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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
6章 教会編

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15話 セルカの大司教


 鬼神おにがみの呪いについては、赤い私……いえ、アマツに直接聞きいてみましょう。アマツとは、決着をつけなくてはいけませんから……。


 鬼神おにがみの事は後々でいいとして、今はクランヌさんに聞いた、『もう一人の神』の事を、アブゾルに聞いてみないといけません。

 アブゾルはこの世界の神なのですから、もう一人の神とやらについても知っているはずです。

 とはいえ、信徒でなければ神聖国アブゾールに入れないので、近くの教会にアブゾルの事を聞くしかありません。

 私の知っている教会の一番偉い人といえば、ラウレンさんです。

 彼は、アレスさん達と故郷に帰ったはずですから、いつでも会えます。

 ラウレンさんにも話を聞くとして、まずはこの町、セルカの教会の一番偉い人の話を聞いてみたいですね。

 しかし、私のような小娘がいきなり会いに行っても会ってもらえないでしょう。

 ……ふむ。


「ギルガさん。カンダタさんに連絡をして、セルカの教会で一番偉い人に会えるように頼んでくれませんか?」


 セルカの教会の一番偉い人が誰かは分かりませんが、その人に会えばアブゾールと連絡を取れるかもしれません。


 しかし、ギルガさんが何かを答える前にドゥラークさんが有益な情報を教えてくれました。


「なぜだ? レウス殿に会うのであれば、直接教会に出向けばいいだけだろう?」


 レウス?

 どこかで聞いた名前ですね。名前を聞いた事があるという事は、一度会った事があるのでしょうか?

 しかし、あまり覚えていません。


「それは誰ですか?」

「セルカの教会の神官長だ。お前も会った事があるだろう? 俺も詳しく知っているわけじゃないが、教会の各支部で一番偉いのは神官長だろう?」


 神官長が一番偉い?

 でも、ラウレンさんは大司教という肩書だったので、もっと偉かったのでは?


「それは違うぞ、ドゥラーク殿」


 私もドゥラークさんが言った事に首を傾げていると、ジゼルがドゥラークさんの間違いを指摘しました。


「なに?」

「確かに小さな町や村では、神官長が教会を取り仕切っている場合もある。だが、セルカのような大きな町では、神官長よりも立場が上な司教や大司教が取り仕切っているのがほとんどだ。確か、セルカにも司教がいたはずだが?」

「あぁ……。セルカには、ベック司教という方がいる。ただ、表には滅多に出てこない方と聞いた事があるな」


 へぇ。

 司教というのがいるのですね。

 となると、大司教だったラウレンさんはとても偉い人だったんですね。


「どちらにしても、直接教会に行って会えるかどうかを聞いてみた方がいいんじゃないのか?」

「それは無理だ、ドゥラーク殿」


 私としては、ドゥラークさんの言う通りだと思うのですが、なぜかジゼルは首を横に振ります。


「なぜだ?」


 あ、そうです。

 ジゼルは教会の汚点であるタロウの仲間でした。だから、教会には行きにくいという事だと思っていたのですが、しかし、ジゼルが話した内容はそうではありませんでした。


「実はな。タロウ召喚が決まった時、アブゾールの教皇と枢機卿はタロウを召喚する事を最後まで反対していたんだ」

「な!?」


 これは驚きです。

 でも、このお話には矛盾があります。


「ジゼル。ファビエの大司教だったラウレンさんは、教皇の命令でタロウを召喚したと言いましたよ?」

「ファビエの大司教、ラウレンといえば、マリテの父親だったな……」


 ジゼルは自身の記憶を探っているのか、少し目を閉じ無言になります。


「彼は厄介だったんだよ……。ラウレン殿にはグランドマスターの精神操作が効かなかったんだ。そんな彼が邪魔だと思ったグランドマスターは、ラウレン殿を殺そうとしたんだ。だが、ラウレン殿がアブゾル教の大司教だったから、殺すわけにはいかなかった……。だから、嘘の情報を流したんだ」

「嘘の情報? 大司教だから殺せない? どういう事だ?」

「そうだね……。ギルガ殿は教会の事は詳しくないだろう?」

「あぁ、確かに教会の事には詳しくはない……。だが、信徒でもないお前がどうして教会の事を詳しく知っているんだ?」

「グランドマスターの本当の目的を知っているかい?」


 本当の目的……ですか?

 間違いなくアレでしょう。

 

「この世界の神であるアブゾルを殺して、自分がこの世界を支配する事ですか?」

「「なっ!?」」


 私がアッサリとそう言うと、ギルガさん達はもちろん、ジゼルまで驚いていました。


「忌み子ちゃん。なぜその事に気づいた?」

「ジゼルに言っていませんでしたかね? 私はベアトリーチェと戦いました。一度は倒しましたが、まだ生きているでしょう。そのベアトリーチェと戦った時、本人がアブゾルを殺して世界を作り直すと言っていました。おそらくですが、グランドマスターも同じでしょう」

「そうか……。忌み子ちゃんはグランドマスターとベアトリーチェが同一人物だと言っているんだね」

「はい。その可能性は高いと思われます」

「いや、それはないよ」

「なぜです?」

「私はグランドマスターとベアトリーチェが対峙しているところを見た事がある」


 対峙?

 という事は二人は別人なのでしょうか?


「はて? それは記憶に残っている光景ですか?」

「あぁ……。私自身はグランドマスターとはあまり認識はないと思っているんだが、記憶では結構親しくしているみたいだからな……」

「しかし、グランドマスターとベアトリーチェが別人だとしても、色々と謎が多すぎるな。分かった。カンダタさんに連絡を入れて、セルカの教会の大司教を紹介してもらうよう言っておく。ただ、シンマスターになったカンダタさんは忙しいみたいだから、すぐには取り合ってもらえないと思うから、その点は了承してくれ」

「分かりました……」


 グランドマスターとベアトリーチェが別人だったのなら、クランヌさんが言っていた「神は二人」という言葉が嘘になってしまいます。


 ふむ。

 やはり、アブゾルには直接会った方がいいですね。

 そのためには司教であるベックという人に会う必要があります。

 カンダタさんには、頑張って早めに教会の司教さんを紹介してもらわなければいけませんね……。

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[気になる点] >グランドマスターとベアトリーチェが別人だったのなら、クランヌさんが言っていた「神は二人」という言葉が嘘になってしまいます。 鬼神とアブゾルでは? ベアトリーチェは天使だったような。…
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