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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

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80話 エピローグ3


 私は久しぶりのお休みだったので、近況をお話ししに来ただけだと言うと、クランヌさん達の緊張は解けたようです。


 クランヌさんは、最近のエスペランサの事、クランヌさん達にも子供が出来た事を教えてもらいました。

 そう言えば、クランヌさんの奥さんであるシャンテさんは、メディアのお姫様なんですよね。そう言えば、エレンがメディアの表の女王だったマリア様の事を話していたような……。


「クランヌさん。メディアの表の女王であるマリア様がエスペランサに引っ越しをしたと聞きましたが、本当ですか?」


 メディアの表の女王とはいえ、エルジュの裏切りで責任でも感じたのでしょうか?

 それにしても、どうしてエスペランサなのでしょう?


「あぁ、本当だ。それに、マリア様はシャンテのお母様だからな。エルジュの事は聞いたマリア様から「メディアの女王を退位する」と相談された時、私がエスペランサに亡命する事を提案したんだ。メディアの女王を退位したからと言ってメディアに残っていたら、間違いなく利用されるだろうからな……」

「マリア様が退位したという事は、今はメディア女王は誰がやっているのですか?」


 マリア様の子供はシャンテさんだけだと聞きました。となると、次の女王は順当にいけばシャンテさんですよね。

 しかし、クランヌさんの話では、シャンテさんは継がなかったそうで、今のメディアの女王は別の人だそうです。


 グローリアさんの話では、私も知っている人物だそうですが、誰でしょう?


「元、治療ギルドのギルドマスターのセラピアだ。彼女はエルフで長寿だろう。しかも、隠れSランクみたいだったから、不老でもある。メディアの国民は良くも悪くも不変を望んでいる。だから、マリア様が推薦したんだ」

「それで、周りは納得したのですか?」

「セラピアは治療ギルドのギルドマスターとしてだけではなく、治療師としても優秀だったからな。メディア国民にも簡単に受け入れられたよ。ちなみに、セラピアの兄のソワンが宰相をしている」


 ふむ。

 兄妹でメディアを統治しているのですね。


「レティシア嬢、しばらくエスペランサに滞在するのかい?」

「いえ、明日からは、またお仕事がありますので、もう少ししたら帰る予定です」


 明日から、サクラさんにこき使われる日々が戻ってきます。

 私は神族ではないので、サクラさんに仕事を押し付けられるいわれはないのですが、最近は冒険者の依頼と言えばお仕事を押し付けられると味を占めたのか、毎日のように指名依頼を出してきます。

 もちろん、断る事も可能なのですが、断ると毎日の様に勧誘にやってきます。

 ……本当に逃げてやりましょうか。


「そうか……。アブゾールの女王も来る予定だったのだがな」

「アブゾールの女王?」


 アブゾールは神官達の国だったはずなのですが……。今は女王がいるのですか? 

 ダメですね。普段は神界にいるので、この世界の事には疎いのです。


「あぁ、ベック殿が初代女王になったんだ。アブゾル様の力で不老になったらしく、ベック殿が飽きるまでは女王としてこき使うと、アブゾル様がおっしゃっておられた」


 アブゾルと言えば、この世界の管理を私に押し付けて引退しようとしたのですが、私が拒否したので、今もこの世界の管理をしています。

 まぁ、この世界で何かあれば、サクラさんの卑劣な手段で私が動く事になるのですけど……。


 現に、私が作った永遠の地獄は今も稼働中です。

 今ではベアトリーチェだけでなく、この五年で様々な犯罪者を閉じ込めています。

 とはいえ、赤い私二号だけでは全員を拷問できないので、今では赤い私十号まで増やして日々拷問をしています。


 私はクランヌさん達や、夕方になって合流した紫頭達とお話をした後、最後の訪問先であり、本拠地であるセルカに戻ってきました。


 セルカでは、今もギルガさんがリーン・レイとして拠点を構えています。そこには姫様とレッグさん夫妻とその子供が暮らしています。最近はカンダタさんも入り浸っていると聞きました。


 ドゥラークさんは、リディアさんと旅に出たと聞いています。

 あの二人も無事に結婚して、子供もいるそうです。

 実際に会った事はありませんが、どうやらその子があの三人の最後の一人の様です。武術を極める為にドゥラークさんの子になったみたいなものですね。

 ドゥラークさん達とは直接会ってはいませんが、最近は月の女神の仲間である、金色の武神魔王さんがドゥラークさんと手合わせしたと言っていましたね。

 この前、神界で武術を教えてもらっていた時に、「ドゥラークというおっさんは見込みがあるっすよ。これから、もっともっと強くなるっす。楽しみっすね」と言っていましたから、これからも手合わせしに行くつもりなのでしょう。


 私はセルカのお屋敷に入ります。


「ただいま戻りました」

「おかえり、レティシアちゃん!」


 出迎えてくれたのはトキエさんでした。


 はて?

 トキエさんは、グランドマスターに復職したベルの秘書になったはずです。それ以前に、とあるギルド支部で忙しくしているのですが、どうしてセルカに戻ってきているのでしょう?

 というよりも、トキエさんとは毎日顔を合わしているのですが……。


「ねぇ……。レティシアちゃん。サクラ様、何とかならないかなぁ……」

「はて?」


 もしかして、セルカに戻ってきているのはサクラさんへの苦情でしょうか?


「あの人の依頼を他の冒険者が間違って受けちゃったときの被害が甚大でね……。できるだけレティシアちゃん達が受ける様にはしているんだけど、たまに断るでしょう?」

「はい。無理なスケジュールだとカチュアさんがキレて依頼を断ります。私達にもお休みは必要なので仕方ありません」

「うん……。それは分かっているんだけどね。サクラ様って、レティシアちゃん達が断わった後も依頼を取り下げないんだよ。それどころか指名依頼を解除してきてね。それを知らずに受けた冒険者が酷い目に遭う事が多くてね……。私からもサクラ様に言っているんだけど、聞いてくれなくてね……」

「そうですね。サクラさんは人の話を聞きません。それに、私達に対する嫌がらせとして、指名依頼を解除している可能性が高いです」


 サクラさんはそういう人です。


「分かりました。サクラさんに対しては少し脅しのネタがあるのでそれを使いましょう。ところで姫様達はいますか?」

「いるよ。お父さん達には、レティシアちゃんがオフと言っておいたからね」

「そうですか。では姫様に会ってきますね」

「うん。サクラ様の事お願いね」


 私はトキエさんに手を振り姫様の自室へと向かいます。おそらくですが、トキエさんは今から飲みに行くのでしょう。お疲れの様ですからね……。


 姫様の部屋の中には姫様とレッグさん、それにお二人の娘さんとギルガさんがお茶を飲んでいました。


「皆さん、お久しぶりです」


 私があいさつすると、姫様が私を抱きしめてくれます。それを真似る様に娘さんも私に抱きついてきました。

 至福ですねぇ……。


「ほら、レティ、入って入って。神界での話を聞かせて」

「分かりました」


 私は姫様と娘さんに手を引かれて席に着き、夜遅くまで楽しくお話をしました。


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