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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
2章 レティシア、ファビエ王都で暴れる。

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13話 聖女の覚醒

誤字報告ありがとうございます。


 武闘家アルジーを追い返してくれたドゥラークさんの意識が戻らない。

 怪我をしていた部分は〈ゴスペルヒール〉ですでに完治しているはずなのに、ドゥラークさんは目を覚まさない。


 どうして?


 私は何度も〈ゴスペルヒール〉を使うけど、効果がないのか、ドゥラークさんに変化はない。

 ギルガさんもラウレンさんも心配そうにドゥラークさんを見ている。リディアさんは、ドゥラークさんを抱きかかえたまま泣いている。

 決して、死んでるわけじゃない。

 息もしているけど何かがおかしい。

 どうして意識が戻らないの!?


 その時、ラウレンさんが「聖女の力があれば……」と呟く。

 聖女の力って何!?

〈ゴスペルヒール〉と〈サルヴェイション〉じゃないの!?

 私は引き続き彼に魔法を使う。

 ギルガさんに思い当たる症状を聞いたけど「分からない」とも言っていた。

 ラウレンさんに聖女の力について聞く。


 聖女にも神の加護というのが存在するらしい。

 その中に【神聖魔法】というモノがあり、それを使えば回復するかもしれないとの事だ。

 でもおかしい話だと思う。

 そもそも、聖女って何?

 勇者と共にあるべき存在と教会では伝えられているらしいけど、何のために必要なの?

 それに、神の加護って何!?

 その加護のせいで、マリテさんもアレスさんもとても嫌な思いをした。

 神の力って何なの!?

 

 私は自分自身で混乱していた。

 その時、私の頭の中で誰かが声をかけてきた。


『お前が神の力に疑問を持つのか?』


 い、今のは……誰?

 そもそも、神なんているか分からないじゃない!!


『お前は神の素質を持つ者だ。そんなお前が神を否定するのか?』


 だから、誰!?


『全く嘆かわしいモノだ。お前とは一度ちゃんと話をする必要があるな』


 な、何を言っているの!?


 私は声の主を捜すけど見つからない。

 ギルガさん?

 ラウレンさん?

 リディアさんは女性だから声が違う。アレは男性の声だった。


『お前自身の力だ……。使い方を教えてやる。こちらへ来い!!』


 ま、また!?

 うっ!?


 あ、頭が……。


「「エレン!?」」


 私はその場に倒れてしまった。



「う……ん……」


 ……私は目を覚ます。

 真っ白な場所……。

 ここは……?


「私はどうなったの?」

『ようやく落ち着いて話ができるな……気分はどうだ?』


 目の前の金の羽を広げたケダマが偉そうにしている。

 これが声の主?


『なんだ?』

「え? 声のわりには威厳の無い姿だな、と思って」

『結構失礼な事を言う……。そもそも、この姿はお前が創造したモノだ』

「え? 私が!?」


 創造?

 こんなケダマを!?

 けれどどこかで見た事がある……。

 どこだっけなぁ……。


 あ!!

 思い出した。


 私とレティが一緒に読んだ絶滅した魔物図鑑に載っていた魔物だ!!


『思い出したみたいだな。私はお前の力が具現化したモノだ』

「私の力?」

『あぁ。お前の中に最初からあった神の力だ』


 また神の力?

 そもそも神の力って何!?


「そんな力どうでもいい!! どうすればドゥラークさんを助けられるの!?」

『お前が聖女として完全に覚醒すればいい』

「え!? で、でも聖女になるには勇者と出会わなければ……」

『そんなモノ、アブゾルが勝手に決めた条件だ。アブゾルと関係のないお前にはそんなモノは必要ない』


 え? 

 アブゾル様はこの世界の神様でしょう?

 い、いや……今はそれどころじゃない。


「どうすれば……」

『私を受け入れろ。私を取り込めば、お前は聖女として覚醒する』

「で、でも……」

『私は神の力。お前自身の力だ』

「貴方は消えちゃうの?」

『私は消えない。私はお前の力だ』


 私が手を伸ばすとケダマが手の平の上に乗る。


『よし、精神を統一しろ』

「……はい」


 そしてケダマは光輝き……。

 うっ……。

 光が強すぎて、目を開けていられない。


『さぁ、真の聖女の誕生だ……。偽りの勇者よ。お前では手の届かない、全てを癒し、神をも超える聖女をどうする? どうできる? 聖女を守るのは……』


 ケダマが何かを言ったような気がしたけど……。

 今は、早くドゥラークさんを……。


「ハッ!?」

「目を覚ましたか!!」


 私はギルガさんに抱きかかえられていた。

 どうやら急に倒れたみたい。 

 

「ぎ、ギルガさん……ドゥラークさんは?」


 ギルガさんは首を横に振る。

 まだ、目を覚ましていないみたいだ。


 私は立ち上がりドゥラークさんの下へと歩いて行こうとするけど、足が重い。

 ギルガさんが支えてくれる事でゆっくりとドゥラークさんの下へと歩いて行く。


「エレン。魔力を消費し過ぎだ……。無理をするな……」

「だ、大丈夫だよ」


 魔力は消費していない。

 枯渇するとは思えない。

 私はリディアさんに抱きかかえられているドゥラークさんに視線を移す。


「今も眠ったままだ……。時折、息が止まるんだ……」


 今も止まったのか、リディアさんがドゥラークさんと唇を合わせ、人工呼吸のような事をしている。

 私は目を細める。


 今も目覚めないのは……。

 ドゥラークさんの周りに漂っているアレ(・・)が原因ね。


「黒い魔力……これが原因か……」

「なに!?」

「アルジーの黒い魔力がドゥラークさんを殺そうとしている。多分だけど、アルジーが捨て台詞で言っていた「こいつだけは私が殺す」というのを、神の加護が実行しようとしている」

「お、お前……なんでそんな事が分かるんだ?」

「見えるからです……」

「え、エレン!? お、お前」

「はい?」

「目が……銀色に……」


 目が銀色?

 そんな事はどうでも良いです。

 私はドゥラークさんの前に座ります。


「え、エレンちゃん……」

「大丈夫です。助けて見せますから」

「う、うん……」


 そして、目を閉じ胸の前で祈るように手を組む。


 ドゥラークさんを助ける魔法……。

 私の頭の中にいくつもの魔法の名前が流れる。

 これが【神聖魔法】か……。

 どれを使えばいいのか分からない。

 そんな時は聞けばいい。

 ……教えて……けだまん。


『お、おい。もう少しマシな名前は思いつかなかったのか? コホン……まぁいい。〈ピュフィリ〉だ。あらゆるものを浄化する魔法だ』


 浄化の魔法?


『お前の記憶を見たが、武闘家の女が使った加護は神の加護ではない。【武神の決意】は悪魔の加護だ』


 悪魔の加護?

 そんなモノがあるの?


『あぁ。アレは七つの大罪の出来損ない。【憤怒】の成りそこないだ。あんなモノを手に入れるとは、武闘家も哀れだな』


 どういう事?


『七つの大罪は覚醒しなければ体を蝕む。アレは、恐らく長生きはできんだろう』


 それも酷い話だね……。

 でも、今はそんな事よりも、ドゥラークさんの事だね。


『あぁ。()の事をお前が気にする必要はない。あのチビッ子も同じ事を言うだろう?』


 ……うん。

 でも、レティの事をチビッ子って言ったらだめだよ。結構気にしているみたいだから。


『あぁ……』


 私は魔力を解放させる。

 すると、今まででは考えられないほどの魔力が引き出せるようになっている。

 みんなが私を見て驚愕している?


 なにがあったの?


「え、エレン……お、お前……その羽は……」


 羽?

 私の背中にけだまんと同じ羽が……!?


『エレン。使え』


 ……うん!!


「〈ピュフィリ〉!!」


 私が魔法を使うとドゥラークさんの体が光り輝き、体を纏っていた黒い魔力が空中に霧散する。

 そして……。


「う……ん?」


 ドゥラークさんがゆっくり起き上がる。


「お、俺は……?」


 ドゥラークさんが私達を見回した後、リディアさんが号泣してドゥラークさんに抱きついた。


 二人共……いつの間にそういう仲になったの?

明日6月18日の投稿は今日用事が入って書けそうにないのでお休みします。

明後日からは投稿しますのでよろしくお願いします。

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