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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

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77話 断空結界の消し方

誤字報告 いつもありがとうございます。


 私は永遠の地獄からアブゾールに戻ってきました。

 ベアトリーチェもテリオスもいなくなったアブゾールはとても静かです。


 ベアトリーチェを倒したら断空結界も消えると思ったのですが……消えていませんねぇ……。アブゾールを囲う外壁の向こうに、今も断空結界の黒い壁が見えています。


 とりあえず壁に直接触れてみましょうか……。

 私は断空結界に触れられる場所まで歩いて行きます。そして、断空結界の前に立ち、手を突っ込もうとしましたが、弾かれてしまいました。


 ふむ……。普通の手段では抜ける事は不可能ですか……。では、ベアトリーチェを痛めつけた、本気を出してみましょう。

 私は魔力を解放します。背中にはたくさんの黒い羽が現れました。


「さてと……」


 素手で殴ってもいいのですが、ここはファフニールで斬ってみましょう。

 私はファフニールを思いっきり振り下ろします。


「えい!」


 しかし、ファフニールは断空結界に弾かれる事はなく、ただ、空を斬るだけでした。


 ……はて?


 なぜ弾かれなかったのでしょうか? もしかしたら、生きとし生けるものだけを拒絶するのでしょうか?

 でも、ファフニールにもファフニールの魂が入っているとかどうとか……。うーむ。分かりません。やはり、断空結界を打ち破るのは不可能なのでしょうか……。


 しかし、サクラ様は私に言いました。


(レティシアちゃんなら、断空結界から出られるよ)


 私なら(・・・)出られるですか……。

 つまりはベアトリーチェには出られずに、私だけが出れる。

 そう言えば……、断空結界内だと言うのに、どうして永遠の地獄には行けたのでしょう?


「よくわかりませんが、もう一度永遠の地獄に行ってみますか」


 私は、次元転移魔法を使い永遠の地獄へと戻ってきたのですが、やはりここには転移できるようです。


「ふむ……」

「ひぎゃああああああ!!」


 赤い私二号がベアトリーチェをしっかり痛めつけているようで、悲鳴が聞こえます。小さな世界ですから、声が響くようです。


「しかし、うるさいですねぇ……。ここはうるさくて考えがまとまりません。戻りましょう」


 私はアブゾールに転移して戻ります。ここには、私しかいないのでとても静かです。


「ふむ……、普通に戻ってこれましたね。もしかしたら、転移魔法なら……。いえ、ベアトリーチェも転移魔法なら使えたはずです……。次元転移魔法ですか?」


 次元転移魔法でしたら、次元を越えるので転移できるという事ですか? 永遠の地獄も別世界ですから、次元転移を使っていたのですが、そういう事なのでしょう。

 そうと分かれば魔法を使う準備です。

 私が次元転移の準備を始めようとしたら、誰かが断空結界内に転移してきました。

 アブゾルです。


「いまさら何の用ですか?」

「酷い言い草じゃな。お主がベアトリーチェを倒したとサクラ様から聞いたのでな。迎えに来たぞい」


 迎えに来た?

 次元転移があるので迎えなど必要ないのですが……。

 しかし、今のアブゾルには何か違和感があるのですが……。

 あ!


「アブゾル。元の姿に戻ったのですね」

「あぁ、サクラ様に戻してもらったんじゃ。じゃが、これから先はベックの傍に居る時は人形の姿に戻る事も可能じゃ」


 そう言って気味の悪い人形の姿に戻ります。もしかして、その姿にも愛着でもできたのですかね……。


「しかし、今後の事も考えれば断空結界を消す必要もあるな」

「はい? 消せるのですか?」

「あぁ、サクラ様から消す方法を聞いてきた。ワシよりも格上な嬢ちゃんがいれば大丈夫じゃろう」


 はて?

 格上? 何の事でしょう?


「アブゾールを囲う断空結界は、ワシの肉体を生贄に作ったモノじゃ。ワシ以下の神格のモノでは消す事が出来んのじゃよ」


 はて?

 それならそれでおかしいと思うのですが……。


「格上というのであれば、ベアトリーチェはどうして断空結界を消して出てこなかったのでしょうね。アイツはどう見ても、アブゾルよりは格上でしたよ?」

「嬢ちゃん、結構酷い事を言うのぉ……。そもそも、今言った格上というのは、神格の事であり強さではない」

「え? そうなのですか?」


 神格というのがどういったモノかは知りませんが、どう見てもベアトリーチェの方が強いですし、神々しくも見えましたよ。まぁ、汚く見えたと言うのもありますが……。それに比べ、アブゾルなんて少し殴ったら死にそうじゃないですか。


「それにな。嬢ちゃんは次元転移を簡単に覚えたじゃろ?」

「はい」


 とはいえ、少しだけ解析に時間がかかりましたが、簡単と言えば簡単でしたね。


「ワシはサクラ様に指導してもらう事で覚えたが、普通であれば、簡単には覚えられないのじゃ。大体、簡単に覚えられるのなら、エルジュ殿も出てこれたはずじゃろ?」

「まぁ、そうですね。アブゾルはエルジュをまだエルジュ殿って呼んでいるんですね」


 アレはよくにまみれた哀れな人でしたが……。


「まぁな。彼女がああなった原因にワシが大きく関わっておるからな……。彼女の罪はワシの罪でもあるのじゃ……」


 ふむ。言っている事はかっこいいと思うのですが……。


「では、貴方も永遠の地獄(・・・・・)に行きますか?」

「なに? 永遠の地獄? エルジュ殿が送られたのは、永遠の罰(・・・・)じゃぞ?」


 永遠の罰?

 そんな名前でしたっけ?

 まぁ、些細な事なのですけどね……。

 

「名前が間違っていましたか。これはベアトリーチェには悪い事をしましたね」

「どういう事じゃ?」


 私はアブゾルにベアトリーチェを永遠の地獄に閉じ込めた事を説明します。


「……、まさか永遠の罰に似た空間を作り出すとはな……。サクラ様が嬢ちゃんを欲しがる理由が良くわかったわい」

「そうなのですか?」

「あぁ……。まぁ、その事はともかく、断空結界を解く事にしよう。嬢ちゃん、付いてきておくれ」


 そう言ってアブゾルは次元転移を発動させます。出てきた場所は断空結界の外でした。


「内側からは消せないのですか?」

「あぁ、サクラ様からはそう聞いておるよ」


 アブゾルは、何かの魔法陣を書き始め、私に魔法陣の上に乗れと言ってきます。


「これで何をするのですか?」

「なに、簡単な事じゃ。嬢ちゃんの神格でワシの神格を塗りつぶすのじゃ。そうする事で下位の神格の者が作った魔法を消し去る事が出来る。ワシのような未熟な者では、断空結界はこの方法でしか消せないそうじゃ」


 なるほど。

 よく分かりませんが、消せるのであれば越した事はないでしょう……。

 アブゾルが魔法を唱えると、私の背中の羽が光ります。この色は虹色でしょうか?

 アブゾルは羽を確認した後、さらに魔法を唱えます。すると、私の魔力……いえ、これは神気でしょうか? それが一気に消耗したように感じました。

 そして、目の前が光り輝き、断空結界が消え去っていました。


「おぉ、消えましたよ」


 私は断空結界が消え去ったのを見て、素直に凄いと感じました。

 私がアブゾールを見ていると、アブゾルが真剣な顔で話しかけてきました。


「嬢ちゃんの神気には驚かされたが……、嬢ちゃんに伝言がある」

「はい? 伝言ですか?」

「サクラ様が嬢ちゃんと二人で話をしたいそうじゃ」


 何やら嫌な予感がしますねぇ……。

 私は、こっそりと転移魔法を発動させます。

 そして……。


「嫌です!」とだけ言って、転移魔法で逃げだしました。

 サクラ様の話はきっと、神族になれとかそんな内容だと思います。

 

「あ!? ま、待つのじゃ!!」

「待ちません」


 私はサクラ様から逃げる為に、エレンやカチュアさんと一緒に姿を消す事にしました。


 そして、五年の月日が流れました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あっさりとベアトリーチェ戦終わっちゃったww [一言] 次は5年後だけども 今までの冒険は何年だったんだろう? そんなに長く無い感じがするw
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