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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
3章 マイザー編

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4話 ヒヒイロカネという鉱石だそうですよ

ヒヒイロカネは赤いと指摘があったので少し修正しました。

ヒヒイロカネの剣から盾に変更しました。


「心臓が欲しい理由か……。なぜ必要とするのかを話す前に、討伐対象のドラゴンの話をしておこう」

「なぜですか? ドラゴンなんてちょちょいっと倒せるでしょう?」

「なに?」

「ドラゴンは確かに賢いとは思いますが、ちょっと追い詰めると尻尾を差し出してくれるような大人しい生き物ですよ?」


 少なくとも私の知っているドラゴンはそうです。


「いや、お前の認識はどこかがおかしい。レティシア、お前の知るドラゴンの特徴は?」

「緑色の鱗を持つ飛ばないオオトカゲのようなドラゴンでした」

「そうか。鱗の色だけでは同じ種かは分からないが、討伐対象のドラゴンは黒い鱗を持った凶暴な個体だ。もしかしたら気性も荒いかもしれん」

「調査にはいかせたのですか?」


 犠牲者もいるのなら、早めに討伐しないとだめなのでしょう。


「いや、さっきも言ったが、誰も依頼を受けてくれなかったからな」

「では、被害はないと?」

「あぁ。俺からも一ついいか? お前の知っているドラゴンの生息地はテリトリオの近くの山って事で良いんだな?」

「はい」

「テリトリオはエラールセ皇国の領土ではないとはいえ、ドラゴンの存在を知りつつ放置するのは危険だな。俺の信頼する冒険者に調査に行かせるとしよう」


 グローリアさんの信頼する冒険者ですか。

 強くて責任感がありグローリアさんが信頼している……。

 一人しか思い当たりません。

 

「レッグさんに調査を依頼するんですか?」

「レッグというよりもお前達のパーティに依頼を出す事になる。お前達なら誰が行っても安心だ。もしダメならアレス一行に行ってもらう事になる」

「どちらにしても身内なのですが……」


 そもそも私達はジゼルを倒した仲です。私達はエラールセ、ギルガさん達はセルカ、アレスさん達は故郷と離れて活動していますが、今でも週に一度は集まって報告会をしています。

 これは内緒ですが、それぞれの拠点にそれぞれの場所に行ける扉が存在しますからね。


「仕方ないだろう。公にはしていないし、これからも表に出すつもりは無いが、お前達のランクは一人を除いて全員がAランクなんだ。一番未熟なネリーでもBランクなんだぞ。エラールセ皇国としてはお前達を手放したくはない」

「なぜでしょう?」


 確かに、私を含むギルガさんのパーティは、私の特訓の結果、姫様を除く全員がAランクにランクアップしました。


「国の頂点に立つ者が一つの冒険者パーティと懇意するのはあまり好まれない。できれば俺としてもお前達にはあまり依頼はしたくない」

「はて?」

「お前達の存在がそれだけ大きいという事だ。だが、今回は危険極まりないドラゴンの討伐と調査だ」


 危険ですか。

 私は三人で楽しく依頼を受けられればいいと思っていたのですが……、お二人の事は私が守ればいいですね。


「グローリア陛下一ついいですか?」

「ん? あぁ。エレン、何か気になる事があるのか?」

「はい。ドラゴンの心臓と言いましたが、内臓が宝石になるんですか? それとも最初から宝石なんですか?」


 依頼書には赤みがかった七色に光る宝石のような鉱石と書いてありましたね。

 ドラゴンの心臓は鉱石なのですか?

 心臓と言えば生ものだと思うのですが……。


「実際は誰も見た事が無いから真偽は分からん。少し待っていろ」


 グローリアさんは、傍に立っていた騎士に何かを命令しています。

 私は二人の会話に耳を傾けます。本を取って来い?

 本ですか……。

 何の本でしょう?

 騎士はすぐに部屋を出て一冊の本を持ってきました。それをエレンに渡すよう騎士に命令します。


「その本の百三十四ページを読んでみろ」


 エレンは本を私達にも見える様に開いてくれます。

 どうやら、鉱石の種類に関する事が書いてあるようです。


 この世で一番硬く価値のある鉱石はオリハルコン。

 これは別の本で読んだ事があります。

 その下に……。


「オリハルコンよりも更に硬く、そして美しい宝石のような鉱石、伝説の鉱石ヒヒイロカネ。ヒヒイロカネは黒い龍鱗を持つ巨竜の心臓だと言い伝えられている」


 本には、ドラゴンの特徴が詳しく書かれています。


「確かにドラゴンの特徴はそっくりですね」

「あぁ……」

「ヒヒイロカネですか……」


 ヒヒイロカネという名を聞いて、カチュアさんは何かを思い出そうとしています。知っているのでしょうか?


「グローリア陛下。ファビエの宝物庫の中にヒヒイロカネの盾がありませんでしたか?」

「え? そんなモノがあったんですか?」


 カチュアさんは一度だけ姫様と一緒に宝物庫に入った事があるそうです。

 その時に、一番厳重に保管されていたのが赤い色なのですが七色の輝きを持つ不思議な盾だったそうです。

 

「カチュアが言っているのは、七色に輝くファビエの至宝の事だろうな。俺達もその盾の事は把握していたが、宝物庫には無かった」

「無かったですか?」

「あぁ。その盾だけではなく、宝物庫はほぼ空だった。タロウ達が持ち去ったと思っていたんだがな……」


 タロウ達が?

 でも、タロウはそんな盾は持っていませんでした。

 アレが持っていたのは聖剣と聖鎧だけでしたが、もしかして盾を加工したのでしょうか?

 いえ、それはできなかったはずです。


「タロウが持っていなかったのは聞いているが、ジゼルの研究所に置いて無かったみたいだからな」


 ジゼルの研究所はジゼルが作り出した空間の中にありました。

 その空間は本来本人が許可しないと入れないのですが、私には関係ありませんからやすやすと入れます。

 実際グローリアさんにも立会してもらい研究所を調べましたが、七色に輝く盾などありませんでした。


 まぁ、無くなったモノをとやかく言っても仕方ありません。

 新しく作り出しましょうか。


「盾はこの際どうでも良いですが、そのヒヒイロカネというのは七色の鉱石なんですよね?」

「あぁ」


 私は、もしもの事を考えて道端に落ちていた石ころを収納空間から取り出します。

 七色の鉱石ですか……。

 イメージとしては……。

 あとは硬さは……。


「えい」


 私の持つ石ころが一瞬光り、七色に輝く石ころに生まれ変わります。

 その鉱石を見てグローリアさんは呆れています。


「レティシア。それは何だ?」

「ヒヒイロカネです。……かね? 正直な話、実際見た事も無いので本物とは言い切れませんが……」


 ドラゴンを倒さなくてもヒヒイロカネはできました。

 それなのに、グローリアさんは不機嫌な顔をしているみたいです。


「お前が【神殺し】で【創造】の力を持っている事は知っているが、鉱石などを作るのはやめておけ」

「どうしてですか?」


 簡単に作れるのならば、そっちの方が良いと思うのですが……。


「錬金術もそうなのだが、無から価値のある鉱石を作るとどうなるかわかるか?」

「はて?」

「まず作り出した者達が潤う。まぁ、そんなモノは小さな問題だ。だが、それが世に出回ればその鉱石の価値が下がる。鉱石の価値が下がれば、その鉱石を掘る者が生活できなくなる。そうなれば国民の生活が衰退する。国民が衰退すれば国も衰退する。結果、世界が乱れる」

「なるほど」

「特に希少な鉱石なら特にこの影響が大きい。だから国家間で禁止されている。だから、自分達の武器を強化するのは止めんが、基本的にそういう行為はやめておけ」

「わかりました」


 流石は王様ですね。

 ちゃんと国民の事も考える。私は素直に七色の鉱石を【破壊】しようとしましたがグローリアさんに止められます。


「ちょ、ちょっと待て。その鉱石は俺が預かろう」

「はて?」


 結局、私が作ったヒヒイロカネもどきはグローリアさんが預かる事になりました。

 どうしてでしょうか?

 

「それでだ。ヒヒイロカネが欲しいのも本音だが、一番の目的はドラゴンの事だ」

「ドラゴン?」

「エラールセ領に危険なドラゴンを放置するわけにはいかない。ただでさえお前という危険人物がいるんだからな」


 さらっと人を危険人物扱いしましたよ?

 言い返そうとしましたが、これ以上は話が進まないのでヒヒイロカネを欲しがる理由を聞きます。


「お前達は魔国エスペランサという国を知っているか?」


 魔国エスペランサ?

 そういえば紫頭が何か言っていましたね。

 確か魔王が治める国でしたっけ?


「その魔族の国が何か関係が?」

「エスペランサの王……魔王が某国の姫君と婚約するそうだ。だから、祝いの品にヒヒイロカネの盾を送りたいんだ」

「盾? 鉱石ではなく、加工品を? ヒヒイロカネという鉱石を加工できる者はいるんですか?」


 話を聞く限りとても硬そうですし、そんなモノをどうやって盾にするのでしょうか?


「一応、俺が懇意にしている鍛冶師に頼むつもりはしているが、もしもの時はお前に頼む」

「はい?」

「お前なら【創造】の力で盾に加工して欲しい」

「はぁ……」


 能力を使うなと言ったり使えと言ったり困った人です。

 まぁ、良いんですけど……。


「分かりました」

「じゃあ、お前達に正式に依頼する。エラールセ北の山【セーヴィ山】に住むドラゴンを討伐してくれ」


 あれ?

 ヒヒイロカネ入手がメインじゃないんですか?

誤字報告、いつもありがとうございます。

感想などもお待ちしています。


今回の話はなかなか書きあがりませんでした。

ヒヒイロカネが欲しい理由も、グローリアの嫁に渡すという理由を始めは考えていたんですが、そろそろ魔王を出そうと思いまして書きました。

ちなみに、レティシアは紫頭の話を勘違いしています。紫頭の話す魔王とエスペランサの魔王は別人です。(一応補足です)

冒険者のランクなのですが、ネリー以外はAランクにランクアップしました。ここ二・三話でランクが書いていなかったのは一応確認しました。ランクに関しては書いていなかったので申し訳ないです。そこを追加しておきました。

レティシアが作り出したヒヒイロカネはただの七色です。だから、もどきです。

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