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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
最終章 神殺し編

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26話 グランドマスターの失墜

誤字報告、いつもありがとうございます。


 私達に襲い掛かろうとする冒険者達と、迎え撃とうとしている私達の間にドゥラークさん達が立ちます。

 カンダタさんは冒険者達を睨み、ドゥラークさんは私達のところに歩いてきました。


「レティシア……、ジゼル、今は抑えてくれよ」


 ドゥラークさんにそう言われたので、素直にいう事を聞きます。

 まぁ、相手が向かってこないのであれば、殺しはしませんが……。


 冒険者達も、カンダタさんを見て「お、おい。アレってシンマスターじゃ……」「セルカのギルマスだ……」などと小声で話しながら、戸惑っているようでした。


「どうしてマイザー王国(ここ)に、ドゥラークさん達が?」

「お前らが心配だったのと、カンダタのおっさんの準備(・・)ができたからな……」

「準備?」


 ドゥラークさんは、私とジゼルに紙の束を渡してきました。何やらいろいろ書かれているみたいです。


「ドゥラークさん。これは?」

「カンダタのおっさんが、シンマスターになってから調べ上げたグランドマスターの行ってきた事だ……」


 ジゼルはこの調書を読み、「ここまで調べるなんて……」と驚いていました。


「これを使って、カンダタさんは何をしようと?」

「まぁ、見ていればわかるさ」


 ドゥラークさんがそう言うので、カンダタさんを見守る事にしました。

 もし、ベアトリーチェがカンダタさんに攻撃をしてきたら、止めなくてはいけませんね……。


 カンダタさんに睨まれて動けなくなった冒険者達をかきわけ、ベアトリーチェがカンダタさんの前に立ちます。


「やぁ、カンダタ君。久しぶりだね。最近は私の召集を無視しているみたいだけど、君はシンマスターだろう? その君が、どうしてグランドマスターである私に逆らうんだい? 君はいつからそんなに偉くなったんだい?」


 ベアトリーチェは、威圧感を込めてカンダタさんに質問しています。

 しかし、カンダタさんは気圧される事もなく堂々とベアトリーチェを睨みます。

 しかし、すぐに目を閉じ笑みを浮かべます。


「そうだな。あんたは確かにギルドで一番偉い」

「そうだろう? それだったら……」

「だが、あんたに反発心を持っているギルド職員も多いんだぜ。あんたはそれを知りながらも、改善しようとするでもなく、力と脅迫で押さえつけているんだろう?」


 カンダタさんは腕を組み、目を開きベアトリーチェを再び睨みつけます。


 ふむ……。

 ベアトリーチェは仮面をつけていますが、多少苛立っているみたいですね。


「何を根拠にそんな事を言っているのかな? 私としては、私に対する不満などに真摯に向き合っているつもりだがね」

「真摯に向き合っている? 現に今やっている事は何なんだ? ギルドの長が自分の妄想(・・・・・)だけで、冒険者(レティシア)を犯人扱いしているだろう? 尚且つ、確実な証拠も出していないのに、他の冒険者にレティシアを襲わせる理由は何だ?」

「くくく。何を言っている? 私は、妄想で話をしているんじゃなく、確信を持って言っているんだよ?」

「なら、証拠はあるんだよな?」


 カンダタさんの言葉に力がこもります。

 しかし、ベアトリーチェは証拠を出そうとせずに「証拠など必要ないだろう?」と言い始めます。


「ギルドにとっては、神に等しい私がそう言っているんだ。それ以上の証拠など無い」


 はて?

 これは何を言っているのでしょうか……。

 学の無い私でもそう思った様に、カンダタさんもそう思ったのか、とても呆れた顔をした後、大声で笑いだします。

 そんなカンダタさんの姿を見て、ベアトリーチェは不機嫌そうな雰囲気を醸し出します。


「何がおかしい?」

「周りを見てみろよ。あんたは自分を神だとそう思っているんだろうが、周りはそう思っていないみたいだぜ」


 カンダタさんの言うように、ベアトリーチェを見る冒険者達の目が少し冷たくなっているように感じます。

 それをベアトリーチェも感じたらしく、怒りの波動を少し放ちます。

 カンダタさんは、ベアトリーチェに調書を投げつけます。


「なんだ、コレは?」

「あんたにとって面白い情報が書いてあるぜ」

「なに? ……、こ、これは!?」

「あんたが行ってきた不正の数々だ。さすが、数百年分だ。謝罪程度じゃ挽回できないくらいのな……。それを見てどう思う?」


 ベアトリーチェの肩が少し震えた後、平然と調書を魔法で焼きます。


「これがどうかしたのかい? ギルドは私の組織だ。私のする事はすべて正しい……」


 ベアトリーチェの言い訳が苦しいモノになっていますね。

 しかし、カンダタさんは呆れ返った顔をしていました。そして、もう一枚の紙を投げつけます。


「あんたがどう思っているかは知らんが、それが、あんたが今まで私利私欲の為に行ってきた事に対する、世界各国の反応だ。あんたは世界から必要とされていない(・・・・・・・・)んだよ」


 その紙を見たベアトリーチェの肩がさらに震えだします。

 自分を神だと思い込んでいたベアトリーチェからすれば、これは屈辱でしょう。

 しかし、以前に出会ったベアトリーチェには、煽り耐性はもう少しあったと思うのですが、分裂した別個体によって変わりがあるのでしょうか……。

 と思っていると、ベアトリーチェが自分の仮面を殴り付けます。

 そして、仮面が砕け、傷だらけの顔が晒されます。


「くくく……、あはは……、あーはっはっは!! 全く愚かな連中だ!!」


 ベアトリーチェは抑えていたであろう神気を解放させます。それと同時に顔の傷が消えていき、見慣れたベアトリーチェの顔が現れました。

 そして、金色の羽を広げ、一気に空に浮かび上がります。

 ベアトリーチェの周りには、何本もの光の剣。

 それを一斉に、降り注がせました。


 いけません!!


「穏便に済ませてやろうと思ったが、もういい。回りくどい事はもうやめだ!!」


 降り注ぐ光の剣が冒険者に襲い掛かります。

 上位のランクの冒険者達は何とか避けたり防いだりしていますが、低いランクの冒険者は光の剣により次々と殺されていきます。


「貴様らの様な雑魚でも少しくらいは足しになるだろう!!」


 ベアトリーチェが手を空にあげると、死んだ冒険者達が浮かび上がり、ベアトリーチェの掌に吸い込まれていきました。


「な!?」


 ドゥラークさんが死にかけの冒険者を助け出します。

 カンダタさんも、冒険者達を避難させようとしていました。

 私も……。


「忌み子ちゃん。冒険者達は私達が何とかする。だから……」

「レティシア、俺達だけで大丈夫だ!! グランドマスターを倒せ!!」


 そうですね。

 アレを倒すのが私の役目です。


「はい」


 私はファフニールを取り出します。

 そんな私を見て、ベアトリーチェが睨みつけてきます。


「全く忌々しい小娘だ!! お前はここで死ね!!」

「いいえ、貴女が死んでください」


 私はベアトリーチェに斬りかかりました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] タロウ、ラロ姐さんとの出会いですっかり成長して…“彼女”の元へ行く覚悟を決めたようですね、その結末を見届けるとしましょう…。 そして、スミスさんは救出されグラマスは失墜…下手にベアトリーチ…
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