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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
3章 マイザー編

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1話 はじめてのおつかいです。

新章のスタートです。

今章はほのぼのといくつもりです。


 私達がエラールセの首都で、冒険者としての活動を始めてから一週間が経ちました。

 この一週間は、カチュアさんがギルドまで依頼を受けに行ってくれていましたが、今日は初めて私が依頼を受けに行きます。はじめてのおつかいです。


「では、行ってきますね」

「あ、レティ。ギルドで暴れちゃダメだよ」

「はい。暴れません」


 大丈夫ですよ。

 エレンは心配性ですねぇ。いくら私でも、理由なく暴れたりはしません。


「レティ様。気に入らない事があれば我慢しなくていいですよ」

「カチュアさん! レティを甘やかしちゃダメだよ!」

「エレン様。そうは言いますが、冒険者ギルドはならず者の掃き溜めですから、そんな甘い考えではいけません。舐められたら周りは図に乗ってしまいます」


 エレンはカチュアさんを呆れた目で見ています。


「カチュアさん、私達も冒険者なんだよ?」

「それも大丈夫です。私達は高潔な冒険者であり、あんな掃き溜め共とは違います」

「カチュアさん……」


 エレンは溜息を吐きます。本当に心配性ですねぇ……。


「痛い目を見せる事はあっても人は殺しませんから大丈夫ですよ。約束は守ります」


 私がそう言うと、エレンが「そういう問題じゃないよ~」と言っていました。

 大丈夫です。グローリアさんも問題は起こすなとは言っていません。殺さなければいいと言っていたような気がします。



 エラールセ皇国首都のギルドといえば、複数のギルドが集まった広い建物です。

 入り口を入ると大きなロビーと総合受付があり、それぞれのギルドに通じる扉があります。

 早速、冒険者ギルドに入ろうとしたのですが、二十代くらいの男が扉の前で仁王立ちしています。

 


「あの邪魔なんで、そこをどいて貰えませんか?」


 私は丁寧にそう言いますが、男は口角を釣り上げて私を見て嗤います。


「ガキが冒険者ギルド(こんなところ)に何の用だ? ガキは母ちゃんのおっぱいでも吸ってればいいんだよ」

「はぁ?」


 男は分かりやすく私を馬鹿にしてきます。

 私の見た目は十歳にも満たない子供ですから、まぁ、この人がそう言うのも仕方なく理解してあげます。でも、一つだけ教えてあげなくてはいけません。


「私にはお母さんはいないので、おっぱいは吸えませんよ。ちゃんと調べもせずに発言しないでください。アホなんですか?」


 私は丁寧に説明してあげて、男を無視して冒険者ギルドに入ろうとします。

 しかし、男が私の腕を掴みます。


「待ちな!」

「離してくれませんか? それと、汚い手で触らないでください。邪魔ですよ」

「てめぇの顔は見た事がねぇ。新人が冒険者ギルドに入りたかったら、俺の許可がいるんだよ」


 許可?

 カチュアさんからはそんな事聞いていませんよ?


「はぁ? 貴方がギルドマスターなのですか? もし、そうだというのならエラールセの冒険者ギルドは質が最低ですね」

「うるせぇ! 俺はCランクの冒険者、ウーニコ様だぞ!」


 Cランク?

 という事はギルドマスターではないのですね。なら、話を聞く必要はありません。

 とはいえ、揉め事を起こす必要もありませんね。


「そうですか。良かったですねぇ……。がんばってください、Cランクのうーん……って、女の子に何を言わせるんですか!? 貴方の名前なんてセクハラで充分です」

「だ、誰がセクハラだ!? 俺の名前はウーニコだ!?」

「貴方のセクハラみたいな名前なんて興味がありません。本当に邪魔なんですからどいて下さい」

「うるせ……、ぎゃあああああ」


 あ、ムカついたので足の骨を蹴り折ってしまいましたよ。

 まぁ、足の骨くらいでは人は死にませんし大丈夫でしょう。

 私は男を横に蹴ってどかせます。

 

 これでようやくギルドに入れますよ。


「お、おい!? う、ウーニコ!?」

「あ、足の骨が折られている……。て、てめぇ、待ちやがれ!!」


 はぁ……。

 今度は別の人ですか?

 どうしてギルドに入るだけなのに、こんなに苦労しなければいけないのですか?


「なんですか?」

「こいつに何をしやがった!?」

「邪魔だったので、強制的に排除しただけです。何の問題が?」

「……」


 理由を説明したら黙ってしまったので、通っていいという事でしょう。

 私はギルドに入ろうとしますが、やはり男の仲間? が私を邪魔します。


「待ちやがれ!?」

「だから何ですか?」


 いい加減イライラしてきました。


「私は冒険者としての依頼を受けに来ただけです。殺しますよ?」

「こ、殺すだと!?」

「はい。冒険者の命は軽いと聞きました。だからここで貴方達を殺しても依頼中の事故として処理されるはずです」


 セルカにいた時にカンダタさんにそう聞きました。もしこの発言に問題があったら、カンダタさんのせいにすればいいです。


「ふざけんじゃねぇ!!」


 男の仲間が私を殴ろうとした時、一人の男性がギルドから出て来ました。

 歳は……四十代後半でしょうか?


「なんの騒ぎだ?」

「ぎ、ギルマス!?」


 この人がここのギルドマスターですか。

 若いですが、強そうでもあります。

 ギルドマスターは私に視線を移します。


「その幼子のような容姿……、お前がレティシアか?」

「そうですが? 私を知っているのですね」

「あぁ、俺はこの町の冒険者ギルドのギルドマスターのラーマだ。陛下から、お前を注視するよう言われている」


 注視?

 どういう事でしょう?


グローリアさん(あの人)がエラールセ首都にいろと言ったのに、注視とは失礼ではないですか?」


 私とて好きでこの町にいるわけではありません。

 本当に失礼な人ですね。一度、痛い目を見せましょうか。


「お前の冒険者ランクは?」

「Sですけど?」

「聞いていた通りか……。陛下が注視しろといった理由はお前がSランクだからだよ」


 確か、Sランクは問題児でしたっけ? まったく、失礼な話です。

 私のランクを聞いて男の仲間達が何かを話しています。


「おい。聞いたかよ。Sランクなんて聞いた事もねぇよ」「ギルマスもグルかよ。フカしてんじゃねぇよ」


 今度は人を嘘つき扱いですか?

 もう許しません。でも、一応許可は貰いましょう。


「ラーマさんといいましたね。こいつ等が鬱陶しいんで殺してもいいですか?」

「ダメだ。そもそも、こいつ等がSランクを知らないのも無理はない。ここ数年はSランクは現れていないからな」

「殺すのは駄目なら、全員壊していいですか?」

「お前は人の話を聞いているのか? 暴力で解決しようとするな!」

「はぁ……? でも、この人達は私に暴言を吐いていますよ?」


 暴力は駄目で暴言は良いとでも?

 不思議な話です。

 しかし、ラーマさんは話が分かるようで、少し納得し始めています。

 あと一押しです。


「そもそも、私はギルドに依頼を探しに来ただけです。それなのにギルドに入ろうとしただけで、どうして暴言を吐かれなければいけないんですか?」

「確かにな……。だが、一つだけ約束しろ」

「はい?」

「絶対に殺すなよ」

「はい」


 貴方に言われなくても、エレンに殺すなと言われています。だから、こいつ等を壊します。


 数分後、ボロ雑巾になった三人を総合受付横のゴミ箱があるところに置いておきます。そのうちゴミ収集してくれるでしょう。

 大丈夫ですよ。殺していません。

 しかし、ギルマスの目が見開いています。


「マジかよ……」

「なにか?」

「確かに、殺すなとは言ったが……、こいつ等をどう見ても、二度と冒険者ができない体になっているだろう……」


 当然ですよね。

 両手両足の骨を砕き、剣士は両腕の腱を斬り、魔導士はのどを潰しておきました。

 二度と冒険者はできない……とまでは言いませんが、復帰にはかなり時間がかかるでしょう。

 ついでに特殊能力の【弱体化】と【虚弱体質】も作っておきましたから、冒険者に戻るのは無理じゃないですか?

 でも、知ったこっちゃありません。

 私に喧嘩を売るからこうなるんです。


「そうですね。己の実力も把握できない人はこうなるんです」


 私は無い胸を張ってそう言い切ります。

 

「はぁ……。グローリア陛下が野放しにできないと言ったのも理解できるな」


 グローリアさんから何かを聞いていたんですか?

 それならこうなる前に止めてればいいんです。この人のミスですね。


「レティシア、今日のところは帰れ。それとお前には二人仲間がいるだろう?」


 は?

 私は依頼を受けに来たのに依頼を持って帰らないと、おつかいもできないと思われるじゃないですか。


「お前一人で依頼を受けられるとは思えない。一度帰れ」

「はぁ……?」


 馬鹿にされている気もしますが、ギルドマスターにそう言われたのなら仕方ありません。


「それと、次からはお前一人で来るんじゃない」

「なぜです?」


 私は子供ですか!?


「ギルドに入る前からこんな問題起こしたんだ。お前一人で来て、毎回問題を起こされても困る」

「失礼ですねぇ……、絡んできたのはそこで寝ている人ですよ?」

「分かっている。こいつ等に対しては厳正な処分をする」


 そこまで言われたら退くしかありませんね。


「まぁ、良いです。二人にそう言っておきます」


 私は依頼を持って帰れなかった事にガッカリしながら家に帰ります。


次の日。


「その二人がお前の仲間か?」

「そうですよ」


 エレンとカチュアさんと私の三人でギルドに行き受付でラーマさんと話します。

 ラーマさんは二人を見てため息を吐きます。


「そうか……。その二人も、別の意味で問題を起こしそうだな……」

「はい?」


 どういう意味でしょうか?


エラールセのギルドの建物をどうするか最後まで悩みました。

このアホ三人はドゥラークみたいにはなりません。

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