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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
2章 レティシア、ファビエ王都で暴れる。

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14話 勇者タロウ

誤字報告いつもありがとうございます。

ついにタロウと対峙です。


 どうやら教会の方は落ち着いたみたいですね。

 エレンに変化があったらしく、魔力が増大していますねぇ……。いえ、底が無いようにも思えます。

 戦闘での危機なら駆け付けますが、どうやらそういうわけではなさそうですね。


 しかし、ドゥラークさんは困った人です。

 あれ程使うなと言っていた第二段階を使うなんて……私の作った【疑似・身体超強化】は倍々(・・)に身体能力と魔力が膨れ上がるので、一段階の二倍は体に負担がかかります。

 四段階目ともなると普通の状態の十六倍(・・・)になるので、普通の人間であれば死ぬと思います。

 まぁ、第三段階以降はそう簡単に発動しないように作って(・・・)あるので、ドゥラークさんは放置しても良いでしょう。


 しかし、さっき殺した武闘家も面白い事を考えますね。

 殺気と魔力を混ぜたモノを発動させるですか。

 とても禍々しいモノでしたが、アレは何だったんでしょうね。

 殺す瞬間、黒い何かが守ろうとしていました。まぁ、それごと踏みつぶしてあげましたけど。

 アレは面白かったので、後で試してみましょう。


 しかし、お城というのは広いですねぇ。

 いつまで歩いても目的の場所に到着しません。それに、さっきからゴミの様な兵士が襲ってきて不快です。

 疑わしきは殺せと言いますからね。とりあえずは殺していますけど、本当に殺していいかどうかは分かりませんね。

 これが王女派の兵士さんだったらと思うと……まぁ、何とも思いませんが……。


 ようやく一番強そうな気配がいる場所まで辿り着きました。

 ん?

 どうやら誰かが戦っているみたいですねぇ。

 片方は……ものすごく不快な気分になります。しかし、こいつが一番強いです。

 勇者でしょうか?


 勇者でしょうね……。


 もう一人は……今にも死にそうですねぇ。

 もう少し様子を見るつもりでしたが、助けますか。


 部屋に入ると、三人(・・)の視線が私に集まります。


「こ、子供!?」


 三人のうちの一人、戦っていない女性が失礼な事を言います。私は子供ではありません。

 しかし、あの女性綺麗な服を着ていますし、この部屋も戦闘でボロボロになっていますが豪華な部屋です。

 もしかして、あれがお姫様ですか?

 エレンに負けず劣らず美人さんです。あのお姫様を見ていると、何故か気が落ち着きます。面白いですねぇ……。

 そして、こちらで死にかけているのが……レッグという人ですか?

 腕が無く出血も酷いですし、早く治療しないと死にそうですねぇ……。

 こんな時、エレンがこの場にいてくれるといいのですが……。

 まぁ、死ぬ前にタロウを殺してエレンの下まで連れていけばいいだけです。


 私は人差し指をタロウ(・・・)の頭に向け、【光魔法】を使います。

 まだ、髪の毛は灰色のままですが、魔力は大分回復したので数発は使えます。

 私の光魔法の速度は速いですから、普通に考えれば避けられるとは思えないのですがタロウは簡単に避けてしまいます。

 そう言えば、【絶対回避】とかいう面倒くさそうな加護を持っているとラウレンさんが言っていましたね。

 これがそうですか……。


「な!? 今の魔法は何だ!? 【絶対回避】が無かったら、し、死んでいた!?」


 はて?

 【不老不死】があるのですから死なないと思うのですが、どういう事でしょう?


「チッ!! 女ならばガキであっても!!」


 タロウの目が怪しく光ります。

 ふむ。何やら不快な気持ちですねぇ……。

 あぁ、これが【誘惑】ですか。

 気持ち悪い。

 目玉をくりぬいてやりましょうか。


「さぁ、裸になって隅っこにいろ!! 後で相手をしてやる!!」

「いえ、今相手になってくださいよ」


 私はタロウを殴りに行きます。

 【不老不死】を持っているのですから、頭を吹き飛ばしても問題ないでしょう。


「えい!!」


 私の拳は空を切ります。

 あれ?

 外れてしまいました。

 いえ、タロウは避けていたみたいです。

 しかし、頬に傷がありますねぇ……。

 はて?

 【絶対回避】はどうなったのでしょう?

 しかし、別の事も気になります。


「【不老不死】なのに傷は治らないんですか?」

「な!? お、俺を誰だと思っている!!?」

「え? 勇者タロウでしょう?」

「そ、そうだ!! 俺を傷付ける……って、え?」


 タロウは自分の頬に傷が付いているのを確認します。

 そして、自分の血を見て信じられないといった顔になっています。


「お、俺の顔に傷が……。そ、そんな……ば、馬鹿な……」


 勇者であれば幾度と戦闘をこなしているのですから、顔に傷の一つや二つ当たり前の事でしょう?

 もしかして、顔は傷付けられた事が無いというのが誇りだったんですか?

 それは気色悪いです。

 もし、そうだというのなら、今からは顔だけを狙っていきましょう。


 しかし、不老不死なのに傷の治りが遅くないですか?

 さっきから再生する気配すら感じません。

 まさかと思いますけど……再生しないのですか?


 それならば【不老不死】ではありませんよね。

 でも、加護にははっきりと【不老不死】と書かれていると聞いています。

 これはどういう事でしょう?


 本人の動揺っぷりを見る限り、タロウも知らない事実なのでしょうか?

 まぁ、殺してみればわかりますか。


 タロウが私を憎々しい目で睨みます。

 そして、もう一度目を光らせます。

 また【誘惑】ですか。

 どちらにしても、もう鬱陶しいですね。

 目を潰しましょう。

 まぁ、無駄でしょうが……。


 タロウは私の攻撃を避けます。

 しかし、表情に余裕がありません。


「そ、そうだ! 俺には【絶対回避】がある!! 当たるわけないんだ!!」

「そうですね」


 確かに、確実に当たったと思ったのに避けられている事がありました。

 これが【絶対回避】という能力でしょう。

 本人が無意識で避けている事を考えると、おそらくは神の加護が強制的に避けさせているのでしょう。

 正直な話、光魔法の速さを反応するのであれば普通の攻撃は当たる事は無いと思います。

 しかし、衝撃波のような余波であればタロウにダメージを与えられます。

 それをうまく利用できれば、殺す事は可能です。

 しかし、消去法みたいで嫌ですねぇ。正攻法で殺したいです。

 うーん。

 そうです。

 ここは私が意地になればいいのです。意地でも殴るという意思で殴りましょう。

 あ、そうです。

 さっきの武闘家がやっていた事をやってみましょう。


 私は殺気を放ち、残り少ない魔力を組み合わせます。

 すると黒い何かが私の周りに纏わりつきます。


「な!!? そ、それはアルジーの【武神の決意】!?」

「そうなのですか。これは【武神の決意】というのですか」


 こんなに禍々しいのに名前だけは神の加護みたいですねぇ……。

 まぁ、良いでしょう。


「さて、今度は当たりますかね?」


 私はタロウを殴りに行きます。すると今度はタロウが反応できずに頬を殴れました。


「当たりました」

「がはぁ! ば、馬鹿な!?」


 でも、吹き飛びませんでしたねぇ……。

 頭を吹き飛ばすつもりで殴ったのですが……。

 あ! もしかして魔力が攻撃力に直結するのですか?

 それなら、頭が吹き飛ばなかったのも理解できます。今の私は魔力が少ないですから。

 これは面白いです。

 私は力の強弱が苦手でしたので、これを手加減に使えます。

 これで、拷問ができるという事です。


「俺を殴ったな!! 俺は勇者だぞ!!」

「それがどうかしましたか?」

「俺はすべてに愛されなければいけないんだ!!」


 はぁ?

 何を言っているんですかね。

 こんな下衆な性格の奴を誰が愛するんですか。

 あ、先ほど第一夫人とか言う露出狂がいましたねぇ……殺しましたけど。


「何を気持ち悪い事を言っているんですか?」

「何故【誘惑】が効かない!? それに【絶対回避】もあるのにどうして攻撃が当たる!?」

「そうですね。貴方も【絶対命中】があるのですから、攻撃して来ればいいじゃないですか」


 私の言葉にタロウは口角を釣り上げます。

 もしかして、気付かなかったんですか?

 とんだアホですね。


 タロウは私に斬りかかってきます。

 正直な話、ものすごく遅いです。

 本来ならば避けて殴るのですが、神の加護が本当ならば私は攻撃を喰らってしまいますよね。

 ふむ。

 そうです。良い事を考えました。


 私はタロウの剣を摘まみます。

 これでも少しは怪我をすると思ったのですが、何も起こりません。

 はて?


「【絶対命中】はどうしました?」

「お、お前は何なんだ!!」

「はい?」

「何故【絶対命中】が発動しない!! いや、発動しているのにどうして攻撃が当たらない!?」

「何を言っているんですか?」


 私は何もしていませんよ。

 あえて言うなら剣を止めただけです。

 本当に良く分からないですね。神の加護とやらは。


「くそ!! 殺してやる!! 勇者の力を使ってな!!」


 勇者の力ですか……。

 どんなものか見ものですね。


「はぁあああああああ!! 【身体超強化】!!」


 タロウの筋肉が二倍に膨れ上がり魔力も二倍に膨れ上がります。

 え?

 もしかして……第一段階なのですか?

 勇者の【身体超強化】を勝手に想像して作ったのですが、こんなに弱いのですか?

 いえ、タロウはまだ本気ではない?


「殺してやる!!」


 しかし、顔は必死ですよ?

 ふむ……。

 あの考えが正しいかもしれませんねぇ。


「お、俺の【身体超強化】に恐怖してももう遅い!! ぐちゃぐちゃに犯して殺してやる!!」


 かなり無理をしているのでしょうか。

 死にそうに見えますねぇ……。

 死んでしまう……?

 もしかして……。


「奪ったのですか……?」

「な、何?」


 でも、奪ったのなら【不老不死】の意味が分かりません。

 それは【不老不死】ではありませんから……。


 神の加護とは何なのでしょうかね。

 まぁ、今気にしても仕方ありません。

 どちらにしてもハッキリさせておきましょうか。


「貴方は勇者じゃありませんし、【不老不死】ではありませんね」

お、おかしい。

タロウも強化して強者にしたつもりやのに、小物っぽいぞ?

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