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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

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42話 ゴスペルヒールの効果


 体が復元されたシェンは、グローリアさんに連れられ服を着に一旦執務室を出ます。

 私や年齢だけはお婆さんであるジゼルはともかく、エレンはうら若き乙女なので、すっぽんぽんでいられると困りますからね。


 しばらくすると、グローリアさんと服を着たシェンが戻ってきました。


「さて、聞かせてもらおうか……。シェン、一体何があった?」

「はい……。実は、陛下からグランドマスターの事を調べろと言われた一週間後には、グランドマスターに捕まっていたんです」

「そ、そんな馬鹿な。お前は、数日前まで報告をくれていたではないか!?」


 ふむ。

 グローリアさんの性格上、かわいがっていたシェンと連絡がつかなくなった時点で、私かリーン・レイに調査を依頼しそうですからね……。

 しかし、シェンが言うには、グローリアさんに報告などしていなかったそうです。


「つまりはグランドマスターがグローリアさんに都合のいい風に報告を入れていたという事ですか?」

「いや、グランドマスターの不正の証拠などの報告もあった……。もし、都合がいいよう見せるのであれば、グランドマスターの善行ばかりを報告すればよかっただろう?」

「いえ、それはありませんね」

「なに?」

「もし、善行ばかりを報告されていたら、グローリアさんはシェンに何かあったと思うんじゃないですか? グローリアさんはシェンにグランドマスターを探れと言っていたんですから……」


 それを知って不正の証拠をグローリアさんに漏らしていた?

 ベアトリーチェはいったいどうしてそんな事を?


「シェン、他には何かを思い出せないか?」

「あ、はい……。頭だけにされた時、死んだと思っていたんです。でも、意識は常にありました……。しかし、しゃべる事もできませんし、動く事すらできません。唯一出来たのは見る事と聞く事だけでした……」


 ふむ……。

 五感のうち、聴覚と視覚だけを奪わなかったというのですか……。

 つまりは何かを見せる為……。

 そして……。


「忌み子ちゃん。シェンに【再生】を使ってみてくれないかい?」


 はて?

 別にシェンは操られているわけでも、壊れているわけでもないのに、どうして【再生】なのでしょう?


「ジゼルさんは、シェンさんに何かが仕込まれていると思っているんだね……」

「あぁ……。おそらくシェンはグランドマスターに体と頭をいじくられている。今だって、何かを仕込まれているかもしれない……」


 確かに……。

 でも、シェンがここに送り込まれた時、頭だけだったのですから、体が再生した今、何も問題ないのでは?


「ジゼルさん。シェンさんは元に戻っているはずだよ」

「なんだって?」

「ゴスペルヒールには、部位欠損までも回復させる治療魔法なんだけど、ベックさんが私がゴスペルヒールを使っているのを見て、「この魔法には、解呪の効果もあるわね」って言ったんだよ」


 どうやら、その後詳しく調べてみると、本当に解呪効果もあったらしく、病気ですら治しきったそうです。

 つまり、ゴスペルヒールという魔法は、本当に完全治療魔法だという事が分かったみたいですね。

 しかし、ジゼルは「おそらくだけど、完全治療魔法として使えるのはエレンちゃんだけだろうね」と言います。

 ジゼルが言うには、オリビアさんやセラピアさんが使うゴスペルヒールでは病気までは治せないそうです。


 ふむ……。

 やはりエレンは特別な聖女だったという事ですね。

 でも、エレンのゴスペルヒールを見ただけで解呪効果まであると気づいたベックさんも凄いですね。あの人は、聖女と言ってもアブゾルに気に入られただけの女性ではないのですか?

 エレンからベックさんの事を聞いてみると、ベックさんは私達が思っている以上に優秀だったみたいです。

 まぁ、見抜くというくらいですから、【神の眼】でも持っているのかもしれませんね。


「リディアさんと一緒なのでしょうか?」

「【神の眼】かい? それは無いだろう……。もし、聖女ベックに【神の眼】があるのであれば、アブゾル様が気付くはずだよ。気付いていないところを見ると、持っていないんじゃないかな?」

「はて? アブゾルは私の【神の眼】に気付いていませんよ?」

「それは、忌み子ちゃんが巧妙に隠しているからだろう?」


 まぁ、隠していたのは隠していましたが……。

 エルジュ様に気付かれると厄介な気がしましたから、隠しました。

 まぁ、アブゾルには気付かれてもおかしくないと思っていましたが、先にジゼルに気付かれると思ってはいませんでした。


 結局、これ以上シェンに話を聞いても何も分からないみたいなので、ゆっくりと休んでもらう事にしました。

 シェンは肉体を一度失っているので、体は物凄く弱っているらしく、しばらくは鍛え直さないといけないみたいです。


 シェンを宮廷治療師に任せて、私達は話を続けます。


「レティシア、ベアトリーチェがいるアブゾールに入る事は不可能か?」

「うーむ。アブゾルが危険と言っていたので、試していないので分かりません。ですが、この世界の神であるアブゾルが自身の肉体を使ってまで作り上げた結界ですから、簡単に抜けられると思えません。


 表向きはそう言いますが、そろそろベアトリーチェと決着をつけたいですから、試してみましょうか……。

 

「入れるかどうかは分かりませんが、私が一度アブゾール跡地に行ってみます」

「無理を言っているのは分かっているが、危険な事はするなよ。無理だと思ったら、素直に帰ってこい」

「分かりました」


 話が終わり私達が転移しようとした瞬間、一人の兵士が執務室に飛び込んできました。


「陛下!! ギルド学校が謎のゴーレムに襲われています!!」

「なんだと!?」


 謎のゴーレム?

 もしかして……。

 ジゼルも同じ事を思ったらしく、私を見て頷きます。

 聞くだけ聞いてみましょう。


「あの……。そのゴーレムというのは、鉄の鎧をつけていましたか? 黒い鎧です」

「いえ、鎧は緑でしたが、リビングアーマーのような姿でした」


 リビングアーマー?

 それは鎧なのでしょうか?


「忌み子ちゃん。リビングアーマーというのは魔物の一種だ。鎧に悪霊が宿った魔物で、そこそこの強さだ……。だがギルド学校を襲っているのは、リビングアーマーじゃなくて機械兵だろう」


 機械兵。

 グラーズの仲間……、いえ、同型なのでしょうか?


 どちらにしても、ギルド学校が襲われているのでしたら、壊しに行く必要がありますね……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 変わっていくものと、変わらないもの…最初期からレティシアの前をちょろちょろしていた(立ちはだかった、とはとても言えないので)マイザーが滅びて新生したと思ったら、これまた最初期に触れられてい…
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