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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
2章 レティシア、ファビエ王都で暴れる。

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8話 剣姫ソレーヌ


 最初は様子見なのか、露出狂は魔力も込めずに身体能力のみで私に迫ってきます。

 まぁ、ここまで恥も外聞も無い格好で戦っているのですから、速さはそれなりにあると思います。身体能力は高いという事でしょう。

 露出狂は私に斬りかかりますが、大きい剣だけあって振りが遅いので、私は刃を摘まみます。


「っ!? 私の斬撃を止めるとは……。さては〈身体強化〉の魔法を使っていますわね」

「は?」


 何を勘違いしているんでしょうか?

 私はまだ〈身体強化〉を使うほど魔力は回復していません。その証拠に私の髪の毛はまだ灰色のままです。


「なかなか楽しめそうですが、上には上がいるという事を教えてあげますわ」


 露出狂は魔力を使い始めたようです。

 勇者と同じ【身体超強化】かもしれないと少しだけ警戒しましたが、ただの〈身体強化〉みたいです。

 彼女には神の加護が無いんですね。

 私が〈身体強化〉を待ってあげていると露出狂が警戒した顔で「何を考えているんですの?」と聞いてきました。


「何がでしょう?」

「私の〈身体強化〉を見て何かを考えていたでしょう?」


 何かを考えたんじゃなくて、まだかな? と思っただけなのですが……。

 まぁ、いいです。適当に答えておきましょう。


「露出狂が〈身体強化〉を使ったから、その鎧と呼べないモノまで脱いで、全裸で戦うかと楽しみにしていただけですよー」

「全裸で戦うわけがないでしょう!! さっきから馬鹿にして!!」


 露出狂さんは一瞬で私の死角から斬りかかってきました。

 しかもです。

 目の前には残像が残してあり、ちゃんと隙をついています。

 これは素晴らしい。


 私は、本体(・・)がいる方向に顔を向けます。


「気付かないと思いましたか?」


 襲いかかる露出狂と目が合うと、露出狂の顔に冷や汗が流れたように見えました。

 そして、どうやったかは知りませんが、空中を蹴り軌道を変えて逃げます。


「今のは面白いですね。今度真似をしてみましょう。ところで……斬りかからないのですか?」

「あ、貴女……何者ですの? 完全な死角を突いたというのに」


 何者と言われて個人情報を話す気にはなりませんねぇ。

 そもそも、気配を残像に残すのならともかく、それをせずに気配と殺気を垂れ流している相手くらい寝てても気付きますよ。

 しかし、何者かですか……。

 あ、そうです。


「勇者タロウを殺す存在。そう認識していただいて結構ですよ」

「なんですって?」


 露出狂は一瞬困惑した顔になりましたが、すぐに私に対し嫌悪感を持ったような顔になりました。


 その顔……いいですねぇ……。


 私は露出狂にナイフを投げつけます。

 ただ投げただけなので弾かれるのは分かっていますが、同じ事(・・・)をしてあげますね。

 露出狂がナイフに気を取られているうちに露出狂の死角に入ります。勿論残像を残してです。

 しかし、気付きませんね。ちゃんと気配を残していますから気付かないのかもしれませんね。

 私は脇腹にナイフを刺そうとしましたが手応えがありません。

 ありゃ?

 どうやら逃げられたみたいです。

 露出狂は全身から汗まみれになっています。


「残念です。気付かれましたか」

「い、今の寒気は……何があったんですか!?」

「何がですか?」

「貴女が攻撃しようとした瞬間に感じた寒気です!! しかも貴女は目の前に!?」

「え? 貴女と同じ事をしたのですよ?」

「!?」

「それに寒気って、刺す瞬間に殺気を込めて刺そうとしただけです。殺気に気付くなんて、そこそこやるじゃないですか」


 私は露出狂を褒め、手を叩き拍手してあげます。

 その様子を見て、露出狂はさらに不快な表情をしているみたいです。


 ……いいですねぇ。


 変な趣味に目覚めそうで、口角を釣り上げて露出狂を見て嗤ってしまいます。


「くっ……。見た目が小さい少女でしたから本気を出す必要はないと思いましたが、これは真面目に戦った方がよさそうですね」

「へぇ……、まだ本気じゃなかったんですね。私も楽しみです」


 そう言って、露出狂は魔力を練り始めます。

 次は何をしてくれるのでしょうか。


 はっ!?


 いけません。

 今はお城に向かうのが先決でした。

 露出狂には悪いですが、ここで死んでいただきましょう。


 私は魔力を練る露出狂にナイフを投げます。

 流石に魔力を練っていても、これくらいは弾き落とせるそうです。


 私が持っているナイフは一本ではありません。もう一度、今度は首筋に向けてナイフを投げます。

 しかし、何か(・・)にナイフが弾かれました。


 はて、今のは何でしょう?


 露出狂の身体には光の何かが纏わりついています。


「光栄に思いなさい。これは剣姫の外套です。この光の外套はそこらの鎧よりもはるかに強力なのです。そして……」


 露出狂の剣が眩く光ります。


「光の聖剣エクレールですわ!! コレで貴女を殺します!」


 光の聖剣(・・)ですか。

 勇者でもないのに聖剣を持っているのですね。


 凄いです。

 私はもう一度拍手をします。


 しかし、その聖剣も眩い以外はこれと言って危険とは思えませんが、魔力が回復していない今ならば、下手に喰らってしまえば怪我をするかもしれません。

 あの光の外套もナイフを弾くところを見るとそこそこ(・・・・)の強度みたいです。

 魔力を使えば関係ないと思いますが、今は使えません。

 ナイフが使えないので……、仕方ありませんね。

 私は露出狂に飛び込んで近付きます。


「な!!?」


 露出狂は少し下がります。

 おや?

 殴りかかったのですが、避けられました。

 私は何度も露出狂を殴りに行きます。

 光の外套を付けてからは、少しだけ動きが速くなりましたね。

 まだ全力ではありません(・・・・・・・・・)が当たりませんねぇ。

 しかも、反撃と言わんばかりに露出狂は光の聖剣で斬りかかってきます。

 これに触れるとどうなるでしょうか?


 私は聖剣を掴もうとします。

 その瞬間、露出狂の口角がわずかに上がりました。

 そうですか。


 私は聖剣を掴むのをやめ、露出狂の胸を蹴り一気に離れます。


「なるほど……。その聖剣に触れると不味そうですね」

「触ってもよろしかったのに……」


 触るとどうなるか楽しみですが、今は魔力が少ないので余計な事をしません。

 しかし、思った以上に強いじゃないですか……。いえ、あの装備が厄介なだけですね。


 私は露出狂を観察します。

 無意味な鎧が外套で隠れ上半身はほぼナイフが通りません。

 しかし、下半身はふとももなら刺せそうです。内ももを斬れば出血が激しく殺せるかもしれませんが、確実性はありません。

 首も外套で隠れていますし、額は元々サークレットで守られています。


 あぁ、無防備なところがありました……。

 あそこを狙いましょう。

 

 私はナイフを投げつけますが露出狂はそれを弾きます。

 しかし、その隙があれば懐に入れますよ。


「甘いですわ」


 はい?

 露出狂は私に気付き、私を斬ろうと剣を振るいます。

 あ……。

 これは斬られますね。


 露出狂は私の胴を斬り抜きました。

 私の上半身と下半身は斬り離されてしまいました。

 これは……流石に死にましたかね……。



 まぁ、それが本体(・・)であればの話ですが。


 私は露出狂が斬ったその真逆にいます。そして、露出狂の肩に肩車の様に乗り、頭を掴み目を刺します。


 ここ(・・)を狙っていたのですよ。


「ぎゃあああああああ!!」


 ははっ!!

 攻撃が通りましたよ。


「く、クソ!!? 私の顔に傷を……。目が……」


 すぐに振り落とされましたから、片目だけしか狙えませんでした。

 できれば両目を抉りたかったですねぇ。


「殺す殺す殺す殺す!!」


 露出狂の顔が血まみれになり、目を手で押さえます。

 すると薄っすらと光っています。


 アレは治療魔法ですか?

 いえ、何らかのアイテムで血を止めただけですか……。

 目にはバッチリと傷がありますし、血が止まったくらいですね。

 血化粧……とても似合って素敵でしたのに。

 露出狂の表情が更に険しくなります。

 目の傷と合わさって、先ほどまでの露出狂とは別人のように見えます。


「殺してやる!!」


 露出狂は聖剣を二倍まで大きくします。

 普通は大きい武器を使えばスピードが遅くなるのですが、アレは光の聖剣(・・・・)です。故に、重さが変わらない可能性があり、速さも変わらないと思った方がよさそうですね。


「死ねぇええええええ!!」


 剣姫(・・)の仮面が剥がれてしまいましたね。

 とりあえずあの外套が邪魔です。

 どうにか外せませんかね。


 私は露出狂を再び観察します。

 あの中心の赤い宝石。

 あそこから巨大な魔力を感じます。


 アレを破壊すれば……。


 私は赤い宝石に狙いを定めナイフを投げます。

 これは弾かれるはずです。

 私が狙うのは弾いた瞬間です。


 露出狂は私の予想通りにナイフを弾きます。その動きを見て、私が懐に入って来たのを嗤います。外套になら攻撃を受けても平気だと思ったのでしょうが、甘いです。

 私のナイフは赤い宝石を狙います。

 露出狂も私の狙いに気付き避ける動作を見せましたが、もう遅いです。


 少ない魔力を全て注いだナイフの切っ先が赤い宝石にぶつかった瞬間、赤い宝石は乾いた音と共に砕け散ります。

 すると、光の外套が霧散しました。


「ば、馬鹿な!?」


 露出狂の顔が青褪めました。


 その顔が一番いい顔ですよ!!


 私は口角を釣り上げます。

 そして、満面の笑顔で露出狂を見上げます。


「ひ、ひぃ!?」


 露出狂は急いで私から離れていきました。

 ふふふ……。

 逃げても無駄ですよぉ……。


「さぁ、地獄の始まりです……」


誤字報告、いつもありがとうございます。

今回から加護、魔法、等を囲う記号を変えました。

詳しくは活動報告に書いてありますので、よろしくお願いします。

今までの話の記号も順次直していきます。


感想、気になる点、指摘があればぜひ書いて行ってください。

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