表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
2章 レティシア、ファビエ王都で暴れる。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/325

37話 魔神タロウ

ようやくレティシア視点に戻ります。


 私ともあろう者が、ジゼルの魔法の発動を止められませんでした。

 空間魔法ですか……。

 それぞれ個別に引き込んだみたいですが、すぐに救出して見せます。

 その前に……。


「【忌み子】ちゃん。君には私達と戦ってもらうよ。あぁ、空間に引きずり込んだ者には、私の部下である大罪がおもてなしをしているはずだよ。どちらかが死ねば帰ってくるよ。さて、誰が帰って来るかな?」


 ジゼル……。

 本当に憎たらしい女です。今すぐ殺してやりましょうか……。


 私は一瞬でジゼルの間合いに入り、首を掴みます。

 このまま握り潰してやりましょうか。


「ぐっ……ふっ」


 このまま殺せてしまいそうですね。

 ジゼルの部下の反応は?


 はて。

 タロウもフードを被った男も動こうとしません。

 このまま、ジゼル(主人)が死んでも問題ないと?


 ……?

 ジゼルの首の感触が無くなりました。

 アレ?

 いつの間にかジゼルがいません。


 あ、空に浮いていますね。


「くくく……。少し油断すればこれだ。危険極まりないねぇ……。悪いが、君の相手は私じゃない」


 違うのですか?

 面倒ですので、一気に襲いかかってくれるとありがたいのですが……。

 タロウの後ろにいたフードの男が前に出ます。


 ふむ。

 こいつは【強欲】ですか……。

 今更、上澄み程度の大罪一人で私の相手ができるとでも?


 男はフードを取ります。

 はて。

 ジゼルは余程この顔がお気に入りみたいですねぇ……。


「どういう趣味かは知りませんが、同じ顔……特に嫌いな顔が二つも並ぶと殺してやりたくなりますねぇ。まぁ、殺すんですけど」


 フードの男の顔は、タロウそのものでした。


「お前の相手は、七つの大罪【強欲】のレマルギアだ。ここでお前を殺す」

「大罪? 上澄み程度が何を言っているのでしょうか。紫頭の力を見れば貴方達なんてゴミと変わりませんよ」

「ふん。ちょうは……ぐふぅ!!」


 私はレマルギアの頭を地面に叩きつけます。一度ではなく何度も何度も。


「か……はっ」

「何をべらべらと喋っているのですか? 貴方は敵を前に何を余裕ぶっているんですか?」


 私は何度も地面にレマルギアの顔面を叩きつけます。


 ふむ。

 少しは見れる顔になったじゃないですか。

 レマルギアの顔は腫れあがり血で真っ赤になっています。

 

「へぇ……。作り物の生物でも血は赤いんですね。これはこれでそそられます」

「あ……が……が」

「助けないのですか? タロウ一号さん」


 ジゼルの隣で偉そうに腕を組むタロウに聞いてみます。

 おそらくこっちが魔神でしょう。


「助けないのなら、殺しますよ?」

「好きにしろ」

「あ、そうですか。では……」

「や、やめ……」


 私の炎魔法でレマルギアを焼き尽くします。


「ぎゃあああああああ!!」


 最期までうるさいですねぇ……。


「さて、次はジゼルですか? それともウジ虫一号ですか?」


 私は塵と化したレマルギアをそこらに捨てます。

 次はどっちでしょう?


「良ければ、二人で仲良く襲ってきたらどうですか?」

「いや、私がお前と戦おう」


 タロウの顔をした魔神は、大罪の力を放出させます。

 これも上澄みでしょうか?

 まぁ、あまり関係ないのですが……。

 しかし……。


「魔神に変身しないんですか?」

「くくく。私は既に魔神だよ。七つの大罪すべてが私の体の中にある」

「そうみたいですね」


 リディアさんに作った特殊能力を見る目で見てみても、もともとタロウが持っていた能力に、七つの大罪が追加されています。

 しかし、魔神になって性格が変わってしまったんでしょうか?

 いえ、別人格ですか?


「一つ聞いていいですか?」

「なんだ?」

「以前のウジ虫みたいに気持ち悪い……いえ、ウジ虫に悪いですね。あのゴミはどうなったんですか?」

「ゴミ? 私にゴミの知り合いはいないが?」

「あの軽率な勇者タロウがどうなったかを聞いているんですよ」


 本当は興味ないですが、アレを殺せなかった事は少しだけ残念に思っているんです。

 そういえば、元々は不老不死の真偽を確かめるために殺そうとしてたんですよね。今となっては確かめられなかった事だけは残念に思います。


「あぁ、異世界から連れて来られた哀れで愚かな男の事か……。タロウという人格なら消えたよ。私は古代魔族の一人……。サタナス。ジゼル様に仕えし魔神だ。当然すべての大罪の力を使いこなせる」

「それがどうかしましたか?」


 上澄み程度の力で何を言っているんでしょうかね。

 まぁ、私からすれば上澄みかどうかなんて知った事じゃないですけど。

 しかし……。あの着ている鎧と腰に差した剣は……。


「魔神が聖剣を持って、聖鎧を着ているんですね。変な話ですが、まぁ、気にする必要はありませんね」

「では、貴様には絶望を与えてや……チッ!!」


 避けましたか……。

 予備動作無しで斬ってみましたが、サタナスはすんでのところで避けたみたいですね。

 ギルガさんみたいに流れるように斬ってみましょうか。

 サタナスは必死に私の攻撃を避けています。


「【怠惰】の力を喰らえ!!」


 サタナスの掌から黒い霧が現れますが、そんなモノ喰らったからといって、私をどうこうできるとでも?


「効きませんよ?」


 私は黒い霧ごとサタナスを斬ります。掌は真っ二つに裂け、黒い血が噴き出します。


「ぎゃああああ!!」

「はて。レマルギアは赤い血だったのに、貴方は黒いんですねぇ……。これは面白いです。しかも、痛みを感じるのですか?」

「き、キサマ。なぜ、【怠惰】の力が効かないのだ!?」

「貴方には格下の攻撃が効きますか? そういう事です」


 そうです。

 こいつにはジゼルの前に色々試してみましょう。


 サタナスの掌はすぐに黒い霧により修復されますが、その腕を私は掴みます。


「な!?」


 私はサタナスに笑顔を向けます。

 私は手首を握り潰します。


「ひぎゃあああああ!!」


 サタナスはかなり痛みを感じているみたいです。

 ちょっと、ゾクゾクするじゃないですか。


「き、キサマ!! なぜ、私を傷付ける事ができる!? 私は大罪の力で守られているはずだぁああああ!! それに【絶対回避】も備わっている!! なぜ攻撃が当たる!?」


 そう言えばそうですね。

 何故攻撃が当たるのでしょう……。

 私はリディアさんに作った特殊能力を見破る力を使ってみます。


 おや?

【絶対回避】が無くなっていますよ?

 どういう事でしょうか?


 そうですねぇ……。

 魔法というのはイメージです。

 もしかしたら、特殊能力もイメージなのでは?

 そう考えて……。


 サタナスの特殊能力……。

 七つの大罪はしっかり揃っています。

 一つずつ……破壊(・・)していきましょうか……。


 まずは【怠惰】。


 私はサタナスの頬を殴ります。そして、頬に触れた瞬間、【破壊】を発動させます。

 特殊能力を塵にするイメージで。


「ぎゃあああああああ!! な、なぜだぁああああああ!?」


 壊せましたよ。

 これは素晴らしいです。

 私は連撃でタロウを殴ります。

 一発一発に【破壊】を込めて。


 七発殴り終わると、魔神サタナスはただのサタナスに戻っていました。


「な、なぜだ……。私は、私は……」

「ここからは、ただの拷問ですよ」


 と思っていましたが、サタナスは勝手に倒れてしまいます。

 どういう事でしょうか?


 はて……。

 すでに死んでいるみたいです……。


 まぁ、良いです。


 最後はジゼルの番です。

 その時、皆さんが帰ってきました。

 誰一人欠ける事なく帰って来た事は良かったです。


 これで心置きなくジゼルを殺せますね。

魔神戦を二・三話に分ける予定でしたが、今更レティシアが苦戦する事も無いと思い、一話にまとめました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ