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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
2章 レティシア、ファビエ王都で暴れる。

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17話 神殺し

1000ポイント超えました。ありがとうございます。

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 私だけが他人の特殊能力を消す事ができる……ですか。

 しかし、私はそんな能力を持ってはいません。もし、そんな能力を持っていたのなら、タロウの能力を消して遊ぶ事も可能だったはずです。


『神殺しの事はあとで説明するとして、まずはお前が聞きたがっているもう一つの事を話しておこうか。【不老不死】の事だが、お前の推測通りタロウは【不老不死】ではない。そもそもこの世に【不老不死】という能力は存在しない』


 存在しない?

 どういう事でしょう?


「そ、そんな馬鹿な!! 教会の記録では確かに【不老不死】と書かれていました!!」


 ラウレンさんが必死に否定しています。

 教会関係者からすれば、それを信じるのは当然です。


教会の記録(そんなモノ)は改ざんするのは簡単だ。特に特殊能力を弄る事が可能な者がいたら、表向きの表記を適当に書き換える事など造作も無い』

「弄る?」

『あぁ、話を聞く限りタロウの【不老不死】を確認したわけじゃないだろう? だから正確な答えは出せんが……少なくとも、この世の摂理として【不老】と【不死】は両立できん。この二つが一緒に発現する事など、ありえないのだ』


 毛玉の言う事が正しいのであれば、私の考えは正しいという事になります。

 だから、再生能力が無かったのですね。


「私の推測ですが、タロウは能力を奪った(・・・)のではないですか?」

「奪った!?」「そ、そんな事が可能なのか!?」


 お姫様とレッグさんが驚愕しています。

 私はラウレンさんに視線を移します。この人は何かを知っているはずです。


「ラウレンさん。何か知っていますよね」

「え、私ですか?」


 みんなの視線が一斉にラウレンさんに向きます。

 ラウレンさんは驚いていましたが、否定はしません。


「な、なぜ、私が知っていると?」

「貴方はマリテさんの父親であり、教会関係者でしょう? マリテさん、アレスさんの能力が消えた事を知っているはずです。それにもかかわらず、先ほど「神の加護が消えるわけがない」と否定していました。これはおかしいですよね」


 ラウレンさんは深いため息を吐きます。

 やはり何かを知っている様です。


「そうですね。ここで隠していても仕方ありません。真実を話しましょう。私がタロウの本当の能力(・・・・・)に気付いたのは……私の加護が奪われたからです」

「な、なんですって!?」


 お姫様が一番驚いています。

 何故でしょう?


「私達王族は教会関係者の加護を把握していたわ。ラウレンには加護はなかったはずよ」

「隠していたのですよ。私の加護は聖職者として恥じるべき加護でしたから」


 恥じるべき加護……。

 ……そう言う事ですか。


「恥じるべき加護って……貴方はどんな加護を持っていたの?」

「【誘惑】です……」

「【誘惑】ですって!?」


 私以外の皆が動揺しています。

 【誘惑】はタロウが最初から持っていた加護のはずです。

 その加護がラウレンさんのモノだったとは……。少し驚きました。


「私は聖職者として一度も【誘惑】を使った事がありません。だから、この加護が消えた時は、神に仕える事で恥ずべき加護を消せたと思っていました。しかし、同じ時期にタロウが【誘惑】を使い始めました。その時初めて神の加護がタロウに奪われたのでは? と思うようになったのです」

「それならば、なぜ誰にも言わなかったんだ?」


 レッグさんの言う事は尤もです。

 ラウレンさんが誰かに話していれば、被害が増える事はありませんでした。


「話しましたよ。この国の王に、この国の有力貴族に。だが、誰も話を聞いてくれませんでした。それどころか、加護を持つ者をタロウに与えようとする者まで現れました。それが国王とジゼルです。その結果、マリテとアレス君から加護が奪われたのです」


 なるほど……。

 タロウの力とは何なのでしょうか?

 私が疑問に思っていると、毛玉が能力の名前を教えてくれました。


『【強欲】だな。七つの大罪の一つだ。この力を使えば命を奪う事も、力を奪う事も全て可能だ。ふむ。タロウという勇者は思っている以上に厄介だな』


 確かに厄介と言えば厄介です。


「それで、さっき言っていた【神殺し】について聞きたいのですが」


 そもそも神殺しとは?

 神を殺す?

 アブゾルを見つけてきて殺せばいいんでしょうか?


『【神殺し】というクラスなのだがな、神を殺せる三つの能力を持つ者に与えられるクラスだそうだ。

その能力は【破壊】【再生】【創造】の三つだ。このどれかを持っていれば【神殺し】のクラスを得る事ができるらしい』


 はて?

 私は今聞いた三つの能力のどれも持っていませんよ?

 どういう事でしょうか?


 私が首を傾げているとドゥラークさんが手をポンっと叩きます。

 何か心当たりでもあるんでしょうか?


「お前には【創造】があるだろう? 俺に【身体超強化】を作ってくれたじゃないか」

「はぁ……。確かに作りましたが、しかし、魔法を作るなんて簡単な事でしょう? しかも、私は再現しただけであり、【身体超強化】を作ってはいませんよ?」

「魔法というのは簡単に作れませんよ。まして加護を再現など普通はできません」


 ラウレンさんが魔法について詳しく教えてくれます。


「魔法というのは長年の研究と実験を繰り返して作られるモノです。そんなに簡単にできるのであれば、誰も苦労はしません」

「そういうモノですか?」

「そういうモノです」


 なるほど……。

 良く分かりませんが、そういう事なのでしょう。


 話がまとまってきたところでギルガさんが口を挟みます。

 その顔は少し険しいです。


「話を割って済まないが、オレ達からすればこれからどうするかだ。ここまで関わってしまって今更だが、オレ達は王家のゴタゴタに巻き込まれるつもりは無い。オレ達はコレで引き揚げさせてもらう」


 ギルガさんはそう言って、私達を連れて教会から出ようとします。


「力を借りれませんか?」


 お姫様がそう言いますが、ギルガさんは振り返りません。


「オレはこの二人の保護者だ。そしてパーティリーダーでもある。この二人は今まで波乱の人生を送ってきたんだ。だからこそ、平穏に暮らさせてやりたい。だが、オレ達は冒険者だ。依頼があれば金のために受ける。だが、依頼が無ければ動かない」


 要するに依頼があれば動くという事ですね。

 なるほど……。


「オレ達の拠点はセルカにある。そこで依頼を受けている。帰るぞ」

「はい」

「……うん」


 そうです。

 帰る前にお姫様に魔法をかけておきましょう。

 この方は死んではいけない気がします。


 私はお姫様にあの魔法をかけて、セルカに転移します。

 あとはお姫様達がギルガさんの意図に気付けばいいのですが……。



 セルカの町に帰って来た私達はカンダタさんに依頼の報告をします。


「お前等、無事に帰って来て良かった……。安心したぞ」

「あぁ……しかし、すぐにファビエ王都に戻る事になるだろうな」

「どういう事だ?」


 ギルガさんはファビエ王都で起きている事を説明します。


「思っているよりも大事になっているようだな。エレンの事を気付かれているのが少し心配だが……ネリー様から依頼が来たら、すぐに知らせる」

「頼むよ」


 私達は久しぶりに拠点でゆっくりしていました。

 三日ほど簡単なクエストを受けていると、ギルガさんが依頼書を持って帰ってきました。


「ネリー姫からの依頼が来たぞ」

「はい」


 私は依頼書を見ます。


【王を倒し、国を立て直すのに協力して欲しい】


 あれ?

 タロウを倒す事とは違うのですね。


「受けるのですか?」

「あぁ、言った手前断れないだろ?」

「そうですね……」


 私達は再びファビエ城へと転移しました。

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