表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

283/325

39話 エラールセと敵対?


 牢に入れられたマイザー王は、この扱いに不満があるらしく、鉄格子を掴み、ガタガタと揺らしていた。

 いつもの偉そうな格好はそのままで、顔は怒りで真っ赤に染まり、私達に怒鳴り散らしている。


「えぇい!! ここから出せ!! ラロ!! 貴様、ワシを裏切るのか!?」

「だから、さっき言ったでしょう? 私は元々貴方達の敵だったと……」

「な、なにぃ!?」


 それに、今こいつを外に出したら、ここに居る冒険者に殺されるか、マイザーの国民に殺されるだけだというのが、分からないの?

 いえ、分からないのでしょうね……。


 私は、いつまでも騒ぐマイザー王にイラっときて、牢の鉄格子を思いっきり蹴った。

 鉄格子は少しだけ、曲がってしまう。


「ひ、ひぃ!?」

「うるさいわね……。黙っていないとここで殺すわよ?」

「ひぃいいいい!! こ、殺さないでぇええええ!!」

「ふん……」


 この程度の脅しでビビっている奴が、王だなんて……。本当に情けないわね……。


 私は冒険者にマイザー王の見張りをお願いして、グローリア陛下に連絡を入れようと牢から離れる。

 私の姿が見えなくなった瞬間、冒険者に対し「お、おい。お前をワシの護衛騎士にしてやる。だから出せ!!」と聞こえてきた。

 本当に……、馬鹿じゃないの……。


 そう言えば、レティシアちゃんはどこに行ったのかしら……。

 そう思っていると、レティシアちゃんがグローリア陛下を連れて地下に下りてきた。


「よぅ、ラロ。ご苦労だったな」

「え!? ぐ、グローリア陛下!?」

「「え!!?」」


 私がグローリア陛下の名を叫んでしまうと、冒険者達の視線が一斉にグローリア陛下に集まる。

 エラールセのグローリア陛下の武勇伝は冒険者達の中でも有名なので、一部冒険者達からすればグローリア陛下は憧れの的だ……。


 しかも、グローリア陛下は王族。ただの冒険者では滅多に会う事は出来ない……。

 まぁ、私はグローリア陛下にクーデターを起こすように言われたから、陛下がここに居ても緊張まではしないけど……。


「グローリア陛下……。レティシアちゃんに先行させていたのね……」

「ラロ、済まなかったな……。お前達の事を信用していないとかそんなんじゃなかったんだ……。ただ、俺がレティシアに依頼したのは、万が一お前達が死なないように、先にある程度(・・・・)の戦力を無力化しておいてくれと言ったんだ……。だが、まさか、兵士を全て殺し尽くすとは思わなかった……」


 なるほど。

 グローリア陛下にしては過激な依頼をしたものだと思っていたけど、兵士の皆殺しはレティシアちゃんの独断だったというわけね……。

 でも、死んだこの国の兵士には悪いけど、彼等に生きていられても、冒険者の国を作ろうとしている私達にとっては、兵士の存在は迷惑で邪魔になるだろうから、ある意味この結果はありがたいわね……。


「ラロ。今後の話をする前に、お前が王としてマイザー王を処刑しろ。俺が絡んでいる事は表に出さん……。ただ、今回、レティシアによりマイザーの兵士が全ていなくなってしまった。もし必要なら、エラールセから兵士を派遣するぞ」


 ふむ……。

 確かに今後の事を考えれば、エラールセから兵士を派遣してもらった方が、良いと思うのだけど……。


「いいえ、それは断るわ。しばらくは混乱すると思うけど、この国を冒険者の国にしたいの……。もし、エラールセの兵士をこの国に送り込めば、グローリア陛下が私に命じてマイザーを落としたと思われかねない。それに、周りの国が黙っていないわ」

「あぁ……、しかし、兵士が一人もいないのは不味いんじゃないのか? 国の治安の維持も冒険者がやる事になりかねん……、いや、間違いなく冒険者にやってもらわなければいけないだろうな……」


 そうね。

 マイザー王国がどれだけお金をため込んでいるかは分からないけど、しばらくは治安維持のために冒険者を雇わなければいけないかもしれないわね……。


「良い案がありますよ」

「え?」


 レティシアちゃんが言う良い案?

 何か恐ろしい案を言ってきそうな気がするんだけど……。


「リーン・レイからオリビアさん一行を派遣すればいいんです。ダインさんやビックスさんも、Aランクになっていますから、タロウほどではないかもしれませんが、かなり強いので役に立つと思いますよ? 依頼料はエラールセが払えばいいんです」

「エラールセがだと?」

「はい。兵士を派遣すればグローリアさんが関わっているのがバレてしまいます。でも、裏からお金を送れば……、いえ、リーン・レイに報酬という形で支払えば、お金での支援は可能なはずです。マイザーの冒険者もお金があれば、治安維持の依頼を受けるでしょう?」

「た、確かに……」

「もし、それでも不安だというのであれば、ギルガさんに相談して、しばらくの間、私かドゥラークさんがマイザーを拠点にしても構いません」


 え?

 随分とまともというか……、どう考えてもマイザーにとって利しかない案じゃないの……。


 グローリア陛下も腕を組んで考え込んでいる。

 この話……、マイザーにはかなり利がある。でも、エラールセや、リーン・レイにとっては何も利がない。

 いえ、リーン・レイには報酬としてお金は入るだろうけど、あくまでそのお金はマイザーに対する支援だ……。多くは取れないだろう……。

 特にエラールセにとっては、本当に何もない。


「レティシア、この話、俺も受けるぞ」

「え!? グローリア陛下……。この話はエラールセにとって何も利は無いのよ?」

「いや、利ならあるさ。エラールセにとっても、マイザーという国は目の上のたんこぶの様に鬱陶しい存在だった……。でもな、お前が王になってくれれば……、いや、お前は俺と敵対するか?」


 エラールセと敵対ね……。

 そんな馬鹿な事を考える奴っているのかしら……。

 エラールセ軍だけなら、Aランクを数名とBランクの冒険者を集めれば、まともに戦う事が出来るかもしれないわ……。

 でも、グローリア陛下が前線に出てきただけで、間違いなくこちらが負ける。

 Aランクにも私達に匹敵する者もいるかもしれないけど、私でもグローリア陛下に勝てるか? と聞かれれば、勝てないと答えるわね。

 しかも、運よくグローリア陛下を倒せたとして、今度はエスペランサが黙っていなくなる……。

 魔国エスペランサも新しい四天王が就任してから、一気に強国として名を馳せたと聞く。

 そんな国々と立て続けに戦う事なんて……、できるわけがないわね……。

 それに、そんなモノが全て霞んでしまう存在が……。


 私はレティシアちゃんを見る……。


「はて?」


 無いわね……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ