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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
2章 レティシア、ファビエ王都で暴れる。

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閑話 偽りの勇者の力 ジゼル視点

誤字報告いつもありがとうございます。


 勇者タロウを連れ、私は自分の研究所へと帰って来た。ここならば、【忌み子】ちゃんにも見つからない自信がある。

 私の目の前にはボロボロになったタロウが、ガタガタと震えている。どうやら精神が壊れてしまったようだ。全く脆いモノだな……。


 しかし、【忌み子】ちゃんには驚かされる。

 私が埋め込んだ【絶対回避】を簡単に攻略し、【絶対命中】も無意識に攻略していた。

 【絶対命中】は攻撃を確実に当てるのだが、受け止めたとしても当たったと認識してしまうのが欠点だ。

 彼女はタロウの攻撃を避ける事も無くすべて受け止めたうえで反撃していた。【絶対回避】と【絶対命中】は同時に発動できない。そこも突かれていたな。


 全く恐ろしいお嬢ちゃんだ……。


「じ、ジゼル……ど、どうして勇者の俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだ?」


 何を言っているのか理解ができないな。

 タロウが今まで行って来た事を考えれば、拷問され殺されてもおかしくはない。

 私も性別は女だからな。被害に遭った女性には一定の同情心は見せるさ。まぁ、私の研究に必要であればタロウに女を充てがう事も平気でするがな……。

 まぁ、マリテの事は本当に残念だった。

 今思い出しても腹が立つ。


「じ、ジゼル。アイツが言ってたんだ……」

「何をだい?」

「俺は人の命を奪っていると言われた。それにアイツは俺の事を【不老不死】とも言っていた。どういう事だよ!」


 ふむ……。

 【忌み子】ちゃんもタロウの力に気付いたか。

 教会での加護の記録は私が改ざん(・・・)しているのだが、こうもあっさり見抜くとは驚きを通り越して呆れるよ。


「君は何を言っているんだい? 命というのは一つしかないのは当たり前じゃないか。あの子は君を混乱させようとしているだけだよ」


 私は優しくタロウを諭す。


「だ、だけど……」


 小物の分際で私に逆らうな!

 私はタロウを殴る。

 とはいっても私は魔導士だ。非力だからタロウは涙ぐむだけだ。

 ここは冷たくした方が良いだろう。


「うるさい」

「ひぃ……」


 この程度で怯えるとは……。どうやら完全に心が壊れているみたいだね。

 本当に【忌み子】ちゃんは危険すぎる。

 アルジーの【武神の決意】を再現……いや、アレは【憤怒】に限りなく近い何かだ……。

 アレはそう簡単に再現できるモノじゃない。

 あのお嬢ちゃんは何者なんだ?

 まぁ、この辺は【忌み子】ちゃんを手に入れればわかる事だ。焦らずに計画を進めよう。


「タロウ。君は怪我をしている。治療を始めよう」

「え? あ、アレは嫌だ……」

「何を我が儘を言っているんだい? 君がマリテを強姦しなければ、あの方法を使う事も無かったんだ。自業自得だよ」

「あ、アイツは……」

「そうだ。君の愛が届かなかったんだね」


 自分の吐いた言葉に虫唾が走る。

 本来の予定では、【誘惑】によりマリテを利用するつもりだったのだが、まぁ、効かなかった事はいい。

 その後、騙してでも我がパーティに入れてしまえば、あの二人の様に操る事も可能だったんだ。

 それをこいつが……。

 襲った事はこの際不問にしたとしても、聖女の力を奪った事が問題だ。

 タロウのような下衆に聖女の力は使えない。


「じ、ジゼル?」

「なんだい?」

「ひぃ!」


 あぁ、いけないね。

 ついつい睨んでしまうよ。

 私の計画の邪魔をしたんだから、仕方のない事だけどね。


 このままタロウを治療してもいいんだけど、精神が壊れているからね。一度リセットしておこうかな。


「タロウ。来るんだ」

「は、はい……」


 足が折れているから、這いずって私の後を追ってくる。

 私はタロウを磔にする。


「さぁ、タロウ。新しい力を授けてあげるよ」

「い、嫌だ……これ以上、戦いたくない」


 私はタロウの頬を殴る。

 私相手ではタロウの【絶対回避】は発動しない。

 私は何度もタロウを殴る。


「や、止めて……」

「止めないよ。お前は私の道具(・・)だ。私の言う事を聞けばいい」


 私はタロウの首を絞める。


「ぐ、あ……」

「さぁ、今回の君の人生はこれでお終いだ……新しい人生を上げるよ」


 タロウは苦しんだ後、力なく項垂れる。


「ソレーヌ。アレを持ってきてくれ」

「はい」


 ソレーヌが山賊を連れてきた。

 タロウが【忌み子】ちゃんと戦っている最中に捕らえさせてきたのだ。

 いわばこれは命のストック。

 それに山賊のようなカスでも、たまに加護を持つ者がいる。

 その魂をタロウに喰わせる事で新たな加護を手に入れる。

 まぁ、私がその前に改造するのだけどね。


「は、離してくれ!!」

「くははははは。何を怯えるんだい? 君は今日からタロウの命として生まれ変わるんだよ」

「い、嫌だ!!」

「あぁ、安心したまえ。君の人格は綺麗サッパリ消えるから苦しむ事も無い」


 私は山賊を殺し、魂を抜き取る。

 魂は光の玉のようなモノだ。可視化しないと見えない。


「さぁ、タロウ。喰え」


 私がそう言うと、タロウの身体から黒い何かが這い出てくる。

 そして、魂にまとわりつき、喰らった。

 この力こそ悪魔の加護、七つの大罪【強欲】。

 そして、私が魂にある力を改造して悪魔の加護にする。

 勿論七つの大罪を再現するベースとする為だ。


「今回は、どんな力を持っているかが楽しみだな……」


 タロウの魂が定着するまで三日。改造を含めると一週間と言ったところか。


「ソレーヌ。君に頼みがある」

「はい」

「タロウを救うのに魂が必要だ。人間を攫ってきてくれ」

「……はい」


 ソレーヌは剣を取り、研究所を出ていく。

 ……いい子だ。

 洗脳もちゃんと効いているようだな。


「さて、もう一人の駒でも生き返らせるとしようか……」


 私はアルジーの甦生を行う事にした。

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