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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

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71話 私達にとっての……。

誤字報告 いつもありがとうございます。


 服を破り捨てた痴女……、いえ、駄女神ディザイヤの背中に二対四枚の黒と白の羽が生えます。


「エレン様。あの変態の力はどの程度なのでしょうか……」


 カチュアさんが聞いてくるので、ディザイヤを見てみる。私にはリディアさんやレティのような【神の眼】は無い。でも、神気を感じる事はレティ並みにあるつもり。

 本気を出したディザイヤはアブゾル様よりも強いように見えた。

 どっちにしても、全裸で偉そうな顔をしている人をマジマジ見るのは何か嫌だなぁ……。


「神気だけで神の力を比べられるかは分からないけど、どう考えてもレティとは比べるまでもないよ。魔力量なんかも見て考えた場合、さっき見たグラヴィよりも弱く感じるね」

「そうですか。グラヴィに至っては、何か力を隠しているみたいでしたが、この変態は、本気を出しても通常のグラヴィ以下でしたら、たいした事は無いですね。全裸になって羞恥心が無くなっただけなのですね」


 カチュアさんは、聖剣アテナを取り出し【神気・不死鳥・蒼炎】を使う。カチュアさんは、レティとの特訓で美徳の力の限界を超えて不死鳥の力を完全に制御していました。


「先ほどから私の事を変態扱いするとは愚かな!! この生まれたままの美を理解できないのは可哀想ね……。さぁ、本気を出した、神の力をその身に受けるがよい!! 神罰・神々の雷!!」


 ディザイヤが手を上げると、部屋の天井部分が暗雲に変わり雷が降り注ぐ。

 でも……、コレって。


「カチュアさん……」

「はい。情けなくて溜息が出てしまいますね」


 カチュアさんが溜息を吐きたくなるのも分かる。この降り注ぐ雷は、魔力、神気、どちらを見てもさっきの爆縮白雷以下威力しか出ていない。

 さっき結界を張ったヨルムンには当然効かないとして、私も神気を纏っているので軽い結界みたいに雷を弾くし、カチュアさんに至ってはアテナで弾くだけじゃなく、たまに素手でも雷を弾いていた。

 あれ?

 アテナに雷が蓄電している気が……、大丈夫なのかな?



 カチュアさんは雷を弾きながら、徐々にディザイヤに近づいていく。そして、目の前に立ち「もうそろそろ反撃してもいいですか?」と律義に聞いている。

 いきなり斬れとは言わないけど、どうして反撃しても良いのかを聞いているのだろう……と思ったんだけど、そう言えばレティが「敵と戦うときは出来るだけ相手をおちょくると楽しい」とか言っていたなぁ……。もしかして、カチュアさんもそれを真似ているの?


「ふ、ふざけるなぁああああ!!」


 ディザイヤがカチュアさんの顔に手を当てる。そして神気と魔力が掌に集まる。


「カチュアさん!!」

「はい」


 カチュアさんはアテナの柄でディザイヤの顎を思いっきりたたき上げる。そして、空中に浮かび上がったディザイヤにアテナを振り下ろした。

 

「ひぃぎゃあああああ!!」


 ディザイヤは、真っ二つにはならなかったものの、片腕が斬り落とされていた。あ、出血はしていないという事は、不死鳥で傷口を焼いたみたいだ。


 蒼炎で傷口を焼くと、死霊系の魔物であっても再生能力が発動しにくい事を知ったレティが、ニヤニヤしながら研究していたから、それも教わったのかな?


「ディザイヤ、今なら生かしておいてあげますよ?」


 カチュアさんが優しくそう言う。いや、カチュアさんがレティ以外に無条件な優しさを見せる事はない。いや、確かに私達リーン・レイのメンバーにも優しい所もあるのだけど、カチュアさんは優しさの序列をしっかりとつけているみたいで、私やジゼルさん、ネリー様は序列が高いけど、あまり関わる事の無いオリビアさん達には、あまり優しくない。

 そんなハッキリとした性格のカチュアさんが、敵であるディザイヤに優しさなど見せるはずもない。


「ふ、ふざけるな。私にベアトリーチェ様を裏切れと言うのか!?」

「はい? 裏切りたいのでしたら、ご自由にどうぞ」


 そう言ってカチュアさんはアテナを振り上げる。


「私が言っているのは、死にたいか死にたくないかの二択だけです」


 うん。

 やっぱり優しさなんて持ち合わせていなかったよ……。それに、カチュアさん。それじゃあ、質問の意味は分からないと思うよ。

 私はカチュアさんの隣に立ち、ディザイヤに説明をしてあげる事にした。


「カチュアさんが聞いているのは、一撃で殺されるか、じわじわと嬲り殺されるかを聞いているんであって、裏切れと言っているわけじゃないと思うよ」


 そう説明すると、ディザイヤは一気に顔を青褪めさせて、全身から汗があふれ出ているみたいだ。


 まぁ、一見、どちらも殺すと言っているようなものだけど、もし更に隠している力があるのならば死にたくないを選択すればいい。そうすればカチュアさんは今すぐに一撃で殺すだろう。

 逆に死にたいと言ったら、何か企んでいると思って、やはり一撃で殺すだろう……。あれ? どっちも一緒じゃないかなぁ……。


「ま、待て!! お前達にそれほどの力があるのなら、ベアトリーチェ様に頼んで幹部に推薦してやろう!!」

「あ?」


 ディザイヤが泣きそうな顔でそんな意味の分からない事を言うから、カチュアさんが苛ついているね。

 ダメだよ。それってレティを裏切れって事でしょ? 私もそうだけど、カチュアさんはレティが大好きだからそれは絶対にないよ。


 カチュアさんは、ディザイヤの羽を引き千切った。


「あぁああああああ!!」

「もう一度聞きますよ。「今すぐ死ぬ」か「後で死ぬか」を聞いているんです。『はい』か『いいえ』で答えなさい」


 いや、カチュアさん。その質問は『はい』か『いいえ』では答えられないと思うよ……。


「あと十秒待ってあげます」

「え?」

「はい、二、一……」

「ちょ……十秒って……」

「ゼロ」


 その瞬間カチュアさんはアテナを振り下ろし、ディザイヤを真っ二つにしてしまった。

 本当にどうでもいいけど、十秒も待たなかったね……。


 ディザイヤは絶望した顔のまま真っ二つになり、塵になり崩れていく。

 どうも、ベアトリーチェに力を貰った人は普通に死ねなくなるみたいだね……。


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[一言] カチュアさんが以前のレティシアのようになってる…
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