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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
6章 教会編

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26話 不死鳥の剣


 私の目の前にいるのは、銀色の鎧のような体を持つ人形……。アマツは機械兵と呼んでいました。


 ケンに聞きましたが、レティシア様を追い詰めたゴブリン魔王と同じ作り物だと……。

 ゴブリン魔王よりは劣るとはいえ、勝てるでしょうか……。


 いえ……。弱気ではいけませんね。

 絶対に勝つんです!!


 私は一度普通(・・)に斬りかかってみます。

 例えば、あの銀色の体が普通の鉄だとすれば、関節は柔軟性のある別の素材かもしれません。

 柔軟性のある部分ならば、もしかしたら斬れるかもしれません……。そう思っていましたが、思っている以上に硬度があるらしく、弾かれてしまいました。


「くっ……。やはり、硬いですか……。関節なら斬り落とせると思ったのですが……」


 レティイロカネであれば、ただの鉄くらいなら、技術がなくても斬れそうな気がしたんですが、やはりちゃんと作られたものは斬れないのでしょうか……。それに関節部分。柔らかいように見えて硬いです。


 これが機械兵……。

 仮に、こんなモノが敵国の兵士として配備され、エラールセに攻め込んでくれば、普通の兵士では太刀打ちできないでしょう。

 そう考えれば……、これを作った人は恐ろしいモノを作ったものですね……。


 しかし、こちらが攻撃したのに、反撃をするそぶりも見せないとは……、いえ、反応が鈍いのでしょうか?

 全身が鉄のような重い素材で作られているのであれば、速く動けないのも理解はできます。


「ぎぎぎ……!!」


 な!?

 一瞬で間合いを詰めてきた!?

 動きが遅いと決めつけていたから、反応が遅れた!?


 私は機械兵の攻撃を剣を受け止めます。

 お……重い……。

 鉄で出来ているのなら、攻撃が重いのは予測できたのに……、これは悪手でした……。


 私は、機械兵の剣を無理やり逸らせ、一度離れます。


 動きも速く、攻撃も重い……。

 もしかしたら、大罪よりも……。いえ、私が戦った大罪は、弱すぎました。

 私が戦った一番強かった相手……。

 ソレーヌ姫ですね。


 彼女も強かったですが、機械兵はそれ以上の強さです。

 できれば美徳は使いたくないのですが、このままではアテナの刃がかけてしまうかもしれませんから……。


「【堅固・勇気・不死鳥】」


 不死鳥の炎が私に纏わりつこうとしています。これをアテナに纏わせる……。

 アテナに意識を集中して、炎を……。

 

 私は刃に炎が纏うように意識を集中させます。


「……!?」


 剣に青い炎が纏わりついている……。

 これなら……。


 斬れるはずです!!


「たぁ!!」


 機械兵は私の攻撃を腕で受けようとしている。でも、今度はさっきとは違う。

 一気に振り下ろした剣は、機械兵の腕を斬り落とせました。


「き、斬れた!!」

「ぎ……が……!?」


 機械兵は腕が落とされた事に驚いたのか、一気に距離を取るようです。

 これは意外です。

 作り物なので、痛みはないでしょうし、腕が斬れたとしても逆の腕があるので反撃ができたはずです。

 

「作り物の分際で退くという選択肢もできるのですか!?」

「ぎ……」


 機械兵は残った手をこちらに向けて広げています。

 掌に穴が開いていますね……。

 一瞬赤くなった気が……。


 そう思った瞬間、掌から炎の球が飛び出してきました。


「ま、まさか、魔法!?」


 私は炎の球を避けますが、機械兵は次々と炎の球を撃ってきます。


「迂闊に近づけない……」


 この炎の球は、魔法じゃないのか、魔力を感じません。

 

 しばらく炎の球を避けていたのですが、一瞬だけ地面に落ちている石に足を取られてしまいました。


「ぎ……」


 し、しまった!?

 

 気付いた時には、私に無数の炎の球が襲い掛かっていました。


「ぎがぁあああああ!!」


 機械兵は今も炎の球を撃ち続けています。

 ど、どうすれば……。


 いや……。考えるまでもないです。

 襲ってくるのは炎。

 私の剣の属性も炎。


 お互い炎です。

 こちらの方が熱量が上ならば……。


「あぁあああ!!」


 私はアテナを思いっきり薙ぎ払います。

 すると、私の斬撃が不死鳥の姿となり、炎の球を飲み込みながら、機械兵に襲い掛かりました。


「こ、これは!?」


 何が起きているか分かりませんが、これだけでは、倒せないかもしれません。

 私自身も、斬りにいかなければ!!


 機械兵が青い炎の不死鳥に構っている間に、私は機械兵を斬る事の出来る範囲に入ります。


「たぁ!!」


 私は機械兵の残った腕を斬り落とします。


「ぎ……」


 これで炎攻撃は封じました。

 しかし、これでは決定打になりません。

 何とか倒す方法がないでしょうか……。


 その時……。

 

「カチュアさん! どこかに魔力のような物を溜める箱があります。アマツは動力炉と言っていました!」

「箱……」


 機械兵を外から見る限り、箱のようなモノはありません。

 という事は……、生物で言えば、内臓ですか……。

 心臓の位置……。


 私は機械兵の胸を突きます。

 しかし、そこには箱らしきものは……ない!?


「ここじゃないの!?」


 機械兵は、起き上がろうとしています……。

 もし起き上がられたら、箱を探せません。

 ど、どうする!?


 そ、そうだ!!

 いっその事、内部から焼き尽くせば!!


 私は突き刺した剣を一気に払い、不死鳥を発生させます。

 すると機械兵の右肩の銀色の鎧がはがれ、内部がむき出しになりました。

 

 ……!?


 右胸のところに黄色く光った箱があります。

 アレか!!

 

 私は箱に剣を突きます。すると、機械兵は一瞬ビクっとなった後、力をなくしたようにその場に崩れ落ちました。

 

「か……勝てた……」


 アマツはグラーズよりも弱いと言っていました……。

 でも、この機械兵は、今まで戦った誰よりも強かった……。

 これを、ベアトリーチェが作り出しているとしたら……。


「本当に恐ろしい相手かもしれませんね……。もっと強くならないと……」


 私は動かなくなった機械兵を見下ろして、そう呟きました……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 明らかに私たちの世界のロボット技術を上回る存在をファンタジー世界にぶちこんでくるベアトリーチェ…レティシア一行以外だったら大惨事ですね。 まあ、そこはレティシアに鍛え上げられた彼女の身心共…
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