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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

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54話 神々の今後


 レティシア嬢がベアトリーチェを倒す為にアブゾールに転移していった後、サクラ様はワシに話があると言ってきた。


「さて、アブゾル。レティシアちゃんがいたから込み入った話は出来なかったけど、君としては、ベアトリーチェが倒された後、どうするつもなの?」

「……サクラ様のお望みのままで構いません」

「それは、神の資格を剥奪されても構わないととってもいいのかな?」


 サクラ様の言葉にベックは反論しようとするが止める。ワシはもう覚悟ができておる。


「はい」


 この世界は既にワシの手を離れてしまった。事実、以前はワシくらいの強さでも世界を充分に守る事もできたし、管理もできた。しかし、今のこの世界には、ワシより強い者が何人もおる。

 世界が危機に陥ったとしても、ワシには何かが出来るとは思えぬ。現に、ベアトリーチェ相手に断空結界をするしか出来なかった。


 ワシが自身の神として、至らぬ点がある事を考えておると、サクラ様は優しく微笑んだ。


「アブゾル、君は何か勘違いしていないかい? 別に世界を管理する条件に強さは重要視されていないよ。だから、神が一番強くなくても、何の問題もないんだよ」

「では、今後とは……どういう事ですか?」

「うん。普通ならばさっき言った通り、アブゾルが神でも何も問題ないんだけど、この世界にはレティシアちゃん、エレンちゃん、カチュアちゃんとジゼルちゃんも片足ツッコんでいるかな? 四人も神族の素質を備えた者がいるんだよ。そして、そこに転がっているエルジュだって神族だし、ベアトリーチェだってそうでしょ? となるとアブゾル自身が辛くないかな? と思ったの」

「辛いですか……。いえ、辛さは無いですな。確かにその四人はワシから見ても別格に見えますな」


 そう考えたら凄い事じゃな。そう言えば、過去にも四人一気に神族になったという話を聞いた事があるな。


「そうだね。月の女神であるあの子を筆頭に、あの四人も近い期間で神族になったね。まぁ、それはまた別の話だからいいんだけど、レティシアちゃんは当然として、他の三人もこれからも強くなり、君よりも高位の神になるかもしれないよ。そこで君はどうするかを聞きたいんだ」


 ワシの手に余ると言いたいわけか……。確かに、ワシではベアトリーチェはおろか、サクラ様の足下で転がっておるエルジュにも勝てんじゃろう。

 サクラ様はそれでも構わぬと言っておったが、ベアトリーチェの事はワシの失態じゃ。じゃが、レティシア嬢がベアトリーチェを倒してくれると信じておる。というよりも、ベアトリーチェ如きであの娘っ子をどうにかできると思えん。


 しかしじゃ……。

 この先、再びベアトリーチェのような者が現れないとは言い切れん。そうなった時、ワシに何ができる?

 ワシがそう考えておると、ベックがワシを一瞥してからサクラ様を見る。


「サクラ様。アブゾル様の眷属である私でも、発言してもよろしいですか?」

「え? 無論大歓迎だよ。遠慮なく発言してくれて構わないよ」


 べ、ベック? お主、何を言うつもりじゃ?


「確かにアブゾル様の力はレティシアちゃん達には劣るかもしれません。でも、アブゾル様にはアブゾル教を作り上げたという実績があります。少なくとも、この世界ができアブゾル教が出来てから世界を見守ってきたのはアブゾル様です」


 まぁ、アブゾル教はワシ自身が作ったのではなく、ワシを信じてくれた者が作り上げてくれたのじゃがな……。それをワシの功績としていいんじゃろうか……。

 思い返してみればワシは幸福じゃったな。


「ベックちゃん。私もそこは評価しているし、十分にそれは分かっているんだよ。さて、続きを話して」

「はい。レティシアちゃん達が神に近いと言ってもまだ二十年も生きていない子達です。特にレティシアちゃんは今まで酷い人生を歩んできたと聞きました。レティシアちゃんだけじゃありません。エレンちゃんやカチュアちゃんも決して幸福とは言えない人生を送ってきたでしょう。そんな子達に神を名乗らせ責任を押し付けるのは、少し可哀想だと思うんです」


 確かにその通りじゃな。

 ベックはレティシア嬢の過去を聞いた時、ワシに「出来るだけ長く神でいろ」と言っておった。この子は優しい娘なんじゃ……。


「……ふむ。じゃあ、ジゼルちゃんはいいのかな?」

「あ、はい。ジゼルは長く生きているので神になろうが別に構いません」


 む?

 やけにあっさりと言いおったな。


「あはは。ベックちゃんも割とはっきりした性格をしているね。まぁ、良いよ。この戦いが終わったらレティシアちゃんを勧誘するつもりだけど、この世界の神はアブゾルに任せるとするよ」

「え?」


 それは結局、レティシア嬢を神族に勧誘するのは止めないという事ではないのか?


「そうだよ」


 心を読まれてしまったわい。流石は【神の眼】を極めた女神様じゃ。【未来視】よりも遥かに上の力……【全視】じゃったか? ワシも伝承で知っておる程度なのじゃが……。サクラ様以外は使えないと言われておるな……。


「さて、アブゾル。君には今から四つの魔法を覚えてもらうよ」

「え?」

「あぁ、大丈夫だよ。一つは難しいモノじゃないよ。君ならすぐに覚えられるだろう。でも、後の三つは早急に覚えなければいけないんだ。だから、今から覚えてもらうよ。厳しくなるけど頑張ってね」


 そう言ってサクラ様は、ワシの頭を掴む。そして流れてきたのは……。


「これが覚えなければいけないと言う魔法ですか? 全て禁術の類では?」

「そうだよ。私が覚えていいと言っているからいいんだよ。それに、君はこの世界の神様でしょ。頑張ってね」


 サクラ様はとても厳しかった。

 ワシはやっと覚えた【次元感知】でベアトリーチェの配下の場所を感知し、最初に教えてもらった【次元神託】でリーン・レイのメンバーにベアトリーチェの部下が攻めてくる事を伝えた。


 ワシはまだ、この空間から出れない。後の二つはまだ覚えられないから、サクラ様の厳しい指導が再び始まる……。

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