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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

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52話 アブゾール潜入


 目の前には黒い霧の壁。左右を見てもずっと黒い壁が続いています。流石に圧巻ですねぇ……。


 しかし、この黒い霧に入る事が本当に出来るのでしょうか? いえ、神様の王様であるサクラ様が入れると言っていたのですから、入れるのでしょう。……まぁ、万が一入れないのであれば、別の方法を考えるだけですけど。


 私は黒い霧に右手を突っ込んでみます。

 ……ふむ。確かに魔力がある程度なければ入れないのは確かみたいですね。腕が軽く締め付けられていますから、魔力が低いと黒い霧に潰されてしまうでしょう。それに、一度でも結界内に入ってしまった右手は引き抜く事は出来ないみたいです。きっと、無理に引きぬけば腕が千切れてしまいますね。


「なるほど。腕が断空結界に捕らわれてしまいましたから、もう私にできる事は入る事だけです」


 私は黒い霧に入っていきます。体を締め付けられるような感じはしますが、気にはなりません。そして三歩ほど歩くと霧が晴れました。

 なるほど。断空結界はそれほど厚くはないんですね。


 断空結界の先は、別に荒れていたり、空気が汚染されていると言った感じではなさそうです。

 黒い霧の次はアブゾールを囲む外壁ですか。アブゾールはアブゾル教の信者しか入れない国とはいえ、一応国なので広い事には変わりありません。それを包む断空結界の規模はとても広いです。


「ベアトリーチェがいるのは、間違いないですね。あの腐った魔力を感じる事が出来ました」


 魔力を感じる限り、私達がアブゾルと話をしていた場所にいるみたいですね。向こうさんも私が結界内に入ってきた事に気付いているでしょう。という事は、私に接触してくるかもしれませんね。

 そもそも、ベアトリーチェ一人ではなさそうですし……。


 さて、アブゾールに入るとしましょうか。しかし、すんなりとは入れてくれないみたいです。

 私の目の前に黒い霧が集まり始め、大きなトカゲの形になります。


「これは断空結界が作り出した魔物でしょうか。それとも、ベアトリーチェが哀れにも仕向けてきたゴミでしょうか?」


 まったく。

 ベアトリーチェはまだ私の事を理解していないようです。こんなごみを仕向けられたからといって、足止めになるとでも思っているのですかね?


 私は足元に落ちている小石を拾ってトカゲの頭に投げつけます。小石は超高速でトカゲの額を打ち抜きました。

 トカゲの頭が弾け飛び、トカゲだったモノは再び黒い霧に戻っていきました。


「まぁ、ゴミでしたね」


 断空結界はアブゾルが使った魔法です。あんなゴミを生み出すとは思えません。という事は、ベアトリーチェが送り込んできたと考えて間違いないです。

 はぁ……。

 ベアトリーチェには、ちゃんと教育しなくてはいけませんね……。


 アブゾールの町は全くと言っていいほど破壊されていないみたいです。 

 アブゾルとベアトリーチェは戦ったそうですが、町には被害がなかったんですかね?

 その事も含めて、ベアトリーチェに聞けばいいです。

 

 しばらく歩くと、大聖堂に到着しました。入り口には一人の男性が立っています。

 ……この人は初めて見る人ですねぇ……。


「貴方はベアトリーチェの部下ですか?」

「そうだ」


 ふむ。

 顔が整った騎士風の人ですね。赤い鎧を着ていますが、アレはヒヒイロカネですね。

 名前はテリオスというみたいですねぇ……。エルフですか。しかし、【神の眼】は便利ですねぇ……。


「私の邪魔をしに来ましたか?」

「いや、お前をベアトリーチェ様の下に案内する為に来た」


 はて?

 どうせ行くので奥でプルプル震えて待っていてくれればいいのですが……。

 まぁ、良いでしょう。少し挑発しておきますかね。


「へぇ……。ベアトリーチェは随分と余裕なのですね。私から逃げる事もなく、自ら姿を現そうなんて」

「くくく……。ベアトリーチェ様がお前のような子供に負けるとでも? いや、お前など私でも充分に殺す事が出来る。だが、ベアトリーチェ様がお前と話がしたいと言っていてな。だから、私が案内役を買って出たんだ」


 買って出る?

 何を面白い事を言っているのでしょうか?


「そもそも、この結界の中には、ベアトリーチェと貴方しかいないでしょう? それに、私自身がベアトリーチェに用事があるんですから、わざわざ出てこなくても良かったんですよ。それに……」


 私はテリオスの首を掴みます。


「貴方でも私を殺せる? 相手の強さも見極める事も出来ない雑魚が偉そうな口を利かないでもらえますか? このまま焼き尽くすか、首をへし折ってあげましょうか?」


 ん?

 この感じ……。


「あぁ、貴方は最初から死んでいるみたいですね。これがジゼルが依然が言っていた新人類という奴ですか? 私からすれば死霊系の魔物と何一つ変わりませんね」


 テリオスの体は冷たく、まるで死んでいる人みたいでした。ジゼルを使ってファビエで作り出そうとしていたモノの完成形ですかね?


「そこまで分かっているのであれば、私を殺す事が出来ない事に気付くはずだ」

「そうですか?」


 殺す方法などいくつでも思いつきますよ。

 例えば……。


「このまま【破壊】を使ったらどうなると思います?」


 私はにっこりと微笑みます。ですが、テリオスは慌てていません。

 あぁ、そう言えばグラヴィとかいう七竜(ファフニール)もどきが【破壊】を使っていましたね。そこから考えられるのは【破壊】に対しても耐性を持っているという事ですか……。

 まぁ、【破壊】でなくともテリオスを殺す事は簡単だと思いますが……。一応聞いておきますか。


「焼き尽くす事も不可能ですか?」

「そうだな。私には炎熱耐性が備わっている。だからこそ、焼き尽くすほどの火力があったとしても、私を焼き尽くす事は出来ない」

「つまりは再生するという事ですか?」


 ベアトリーチェが私の事を知っているのであれば、炎耐性は持っていてもおかしくないでしょう。むしろ、炎耐性をつけていなかったら、本物の馬鹿と言えます。

 ……。テリオスをここで殺す事は簡単ですが、今は殺せない事にしておきましょう。

 私はテリオスの首から手を離し、大人しくします。


「無駄だと気づいたか?」

「……、今のところあまりいい案が思いつきません。だから、時間の無駄だと思っただけです。早くベアトリーチェのところに案内しなさい」

「そうか……こっちだ」


 そう言ってテリオスは歩き始めます。

 はて? ここは転移魔法じゃないのですかね?

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