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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
6章 教会編

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20話 鬼との対峙


 退屈な馬車の旅も 十日目になりました。

 馬車での旅は退屈で仕方ありません。ジゼルはそんな私達を見て、魔法の事や、色々な研究について教えてくれます。そのおかげで、馬車の旅が少しだけ、楽しくなりました。


 そして、その日の夜。

 私は眠りについたのですが、目が覚めれば、赤い私と会った真っ白な場所に立っていました。

 ふむ……。まだ肉体は寝ているんでしょうね。

 しかし、ようやく接触してきましたね。

 しかも、今回は私だけではなく、エレンやカチュアさん、それにジゼルも一緒ですか。


「あ、あれ? レティ? 私達、寝ていたよね?」

「レティシア様……。ここは一体……」


 二人は何が起きたか分からないようでしたが、ジゼルだけは落ち着いて周りを観察しているようでした。


「どうやら、アマツに呼ばれたみたいだね。忌み子ちゃんは当たり前として、エレンちゃんやカチュアちゃんもそれぞれ鬼神の巫女、鬼神騎士だから、ここに呼ばれたんだろうね」


 なるほど。

 確かにお二人のクラスは【鬼神巫女】【鬼神騎士】でした。

 だから、アマツに呼ばれたというのは、理解できました。


「では、ジゼル(貴女)が呼ばれた理由は何なのですか?」

「さぁね……。アマツとしては、彼女の遺骸を実験に使ったから、私を許せないんじゃないのかい? だから殺そうとしてくるかもね」


 確かに、私のおばあさんにアマツを埋め込んだのはジゼルです。

 しかし、アマツを殺したのも、連れてきたのもジゼルではありません。

 恨まれる必要がないのでは?

 どちらにしても、ジゼルを殺させるわけにはいきませんから、警戒しておきましょう。


 そう思っていたのですが……。


「そうではない……」


 突然、私の声が白い空間に響きます。

 当然、私は何も言っていません。私が振り返ってみると、いつの間にか赤い髪の毛の私の姿をしたアマツが立っていました。


「あ、赤い私です」

「ほ、本当だ……。レティの髪の毛を赤くして、年相応に成長していたら、こんな風になりそう……」

「赤い髪の毛で成長したレティシア様も美しいですが、今のレティシア様の方が私は大好きです」


 カチュアさんにそう言われて、少し複雑ですが、まぁ、嬉しいのでそれは良しとします。


「ところで、私とアマツ(貴女)が決着をつけるのに、どうしてエレン達もここに呼んだのですか?」


 赤い私は間違いなく強いです。今から、本気で戦うというのに、エレン達が戦いに巻き込まれたら大変です。

 アマツも私の姿をしているのでしたら、その辺をちゃんと考えてほしいものです。


 しかし……、赤い私は無表情で「私が呼んだわけじゃないぞ。お前以外の三人も無関係ではないと、無意識に判断したんだろうな。エレンは【鬼神巫女】、カチュアは【鬼神騎士】、ジゼルは【鬼神魔導士】だからな……」と言います。


 はて?

 エレンとカチュアさんのクラスは知っていましたが、なぜジゼルのクラスにまで、鬼神とついているのでしょうか?


「アマツ。それは何かの間違いじゃないのかい? 私は忌み子ちゃんよりも、この子の母親であるレイチェルを可愛がっていたんだよ。実際にこの子とは敵対していたからね。私がここにいるのは、アマツ()が関係しているんじゃないのかい?」

「いや、違うな。お前がレティシアと敵対していたのは知っているさ。本心(・・)で戦っていた事もな。だが、お前はレティシアの為に戦っていたんだろう?」


 本心?

 という事は操られていなかったのですか?

 しかし、私の為とは何でしょう?


「どうなのですか?」

「こればかりは私は言うつもりはないよ。あの時の私は、忌み子ちゃんを殺そうとしていたからね。それでいいだろう?」

「はぁ……」


 まぁ、ジゼルが言いたくないのであれば、それ以上聞くのも野暮でしょう。


「それと、お前達は先ほどから私をアマツと言っているが、私は本物のアマツではない。だから、私がジゼル(お前)を呼んだわけじゃない。ジゼル、お前がここにいるのは、レティシアを大事に思っているからだ。そして、レティシア。お前の本当の力は【神殺し】じゃない」


 まぁ、それはこないだの赤い私との対峙で知ってはいますけど……。


「前にこの力は貴女のものだと言っていましたね。では、【鬼神】ですか?」

「それも、違う。【鬼神】は、元々私の精神体だったモノが変質した力だ」

「はて? 何を言っているか分からないのですが……」


 変質?

 そもそも、精神体とはなんでしょう?

 初めて聞く言葉なので、全く理解ができません。


「理解できないか。まぁ、精神体の事を知っている者は少ないから仕方がないな……。分かりやすい例としてはエレンだ」

「へ? 私?」

「そうだ。だが、お前自身じゃない。私もレティシアの中にずっといたから、今までの出来事はある程度知っている。エレンの中に七竜のバハムートがいただろう?」

「う、うん。けだまんがそうだね」


 バハムート?

 あぁ、ヨルムンガンドがそんな事を言っていましたね。

 そう言えば、毛玉が発生した当初は、エレンの力の源だと言っていましたね。


「お前達は、毛玉がバハムートだと聞いて、少しおかしいとは思わなかったか?」

「え?」

「ヨルムンガンドはこう言っていただろう? 「生き残った七竜は自分とバハムートの二匹だけ」だと」

「あ!?」


 そう言えばそうですね。

 今は毛玉として生きていると言っても良いですが、元のドラゴンの姿ではないので、生き残ったと言えるのでしょうか?

 むしろ……、生まれ変わったのでしょうか?


「不思議な話だろう? ジゼルはすでに気付いているとは思うが、なぜ、七竜がエレンの力の源になっていたんだろうな……」

「あ!?」

「なるほど。という事は、毛玉が嘘をついているという事ですか?」


 毛玉の「嘘」と考えても、エレンの中にバハムートがいた事の説明にはなりませんけど。


「いや、バハムートが精神体(・・・)というのであれば、全てに説明がつくから、あながち嘘というわけではない」

「精神体?」

「ここから先は、本人に聞いた方がいいんではないのか?」


 赤い私は静かにエレンの後ろを指差します。


「え?」


 そこには、二対四枚の美しい純白の翼を広げた、純白の竜が飛んでいました。


 コレが、毛玉の本当の姿ですか……。

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