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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
6章 教会編

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22話 鬼神の力と成長力


 アマツが精神体というのなら、私の特殊能力になったというのなら、まぁ、理解できます。

 しかし、アマツの口からは思っていたものとは違う答えが出てきました。


「私は精神体ではない。私はアマツの残留思念でしかない。本物のアマツの魂は今も神界に囚われている……」


 魂?

 アマツの精神体は今も神界にいるという事ですね。


「という事は、ベアトリーチェが持ってきたアマツの体には、スキルはなかったという事かい?」

「いや、そうではない。事実、今の私でも神殺しの力を使える。だが、肉体の一部を移植したからと言ってそんなに簡単に扱える能力ではない。【呪い】まであるからな」


 はて?

 私は使えますが、なぜでしょう?

 

「一つ聞いていいかい?」

「なんだ? ジゼル(お前)が一番私の事を知っているが、一番何も知らないのもお前だろう。私に答えられる事ならば、答えよう……」


 不思議な事を言いますね。

 一番知っていて、一番知らないですか……。

 というか、私達もアマツの事を何も知らないのですが?


「君が本物のアマツでなかったのならば、鬼神の【呪い】がなぜ起こる? なぜ、君の肉体の一部を埋め込んだ被検体達は死んだんだ? なぜ、忌み子ちゃんの祖母だけが死を免れたんだい?」


 確かにそれは気になります。

 ジゼルの話を聞く限り、【魔物寄せ】という特殊能力があっただけです。


「まさかと思いますが、【魔物寄せ】という能力があったからですか?」

「いや、忌み子ちゃん。さすがにそのスキルは……「その通りだ」……え?」


 アマツが言うには、【魔物寄せ】という能力の本当の効果は、魔物に好かれる……。魔物がこの能力を持つ者を仲間……もしくは家族、同族と思い込むらしく、【魔物寄せ】によって集まる魔物は、この能力を持つ者を守ろうとするそうです。

 そして、その力が【鬼神化】すらも、同族……。この能力を持つ者を能力と同じ【鬼神】と思い込む事から、呪いが発動しなかったそうです。


「アマツの説明は理解した。だが、疑問も残る。なぜ忌み子ちゃんは生きているんだ? 彼女には【魔物寄せ】のスキルはないはずだ」


 そうですね。

 私はそんな能力は持っていませんし、おばあさんやお母さんとは違い、【神殺し】の能力を持っています。


「確かにレティシアには【魔物寄せ】はない。それどころか、レティシアは本来は無能(・・)だ」

「無能とは……酷い事を言われてしまいましたよ」

「しかし、忌み子ちゃんの強さは異常だ。アマツ(お前)の力を使っているのは事実だろう? お前が助けたのか?」

「今度は異常と言われてしまいました」


 先ほどから、悪口を何度も言われているのですが、私の抗議の言葉も無視されていますよ?

 まぁ、冗談は置いておいて、もし私が無能だというのであれば、なぜ私は今まで生きてこれたのでしょう?

 それこそ、アマツが助けてくれていたのでしょうか?


「私は助けていないさ。今の【神殺し】の能力はすべてレティシア自身の力だ」

「なんだと? それでは忌み子ちゃんが無能だったと言ったのは嘘だったのか?」


 はて?

 意味が分かりませんよ。

 私が無能であれば、【神殺し】の能力も持っていないはずです。


「実はな……、レティシアは特殊能力だけを見れば、無能なんだ。だが、レティシアにはある恐ろしい能力(・・)があったんだ。それが成長力だ」

「成長力だと?」


 成長……ですか。

 成長力があると言われても、私の体は成長していないのですが……。


「【魔物寄せ】を持っていないレティシアは、本来は生まれてすぐに【呪い】により死ぬ予定だった。さっきも言ったが、【魔物寄せ】の能力を母親から受け継がなかった事で【鬼神化】に耐えられないはずだったからな……」

「耐えられないはず? でも、特殊能力がないのでしたら、死ぬのでしょう? 私は生きていますよ? 偶々生き残ったんじゃないんですか?」


 そうでもなければ、おかしいじゃないですか。

 

「いや、違う。レティシア(お前)はジゼルから話を聞いただろう? よく考えろ。ジゼルが実験に使っていた被検体の中に人間よりも丈夫な、魔族……、それに超越者である神族もいたんだぞ?」


 それが何なのでしょう?

 偶々でしたら、別におかしくないと思うのですが……。


「魔族はおろか、神族すらも耐えられない力に、人間の……しかも、生まれたばかりの赤子に耐えられると思うか?」

「……っ!?」

「いや、だから、私は生きていますよ?」

「そうだな……。お前は生まれたばかりの時に、鬼神()の力に自らの成長力で適応したんだ」

「はぁ……」


 自らの力と言われても、よくわかりませんね。

 そもそも、アマツの言う事は意味の分からない事が多すぎます。

 

「貴女は、私の中にいたんでしょう? それならば、貴女が原因なのでは?」

「それはない。私がお前の中に発現した……。いや、違うな。自我ははっきりしたのは、お前のタガが外れた瞬間だ」


 はて?

 タガとは何でしょう?


「そして、レティシアが本当の意味でタガが外れたのは、カススの町でレイチェルが殺された時だ」

「タガが外れた……だと?」


 お母さんが殺された時ですか……。

 確かに、あの事があるまでは、人を殺した事もありませんし、魔法も使った事はありません。

 そういえば……。


「貴女は私に何があったのかを説明できるのですか?」

「あぁ……」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 外の我々は度々指摘してきましたが…レティシアの真の強さは「相手の手口や異能を見抜く洞察力と推理力」、そして「戦闘中にそれに対応してしまう爆発的成長力」ですからね…。 つまり、レティシアは本…
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