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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
3章 マイザー編

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5話 セ―ヴィ山のドラゴンさん

誤字報告いつもありがとうございます。


 グローリアさんからドラゴンの住む山について聞き、移動の為に馬車を用意してもらいました。

 しかし、その山まで馬車で一週間もかかると言っていましたし、一週間も馬車生活というのは嫌だったので、宰相さんの頭の中から山の場所を頭から読み取り、転移します。あ、本人の許可は得ましたよ。


「ここがドラゴンの住む何とか山ですか」

「レティ、この山の名前はセーヴィ山だよ」

「そうでしたっけ? 私は名前を覚えるのが苦手なのですぐに覚えるエレンは凄いです」

「レティ様。この山の名前などどうでも良いのです。覚える必要はありませんよ」

「そうですね」


 カチュアさんは効率の良さを優先しますから、無駄を省こうとするんですね。これも凄いです。


「カチュアさん。レティを甘やかしちゃダメだよ」

「甘やかしていませんよ。エレン様が細かいだけです」


 お二人は、ぼそぼそと何かを言い合いながら顔を近付けて見つめ合っています。

 少しお二人に嫉妬してしまいますが、仲が良いのは良い事です。


 しかし、強力な魔物というのは強力な気配を発しているモノだと思いますが、まるで何も感じません。本当にこの山にドラゴンがいるのでしょうか?


「グローリアさんは調査に人を出してないと言っていました。という事は、ドラゴンの噂事態も未確認という事になります。ガセネタでしたかね?」

「相手は強力な魔物なんだから、気配を隠す(・・)とかはないの?」


 強力な魔物が気配を隠すですか……。

 あまり聞いた事が無いですが、そんな事があるんでしょうか?

 

「それは無いと思います。魔物というのは本能で生きていますので、エレン様が言うように隠すような器用なマネはできないはずです」

「そうなの?」

「はい」


 なるほど。

 魔物というのはそうなのですね。私も初めて知りました。


 私は目を閉じ山全体を探ります。

 隠れているとしても見つけ出してみせます。


 どこですかね……。

 この山は不思議です。

 生物の気配をほとんど感じません。


 ん?

 頂上に何かいますね。


「見つけました。しかし、頂上ですか……」

「どうするのですか?」


 そうですねぇ……。

 ドラゴンと思われる気配は察知していますし、いちいち登山したくありませんねぇ。


「転移します」

「転移ですか?」

「そうです。ドラゴンと思われる気配を感じた以上、転移は可能です」


 私は山の頂上に転移します。

 私がいる以上、危険というのは在り得ませんが万が一という事もありますので、隠れられそうな場所に転移します。


 さて、アレが噂のドラゴンですね。

 ふむ。大きく黒く立派なトカゲです。

 確かに私の知っているドラゴンとは違うようですね。


「黒いですね」

「うん。凄い威圧感があるよ」

「早速倒しますか?」


 カチュアさんは剣を取り出します。

 まぁ、討伐対象を見つけたのならば、とっとと仕留めるのが一番ですからね。


「そうですね」


 私も剣を取り出します。

 最近は盗賊のゴミや弱い(・・)魔物ばかりだったので剣は使わずナイフで遊んでいましたが、久しぶりに【ヒカリ】と【ヤミ】を取り出します。

 

 いつ斬りかかろうかとドラゴンの行動を見ていたのですが、急に私達の方に顔を向けます。


「あのー。そこにいる人達、隠れていないで出てきてくれないかな?」

「「「え?」」」


 見つかりました。

 私とカチュアさんは気配を完全に消していましたし、エレンの気配は神の気配なのでトカゲ風情に気付かれるはずが……。それにドラゴンが喋ったんですか?

 魔物なのに……ですか?


 見つかっているなら仕方ありません。

 私達はドラゴンの前に出ます。当然武器を持ってです。


「そ、そんな物騒なモノまで持って、どうして僕をじろじろ見ていたんだい?」

「はい。貴方の心臓を貰いに来ました」


 どうせ殺すのですから、素直に話しても良いでしょう。


「え!? ちょ、そんな事したら僕死んじゃうよ?」

「はい。死にますね。殺しに来たんですよ」

「どうして僕が殺されなきゃいけないのさ!?」

「心臓が欲しいからです」

「い、嫌だよ!? 他を当たってよ」

「いえいえ、黒いドラゴンは貴方しかいません」

「そ、そんな……」


 ドラゴンは黒い巨躯をプルプルと振るわせます。

 いやいや。ちょっと意外なんですが……。


 いえ、油断はいけません。

 グローリアさんがこのドラゴンは危険極まりないと言っていました。

 

「ちょっと顔をこっちに持ってきてください」

「なに?」


 私がそう頼むとドラゴンは素直に顔を近付けてきます。

 私はドラゴンの頬辺りを思いっきり殴ります。


「い、痛い!? どうしていきなり殴るんだい!?」


 へぇ。

 結構真面目に殴ったのに吹っ飛びませんでした。

 流石の巨躯です。


「え? 殺しに来たんですから当然ですよ」

「だから、ちょっと待ってって!?」


 なぜ、殺す相手に「待て」と言われて、待たなきゃいけないんですか?

 そう思って、首を頭を斬り飛ばそうとしましたが、エレンに止められます。


「レティ、ちょっと待って。何か可哀想だから、話だけ聞いてあげない?」

「はい」


 私は素直に頷きます。

 

「どうしてその子には素直なのに……」

「貴方とエレンでは重要度の桁が違います。比べないでください」

「……はい」


 ドラゴンはしょぼんとしています。

 そんなドラゴンの鼻をエレンが撫でながら「けだまんが貴方と話したいって」と言い出します。


「けだまん? それって君の名前かい?」


 私はドラゴンを殴ります。


「い、痛い!? なにするの!?」

「エレンを毛玉ごときと間違えるなんて……殺しますよ?」

「だ、だって、僕、君達の名前を知らないんだよ?」

「はぁ?」

「ご、ごめんなさい……」

「分かればいいのです。それよりエレン、毛玉がしゃしゃり出てくると言う事ですか?」

「うん。このドラゴンさんと話がしたいんだって」

「そうですか。鬱陶しい」

『そう言うなよ。それよりこのドラゴン、知能があるみたいだな』


 エレンの頭の上に毛玉がいます。

 エレンの綺麗な髪の毛が汚れるのでそこに乗るなと言っているのですが……。

 しかし、ケダマはエレンのペットです。ここは大人しくしてあげます。


『おい。トカゲ』

「酷いな。僕は一応ドラゴンなんだぞ!? 君こそ、最弱の魔物のケダマじゃないか!?」

『私を普通の魔物と一緒にするな。そんな事はどうでも良い。お前の心臓がヒヒイロカネと聞いたんだが、本当か?』

「はぁ? 僕の心臓が鉱石なわけないでしょ? 僕の心臓は生ものだよ」


 まぁ、鉱石だと言えば殺されますから、そう答えますよね。


「実際見てみないと分からないから見てみましょう」

「いや、死んじゃうからね!?」

「別にいいじゃないですか。トカゲなんですから」

「酷い!? 誰かこの子止めてよ」

「レティ、少しだけ待ってね」

「はい」


 エレンに止められたので黙ります。

 私が黙ったのを見て、ドラゴンは感激している様です。


「て、天使……」


 天使?

 天使とは何でしょう?


『最初に聞くぞ。お前は魔物なのにどうして知能を持っているんだ?』

「え? 知能って? 生きているんだから物事を考えのは当たり前じゃないか」

『いや、お前のような魔物は本能だけで生きているはずだ』

「それは君だって同じじゃないか」

『いや、私はケダマの姿をしているが、厳密にいえば魔物ではないからな』


 正直な話、魔物かどうかなんてどうでも良いです。


「もう終わりましたか?」

『「え?」』

「別に喋ろうが黙っていようが死んでしまえば同じです。死体になってしまえば喋りませんよ」

「だから待ってって。この凶暴な子を誰か止めて!?」


 ドラゴンが涙目になっています。

 ドラゴンの反応を見ていると面白いですよねぇ……。

 

 私が少しニヤニヤしているとエレンに怒られました。

 

『レティシア。少し黙っていてくれ。話が進まん』


 ハァ?

 毛玉に言われるとめちゃくちゃムカつきます。


「このドラゴンは面白いですが、替わりにお前が死にますか?」

『いや、こっちに殺意を向けてくるな。とりあえずだな、話が進まないから今は黙っていてくれ』

「チッ」

『舌打ちかよ。エレン、カチュア。こいつを押さえておいてくれ』

「はい」「う、うん」


 お二人は私に抱きついてきます。

 これはずるいです。動けないじゃないですか。

 マッタリしてしまうじゃないですか。


『じゃあ、話を戻すぞ。ドラゴン、お前の名は?』

「僕の名前はヨルムンガンド。ヨルムンって呼んでね」


 ヨルムンですか。

 可愛らしい名前です。


『おいおい……。伝説の竜神の一匹かよ……』


 はて?

 毛玉が面白い事を言いだしましたよ。

レティシアが魔物の本能の事を言っていた記憶が無いので知らない事にしました。もし、前に書いてたら教えてください。その時は書き直します。


ドラゴンさんかわいい。

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