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親友が酷い目に遭いそうなので二人で逃げ出して冒険者をします  作者: ふるか162号
6章 教会編

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9話 新たな疑問


 グランドマスターがジゼルに行った精神操作は、思っているよりも強力なモノのようです。


 しかし、だからと言って、ジゼルが行ってきた事は許されるわけではありません。

 まぁ、私も敵と判断したら、殺しますから、人の事を酷くは言えませんけどね。

 しかし……。


「今の貴女の話を聞く限り、私とは敵対する必要はなかったのでは?」

「そうだね。私としては、レイチェルの娘である君は、かわいい孫娘のようなものだ。ただ、あの時の私はベアトリーチェを殺す事を優先していた。いや、グランドマスターにそう制御されていたかもしれないな」

「はて? 結局、貴女はグランドマスターを殺したいのですか? ベアトリーチェを殺したいのですか?」

「っ!? 殺したいのは、グランドマスターだ……」

「はい」


 本当に厄介な話です。

 おそらくですが、今のジゼルは精神操作は解けているでしょう。しかし、そのせいでジゼルの記憶が混乱しているような気がします。


「思い出せる範囲でいいので、ベアトリーチェの事を教えてくれませんか?」

「ベアトリーチェの事か……。覚えているのは、君の祖母、被検体十四号を連れてきたのは、ベアトリーチェで間違いない。グランドマスターと違い、ベアトリーチェは仮面をつけていないからな」

「グランドマスターの素顔を見た事は?」

「直接は見た事はないが、傷だらけの顔というのだけは、記憶に残っている。ただ、二人を並べてみると、よく似ているな」

「え? 似ている……ですか?」


 二人を見た私は似ているかどうかを思い出します。

 ……。


 髪型……ですか?


「確かに背格好と髪型は似ていますね。根本的に色が違いますが」

「色が?」

「はい。ベアトリーチェは黒髪でした」

「なんだって!?」


 私がベアトリーチェの髪の色を話すとジゼルは驚いていました。

 ジゼルが見たベアトリーチェは銀髪だったそうです。


 銀髪であれば、グランドマスターと同じです。


「初めてベアトリーチェに会った時、私はグランドマスターと間違えたんだ。銀髪で背格好も似ていたから、仮面を外してやってきたと」

「そうですか……」

「銀髪は人間では珍しいが、神族であれば珍しくはない……。いや、正確に言えば、天使だな」

「天使? 天使って何ですか?」

「あぁ……。天使というのは神族になる前の種族だ。天使は神族に仕えていてな、天使が昇華すると神族になるらしい。ベアトリーチェが連れてくる被検体の中に神族や天使もいたから、よく知っている」


 銀髪が天使?


「という事は、グランドマスターやベアトリーチェは天使という事ですか?」

「いや、あれは神族だ。天使は神気を発する事はできないが、あの二人からは神気を感じた」

「はて? 貴女はアブゾルと会った事があるのですか?」

「アブゾルとは会った事は無いな。神気に詳しいのは、被検体十四号にアマツを埋め込んだからだ。アマツは死体になった後も神気を発していた」


 アマツですか……。


「と言う事は、神の事を聞くのなら、神に聞いた方が早いという事ですね」

「アブゾルに会えるのならば、それが一番だろうな」


 そう考えれば、教会に向かってラウレンさん達に話を聞いた方がいいかもしれません。


「分かりました……。聞きたい話は聞けました。それで、貴女はどうしますか?」

「どうするかか……。セルカに連れて行ってくれないか? 私は転移魔法は使えないんだ」

「はて? 貴女は転移魔法を使っていましたよね? あ、そうです。トキエさんに、転移魔方陣を設置しろと言われたんです」

「転移魔方陣を?」

「はい。毎度、この村に鉄鉱石を持ってくる新人冒険者を探すのは難しいそうです。だから、設置してきてくれと頼まれたんです」

「そうか……。設置する場所は決まっているのかい?」

「いいえ。村の真ん中にでも設置しようと思っているのですが」


 真ん中ならば、皆さんが使いやすくていいです。しかし、ジゼルは額に手を当てて溜息を吐きました。


「君は本当に色々なところが抜けているね。村の真ん中に転移魔方陣を設置するという事は、こちらからもあちらからも簡単に行き来できるという事だ。それはつまり、いつでもこの村を攻め落とせる可能性も、この村の住民がセルカを襲う事も可能という事になる。だからこそ、転移魔方陣を設置している国や町は、徹底的に管理しているんだ」


 なるほど。

 それは一理ありますね。


「では、どこに設置すればいいでしょう?」

「そうだな……。ついてくるといい」


 ジゼルはこの家の一番奥の部屋を案内してくれました。

 その部屋は、ベッドが一つと、小さなテーブルが一つ置かれているだけの質素な部屋でした。


「ここは?」

「私の自室だ。もう使う事はないだろうからな」

「なぜです?」

「君と一緒にセルカに行き、ネリー姫に謝罪したい。当然、許される事はないだろうし、レッグによって私は殺されるだろう。だから、この部屋は誰も使わなくなる」

「はて? レッグさんが貴女を殺すんですか?」

「はは。別に命に執着はないよ。私一人の命でネリー姫の気が少しでも晴れるのであれば、少しでも償いができるのならば、この命など簡単に差し出すさ」

「はて? 貴女は私のおもちゃなのにですか?」

「何を言っている?」

「レッグさんが私のおもちゃに手を出すと? そんなわけがないじゃないですか」


 そうです。

 ジゼルには、私のおもちゃとして生きてもらいましょう。


 どうやら私のおばあさんみたいなモノのようですし。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「おばあちゃん、これあげる!」 普通の子の場合:肩たたき券、手作りのおやつ、似顔絵など レティシアの場合:世界の軍事バランスを著しく乱す狂スキルや狂武器
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