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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

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47話 鎧魔王

≪サジェス視点≫


 レティシアがどこかに転移した後、ロブスト一人でゴーレムをすべて倒しきった。

 まぁ、今のロブストであればこのくらいは当然だと思うのだが、このシュラークという女の目にはどう映ったのかは知らないが、口角が吊り上がっていた?

 

 どういう事だ?

 最初の一体を倒した時は驚愕していたというのにあの余裕……。この女……、自分の立場を理解していないのか?


「サジェス。私が話をするわ」

「あぁ……。だが、近づくなよ。あの顔……、何を企んでいるか分からないからな……」

「えぇ……」


 イラージュはシュラークと一定以上離れ、「シュラーク。大人しく投降しなさい。レティシアちゃんに頼んで元の貴女に戻してあげるから……」と優しい顔でそう伝えた。


 甘いな。

 イラージュとシュラークは旧知の仲だと聞いた。だが、シュラークはベアトリーチェに付いた。

 今だって、自分が勤めていたギルド学校を破壊したんだ……。言葉が通じるとは思えない。

 その証拠に、シュラークは大きな声で笑い始めた。


「あはは!! 何を馬鹿な事を!? ここに残っているのがレティシアならともかく、勇者アレスの腰ぎんちゃくと武闘家崩れの治療師だろう? そんな雑魚に私が負けるとでも思っているのか!?」

「何を言うの? 貴女には戦闘能力は無いでしょう!? ベアトリーチェに強化されても私程度に勝てないくらいなのよ!!」


 確かに私達とシュラークではかなりの強さの差がある。単純にレティシアに鍛えられたかどうかなのだが、これがかなり大きい。

 それに、実際に目の前のシュラークからはそこまでの強さを感じない。だが、嫌な魔力を感じるのもまた事実だ……。

 ん?

 シュラークの背後に黒い霧が……。

 黒い霧から計り知れない恐怖感を感じた。


「あ、アレは何だ!?」


 霧はロブストが倒していたゴーレムのような形の鎧になっていく。


「くくく……。これは私の鎧だよ。来い!! 鎧魔王グラーズ!!」


 ぐ、グラーズ!?

 その名はレティシアが倒したと言っていたゴブリン魔王の名じゃないのか!?


 黒い鎧(グラーズ)はバラバラになり、シュラークの体の周りに移動する。そして、足元から順にシュラークの体に装着されていく。最後に兜……、いや頭を装着した。

 

 鎧魔王(グラーズ)を装着したシュラークの目は真っ赤な一つ目になっていた。背中には大きな斧を二本背負っている。

 しかも、アレの本体はシュラークのはずなのに、体が一回り大きくなっている。


「我が名は、鎧魔王シュラーク・グラーズ。ベアトリーチェ様の命により、グローリア、貴様を殺させてもらう。その前に、勇者アレスを殺させてもらう。まずは腰ぎんちゃく共、貴様等だ!!」


 シュラークは、背中の大斧を左右の手にそれぞれ持つ。ロブストもイラージュもその異様さに警戒して、戦闘態勢になる。

 私はロブストに身体強化魔法をかける。この魔法はロブスト自身の【身体超強化】と共鳴して、爆発的に強くなる事が出来る。

 私も【魔力超強化】を使っておく。ここからは人外の戦いになるだろう。

 【身体超強化】も【魔力超強化】も使えないイラージュやグローリア陛下ではついてこれないかもしれない。


「ロブスト!! しばらくすればアレス達が異変に気付き戻ってくる!! それまで時間を稼ぐぞ!!」

「あぁ!!」


 私もロブストも自分の力を把握している。目の前のシュラークとまともに戦う事は出来たとしても、倒しきれるとは思ってはいない。

 だからこそ、俺達の勇者であるアレスを待つ。


「グローリア陛下!! アレスを早く呼んできてくれ!!」


 私はそう叫び、自身が使える雷魔法の準備を始める。

 レティシアが言うには、グラーズや機械兵には雷魔法が有効と言っていた。だが、それは体の中まで鉄で出来た場合だ。目の前のシュラークは生身。雷魔法が効くのか?

 いや、考えていても仕方ない!


「ロブスト! 牽制に魔法を使う! 当たらないよう努力してくれ!」

「了解!!」

「ライトニング!」


 私が天に手を上げると、シュラークの真上に黒雲が生まれ雷を降り注ぐ。

 しかし、シュラークは避けようとしない。まるで、この程度の魔法、避ける必要もないと言っているようだ。

 だが、それだけなわけがないだろう!!


「ライトニングランス!!」


 私が追加で使用した魔法は、雷を一点に集中させ敵の頭上に突き刺すように落とす魔法だ。この威力ならば!!


 しかし、シュラークはライトニングランスを避けて私に襲い掛かる。

 チッ!!

 でけぇ図体の割に動きが速い!! 

 だが、後ろ(・・)を気にしなくていいのか?


 シュラークの背後には、ロブストが(ライトニング)を大槌に纏わせて頭を叩き潰そうと振り下ろそうとしていた。

 シュラークはロブストに気付きはしたが、流石に反応しきれずにロブストの振り下ろした大槌をもろに喰らってしまう。


「おらぁああああ!!」

「ぐっ!!」


 そ、そのまま叩き潰せ!!

 しかし、シュラークはロブストの大槌を押し返していく。


「な、なんて力だ!!」

「ロブスト!!」


 私は魔法を使いシュラークの背後から攻撃をしようとするが、その時シュラークの背中の鎧が蜘蛛の足の様に展開し、私の体を突き刺す。


「がっ!?」


 さ、刺された瞬間に毒を注入された!?

 ち、力が抜ける……。


「さ、サジェス!! お、おおお!!」


 ま、不味い、ロブストが力負けしている。

 あ、アレス!!


 その時、ロブストの体が誰かに引っ張られた。そして……。


「俺の仲間に何してくれているんだ!!」


 私達の勇者の聖剣の一閃がシュラークの胴を薙ぎ払った。

 

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