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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
6章 教会編

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23話 レティシアの師匠


 しかし、あれですね……。

 先ほどから、人を無能や異常など、酷い事ばかり言われています。

 ここは一つ釘を刺しておきましょう。


「さっきから、人の悪口ばかり言って酷い人達です。謝ってください」

「本当です。レティシア様に謝ってください」


 私が謝罪を要求すると、カチュアさんも一緒に謝罪を要求してくれます。

 しかし、エレンは私達……、というよりもカチュアさんに呆れた顔をしています。


「か、カチュアさん……」


 ジゼルは私達二人を見て溜息を吐きます。あ、これは失敗しましたか?


「済まないが、今は茶化すのを止めないかい?」

「むぅ……。はい」

「くっ……。新参者のくせに……」


 まったく冗談の通じない人です。カチュアさんもきっと同じ気持ち……、アレ? もしかして、カチュアさんは本気で怒ってくれていたのですか?

 嬉しいです。

 逆にエレンは酷いです。私達を見て、呆れて笑っているようです。


 さて、アマツとジゼルの話にでも耳を傾けますか。


「レイチェルがあのような殺され方をしたんだ……。アマツ(お前)が言うように、忌み子ちゃんに特別な力があるのならば、母親の死と、町の人間に対する恨みによって、タガが外れる事もあるだろう。私もあくまで人から聞いた話だから実際に見ていないのだが、忌み子ちゃんが異常なまでの強さを見せたのは、カススの件があった後だろう?」

「まぁな……。だが、カススの町ではレティシアはまだそこまで狂暴になっていない。現にあの町でのレティシアは炎系の魔法しか使っていない。これは本人に聞いた方がいいな。レティシア、なぜだと思う?」


 あの時の事ですか……。

 確か、お母さんが殺されて、町の人間も死ねばいいと思ったんです。

 近くの建物が燃えていたから、町の人間も燃やそうと思ったと思います。


「町が燃えていたから燃やそうと思いました」

「なるほどな。普通の人間であれば、炎を見ても炎魔法は使えない。だが、お前はそこで学習(・・)したんだ。炎で建物が燃えている……。こんなに大きな物でも燃えるのだから、人間も燃やせると……」


 あぁ……。そう考えればそうかもしれません。


「そもそも、あの時のお前と今のお前では物の燃やし方が違うだろう?」

「そうですね。今は何も残さないように燃やし尽くします」


 そもそも、焼き尽くすようにしたのは、盗賊の死体が邪魔だと思ったからです。


「確かに、出会った頃のレティは、私が教えた事はすぐに覚えて、私以上にできるようになっていたね」

「ぐぬぬ……。私の知らないレティシア様の話をするとは……」


 エレンはなぜか胸を張り、カチュアさんはなぜか悔しそうです。


「そういえば、忌み子ちゃんは戦い方を誰かに教えてもらったのかい? 盗賊を殺して生計を立てていたのは知っているが、ソレーヌやタロウとの戦いを見る限り、忌み子ちゃんは最低限の剣技を覚えていたように見えた。もし、学習したというのであれば、剣技を扱う者に師事していない限りは、ああは戦えないと思うのだが?」

「私に戦い方を教えてくれた人はいますよ」

「「え!?」」


 私がそう言うと、カチュアさんとジゼルが驚いていました。

 アマツは私の中にいたのですから知っていて当然ですし、エレンにも彼女(・・)の事は話してあります。


「あぁ、昔言っていたね。確か、十日間だけ魔物の殺し方を効率よく教えてくれたと聞いたよ」


 そうです。

 あの人は、人間の殺し方や剣技を教えてくれたのではなく、魔物を効率よく殺す方法を教えてくれました。


「わ、私の知らないレティシア様を……」


 はは。

 それは仕方ありません。

 カチュアさんとはファビエで初めて出会ったのですから。でも、私にとってカチュアさんは最も大事な人の一人です。


「忌み子ちゃんに師匠のような人がいたなんて、驚きだね」

「ど、どんな人だったんですか!?」


 どんな人……ですか。

 うーん。


「名前は聞いていないので知りません。容姿は、私と同じ黒く長い髪の毛で、十六歳くらいの女の人でした。あ、胸は小さかったです。あの人は、エレンが言っていたように、効率のいい魔物の殺し方を教えてくれました。ですが、最初は魔物だけを狩っていたのですが、盗賊の方がお金を持っていると知ってからは、盗賊も狩り始めました。盗賊も魔物も同じように殺せたので良かったです。私が感謝して尊敬している人の一人です」

「はは……。きっと教えてくれた人は、盗賊を狩りだすとは思っていなかっただろうね……」

「はて?」


 盗賊も魔物も同じような生物だと思うのですが、何がいけないのでしょうか?


「アマツ……。忌み子ちゃんの言っている女を知っているかい? おそらくだが、神族だと思うんだ……。いや、根拠があるわけではないんだがね……。何か心当たりはないかい?」

「ある……。レティシアがその女に師事していたころは、そこまで表に出てこれなかったが、確かに神気は感じた。今の特徴を聞いて、アマツの記憶をさかのぼる限り、ここ千年で生まれた月の女神と一致している。私も直接戦ったわけではないが、神族の中では上位の強さと聞いたのを覚えている……」


 あの人も神族だったのですか。

 そういえば、ヨルムンのお母さんも神族である可能性が高いです。もしかしたら、関係があるのかもしれませんね。


「そ、そうか……。忌み子ちゃんの戦い方を作り上げたのはその女神か……。余計な事をしたものだよ……」

「はて?」


 何が余計なのでしょうか?

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― 新着の感想 ―
[一言] はははは、カチュアさんはブレないなあw
[一言] 旧レティシア「呼びましたか?」
[良い点] 月の女神…あ(何かに気付いた顔)。 なるほど、言われてみればレティシアにしては温いですよね、焼くだけ燃やすだけって。変な学び方をしてたらその場で大陸滅亡一直線とかもあり得たわけか…こ、怖ッ…
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