聞いています」

『そうか……。どうも私の記憶とエレンの記憶が少しおかしかったからどういう事だと思っていたが私の知っている世界の創成とは違うのか……』

「はぁ? エレンの記憶がおかしい? 意味の分からない事を言うのなら殺しますよ?」


 私は毛玉を握り潰そうと掴みます。


『ま、待て。誰もエレンの頭がおかしいと言っていない!』


 もう一度言いましたね?


「エレン様。毛玉に馬鹿にされていますよ?」

「あはは。悪気はないと思うんだけどね……」

「エレンが悲しんでいます。殺します」


 実際は悲しんでいませんが……。


『だ、だから待てって。エレンも悪ノリするな!?』


 少しずつ握る力を強くしていきます。

 しかし、毛玉は痛みも感じないのか平然としています。


「えっと、僕は逃げてもいいかな?」

「『はぁ?』」


 黒トカゲが余計な事を言いましたよ?


「ひっ!?」

 

 たかが人間に怯えるトカゲが本当に竜神なのでしょうか?


「貴方は竜神なんですか?」

「ち、違うよ。名前が同じだけだよ」

『名前が同じって……、お前等ドラゴンの中でも竜神ヨルムンガンドの名は聞いた事があるだろう?』

「竜神ヨルムンガンドって名前は最近になって知ったんだよ。僕の名前はお母さんが付けてくれたんだから」

『お母さん?』

「うん。お母さんと言っても一年くらい一緒にいた小さな人間の女の子なんだけどね。『おまえのなまえはよるむんがんど』と名付けてくれたんだ。もう何百年も前の話なんだけど、人間は百年も生きられないって言うから、もう会えないと思う……」

『そうか……。済まなかったな』


 ヨルムンも私やエレンやカチュアさんと一緒でもうお母さんには会えないんですね。

 ……そうですか……。


「ところで、心臓は……」

『お前、このタイミングでソレを聞くのか!?』

「はぁ? 仕事ですし」

『お前……』

「で?」

「だ、だから生ものだよ!?」

「そうですか。抉り出して確認してみましょうか?」


 私が剣を片手にそう言うとヨルムンは逃げ出します。

 

「あ、逃げ出しました」

「追いかけましょう。レティ様」

「はい」


 まぁ、遅すぎて歩いてでも捕まえられますけど。

 捕まえようとした時、「ちょっと待って!」エレンに止められました。


「わかりました。カチュアさん」

「はい。エレン様がそういうなら待ちましょう」


 私とカチュアさんはヨルムンの尻尾を持ちエレンの下へと引き摺り連れていきます。


「ひ、ひぃ!」


 ヨルムンは泣いている様ですね。

 そんなヨルムンの鼻をエレンは優しく撫でます。


「ヨルムンちゃん。貴方は人間に害をなすの?」

「し、しないよぉ。僕はこの黒い鱗のせいで人間から怖がられるんだ。僕はお母さんが人間だから人間と仲良くしたいんだ。でも、怖がられるから、人間が来ないこの山で静かに暮らしていたんだよぉ……」

「人間はドラゴンに恐怖しているんだよ。貴方の事が怖いんだよ」

「僕だって人間が怖いよぉ……」

「そうだね……」


 エレンは優しくヨルムンの鼻を撫で続けています。

 ヨルムンは人間に優しくされたのが嬉しくなったのか、大人しくなっています。


 ヨルムンの事はエレンに任せておくとして、私達はあちら(・・・)を気にしておきましょう。


「カチュアさん、気付いていますか?」

「はい。これはヨルムンではないですね」

「はい」


 巨大な気配がこちらに向かってきているのが分かります。

 何と言うのでしょうか……邪悪な気配です。


「エレン様も気付いているでしょうか?」

「気付いているはずです。だからこそ、ヨルムンを宥めようとしているのでしょう」



「ヨルムンちゃん。自分の体の大きさを変えられないの?」

「そ、そんな事できないよ」

「そうなんだね。レティ!」

「はい?」

「体の大きさを変える魔法って作れる?」

「ヨルムンに使うのですか?」

「うん。来ているでしょ? ヨルムンちゃんには戦う力はなさそうだし……」

「そうですね」


 戦えなくてこんな大きな体です。敵からすれば大きな的ですね。

 ハッキリ言って足手まといです。


 私はヨルムンの鼻に手を当てます。


「え? な、なに?」

「黙っていてください」

「は、はい」


 ヨルムンは少し怯えている様ですが静かになります。

 さて……。

 イメージします。


「自身の体を小さくする。ついでに幼くもする」


 イメージは簡単にできます。

 とはいえ、このまま縮んでも気持ち悪いので幼くなって貰いましょう。


 できました。


「【創造】特殊能力【幼竜化】」


 私が魔力を送ると、ヨルムンの体が淡く光ります。


「え? なに?」

「小さくなるように念じてください」

「あ、はい」


 ヨルムンが目を閉じると、ヨルムンの体がどんどん縮み、ケダマと同じくらいの大きさになりました。しかも、見た目が幼くなっているので可愛らしくなっています。


「ち、ちっちゃくなったよ!?」

「そういう特殊能力です」

「でも、子供みたいになっているんだけど?」

「【幼竜化】です。それならエレンの傍にいれるでしょう?」


 私がそう言うと、エレンがヨルムンを抱き上げます。


「え?」

「ヨルムンちゃんはここにいようね」


 さて、ヨルムンはエレンが抱いていれば安全でしょう。


「レティ様。きました」

「そうですね」


 やってきたのは、ヨルムンと同じ漆黒の体をした巨大なドラゴン。

 ただ違うのは、これには羽が生え威圧感もあり、尚且つ……。


 私達を敵と認識している様です。


『我が名は竜神ヨルムンガンド』


 ヨルムンと同じ名前ですか……。

 私は毛玉とヨルムンに視線を移し、ヨルムンに聞きます。

 もしかしたら同種族(・・・)かもしれませんからね。


「あれからなら心臓を奪っても良いでしょう?」

「うん。僕じゃなきゃいいよ!」


 意外にも即答でした。


『……!?』「ヨルムンちゃん……」


 その潔い態度にケダマは絶句して、エレンは少し呆れています。

 私はそういったハッキリした性格は好きですよ。

悪い病気が始まり、またプロットとは結末を変えてしまっています。

ヨルムンは元々幼竜化してエレンの傍にいさせるつもりだったので変更なしですが、本来は本物のヨルムンガンドという設定でしたが別の本物をだしちゃいました。

さて、プロットの書き直しです(爆笑)

レティシアはブレません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ